バイオプラスチック(その他表記)bioplastics

デジタル大辞泉 「バイオプラスチック」の意味・読み・例文・類語

バイオプラスチック(bioplastic)

生物に由来する再生可能な有機性資源(バイオマス)を原材料とするプラスチックトウモロコシなどに含まれるでんぷん、微生物が作り出すポリアミノ酸間伐材に含まれるセルロース、エビやカニなどの甲殻類外骨格に含まれるキチンキトサンなど、さまざまな物質が用いられる。生分解性をもつものが多い。バイオマスプラスチックバイオベースプラスチック。→生分解性プラスチック

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バイオプラスチック」の意味・わかりやすい解説

バイオプラスチック
bioplastics

バクテリア細菌類)などの微生物,あるいは微生物や遺伝子組み換え生物により合成された化合物に由来するプラスチック石油由来の従来のプラスチックとは異なり,一部のバイオプラスチックは生分解性である。石油由来のプラスチックは一般に生分解性がないため,廃棄物としての耐久性が高い。プラスチック廃棄物が地球規模のごみ問題となるなか(→プラスチック汚染),バイオプラスチックの開発や普及持続可能な解決策の一つと期待されている。
最初のバイオプラスチックといわれるポリヒドロキシ酪酸 PHBは,1926年にフランス人研究者モーリス・レモワニによる巨大菌 Bacillus megaterium の研究から発見された。しかし,当時は安価な石油が豊富に入手できたことから,この発見の重要性はその後何十年もの間見過ごされた。1970年代に石油危機が起こり,石油系製品の代替品を見つけようとの気運が高まったこと,さらにその後,分子遺伝学遺伝子組み換え技術の研究が飛躍的に発展したことにより,21世紀初頭までにさまざまな種類のバイオプラスチックの生産や応用方法が確立されるにいたった。この間に実用化されたり研究対象となったりしたバイオプラスチックに,特殊な微生物の体内で合成される PHBやポリヒドロキシアルカン酸 PHA植物由来の糖やデンプンの発酵作用によってつくられた乳酸モノマー重合体ポリマー)であるポリ乳酸 PLAなどがある。これらは,モノマー(単量体)間の化学結合が微生物や水によって分解されるため,生分解性のボトルや包装フィルムの材料として適している。さらに,分解生成物が天然の代謝物であることから,放出制御薬剤や縫合材料など医療分野での応用に関心が寄せられている。
バイオプラスチックは現在,世界で生産されるプラスチックの総量のほんの一部しか占めていない。商業生産には収率の低さという困難な問題があり,コストもかかる。しかし,遺伝工学や代謝工学の発展によりさまざまな系統の微生物株や植物がつくり出されていて,生産能力の向上とコストの削減につながる可能性がある。

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知恵蔵mini 「バイオプラスチック」の解説

バイオプラスチック

植物や動物など生物に由来する再生可能な有機性資源(バイオマス)を主原料とするプラスチック。従来の石油由来のプラスチックとは異なり、微生物によって二酸化炭素と水に分解される生分解性を持ち、焼却しても環境中の二酸化炭素の増減に影響を与えないカーボンニュートラルの性質を有することが特徴。地球温暖化防止や石油依存の軽減といった観点から注目され、電子機器や包装材などでの利用が進んでいる。

(2013-1-16)

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