フィルマー(読み)ふぃるまー(英語表記)Sir Robert Filmer

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フィルマー」の意味・わかりやすい解説

フィルマー
ふぃるまー
Sir Robert Filmer
(1588?―1653)

イギリス、ピューリタン革命期の代表的な王権神授説論者。ナイト称号を授けられる。ロックが『政治二論』の前半の第一部で批判し有名となった主著『パトリアーカ』(家父長制論)は1635年から1642年ごろまでに書かれたといわれる。1680年に出版され、王政復古期の王党派の理論的武器となる。神はアダムにのみ家族や子孫を支配する権力を授け、その権力は男系の長子相続によって継承され、王権はこれに由来するとして王の絶対権力を主張し、人民同意による権力の起源を説く社会契約説に反対している。

田中 浩]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フィルマー」の意味・わかりやすい解説

フィルマー
Filmer, Sir Robert

[生]1588頃.ケント
[没]1653.5.26. イーストサットン
イギリスの政治思想家。旧家に生れ,ケンブリッジ大学に学んだ。熱烈な国王至上主義者としてチャールズ1世からナイト爵の称号を授けられ,清教徒革命中には一時投獄された。死後出版された『家父長権論』 Patriarcha (1680) は,王権神授説の代表的な主張で,J.ロックらの反駁を受けた。

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