日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブロック石」の意味・わかりやすい解説
ブロック石
ぶろっくせき
brockite
カルシウム、トリウムおよび希土のリン酸塩鉱物。ラブドフェン系鉱物の一員。トリウムあるいはウランが主成分として存在するため放射能をもつ。形態は電子顕微鏡下で認められる六角短柱状。肉眼的には微細結晶からなる塊状集合で、放射状集合を暗示する割れ口を示すことがある。原記載(最初に正式に学会誌などに発表された講演要旨)では、変質花崗岩(かこうがん)中微細な熱水脈に産する黄鉄鉱集合の一構成物質として赤鉄鉱などとともに集合をなして産するとしている。花崗岩質ペグマタイト中にも産し、日本では福島県石川郡石川町塩ノ平(しおのひら)をはじめその付近数か所から発見されている。
共存鉱物は石英、微斜長石、黒雲母、鉄電気石、モナズ石、ジルコン、トール石、ゼノタイム、フッ素燐灰石(りんかいせき)、金紅石、赤鉄鉱など。同定は淡黄色土状光沢の外観と、放射能の存在。命名は、原産地の地質調査を行い最初の標本を研究に提供したアメリカ地質調査所のモーリス・R・ブロックMaurice R. Brockにちなむ。
[加藤 昭]