散文と韻文で書かれたインドの古典説話集の一つ。作者はナーラーヤナNarāyaṇaであるとされる。おそらく10世紀前半,ベンガルで制作された。本書の題名は〈有益な教え〉という意味で,大学者ビシュヌシャルマンがスダルシャナ王の愚かな王子たちのために,物語に託して処世の学を説くという体裁をとっている。内容は《パンチャタントラ》(5巻の書)の改作にほかならないが,本書は4巻であり,構成上の配慮がうかがわれる。また,《パンチャタントラ》の挿話の位置を変え,省いている場合もあるが,反対に新たに17編の挿話を加え,その間に含まれる教訓詩の数は,多大に増大しており,作者自身の作ったと思われる新しい詩節も含まれている。しかし,挿話の約3/4,教訓詩の約1/5は《パンチャタントラ》のものと共通である。サンスクリット原本の言語,文体はきわめて平明であり,かっこうの初等サンスクリットの読本としてよく使用されている。
執筆者:上村 勝彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…題名の示すように,〈朋友の分離〉〈朋友の獲得〉〈鴉(からす)と梟(ふくろう)の闘争〉〈獲得したものの喪失〉〈思慮なき行為〉という5編から成っているが,各編にはそれぞれ枠物語があって,その中に多くの挿話が含められ,散文に教訓的詩句を交えて語られている。 多数の支本のうちカシミールに伝わった《タントラークヤーイカTantrākhyāyika》は諸伝本の中で最も古い形を伝えるものといわれ,ベンガルに伝わった《ヒトーパデーシャ》(有益な教訓)は,ナーラーヤナ(10世紀ころ)が改編したもので広く普及した。西北インドに伝わった現存しない一本から,6世紀ころ中世ペルシア語のパフラビー語に翻訳されたものがあったというが,これも散逸して伝わっていない。…
※「ヒトーパデーシャ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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