バルベス(読み)ばるべす(その他表記)Sygismond Auguste Armand Barbès

日本大百科全書(ニッポニカ) 「バルベス」の意味・わかりやすい解説

バルベス
ばるべす
Sygismond Auguste Armand Barbès
(1809―1870)

フランスの革命家。富裕な医者の家に生まれる。1830年の七月革命後パリで法律を学ぶかたわら、「人権協会」などの共和派の七月王政に対する革命運動に参加した。1834年4月のパリの暴動参加の容疑で一時逮捕されたが、翌1835年釈放後ブランキらとともに革命秘密結社「家族社」を結成、1836年武器製造容疑で再逮捕され、有罪宣告を受けて投獄された。翌1837年大赦により釈放後、ブランキ、マルタン・ベルナールらとともに秘密結社季節社」を結成、1839年7月パリで暴動を起こして逮捕され、死刑を宣告されたが無期刑に減刑された。その後各地の牢獄(ろうごく)を転々、1848年の二月革命で釈放され、人権協会の再生、革命クラブの設立に努めたが、第二共和政に対する5月15日の社会主義者の反乱に加担、逮捕、投獄中にブランキ派と決別した。1854年、第二帝政のナポレオン3世によって釈放されたのち、オランダ亡命生涯をその地で過ごした。

[桂 圭男]

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改訂新版 世界大百科事典 「バルベス」の意味・わかりやすい解説

バルベス
Armand Barbès
生没年:1809-70

フランスの政治家,革命家。アンティル諸島グアドループ駐在のフランス軍軍医の家庭に生まれ,1831年ころパリに出て法律を学んだ。民衆の解放のためには,まず革命結社による政治権力奪取が必要と考え,共和主義運動に身を投じ,結社〈人間の権利協会〉に加入したが,34年に結社が弾圧されると〈家族社〉という秘密結社を組織,36年火薬製造の罪に問われ,ブランキらとともに逮捕された。釈放後37年末には再び〈季節社〉をブランキやマルタン・ベルナールと結成し,39年5月パリで蜂起したが失敗に終わり,投獄された。48年,二月革命により釈放されると,パリで〈革命クラブ〉を組織し,ブランキと対立したが,第12区の国民軍の軍団長に当選し,憲法制定議会議員にも当選した。しかし5月15日の議会(ブルボン宮)侵入に加わり,逮捕・投獄された。54年に釈放されたが亡命して再びフランスには帰らなかった。彼の著述はわずかしかなく,その思想・信条は不明な点が多い。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バルベス」の意味・わかりやすい解説

バルベス
Barbès, Armand

[生]1809. グアドループ,ポアンタピートル
[没]1870. ラエ
フランスの革命的社会主義者。七月革命とともにパリに出,L.ブランキとともにルイ・フィリップの政治に反対する多くの陰謀に参加。 1839年5月 12日の蜂起の結果無期懲役に服したが,二月革命で解放された。以後革命クラブの議長として民衆の人気を得た。オード県選出の議員となり,48年5月 15日パリ市庁に蜂起政府の樹立を試みたが失敗して投獄された。 54年ナポレオン3世の特赦を受け,亡命生活に入った。

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