ヘプタン

デジタル大辞泉 「ヘプタン」の意味・読み・例文・類語

ヘプタン(heptane)

炭素数が7個のメタン系炭化水素。石油中に存在する。無色可燃性液体。9種の異性体がある。ガソリンエンジンノッキング原因となり、オクタン価測定に用いられる。化学式C7H14

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化学辞典 第2版 「ヘプタン」の解説

ヘプタン
ヘプタン
heptane

C7H16(100.20).CH3(CH2)5CH3.炭素数7のアルカンには9種類の異性体が存在する.これら異性体の総称として用いられる場合もあるが,そのうち直鎖状のものをとくにヘプタンといい,n-ヘプタンとよばれることも多い.原油中に存在する.実験室的には,1-または2-ヘプテンを水素添加するか,ヨウ化ヘプチルマグネシウムに塩化アンモニウムを作用させると得られる.工業的には,ナフサより分留精製すると得られる.無色,引火性の液体.融点-90.61 ℃,沸点98.43 ℃.0.67951.1.38511.爆発範囲1.0~6.0体積%.エタノールエーテルクロロホルム可溶,水に不溶.用途はおもに溶剤であるが,ほかにオクタン価測定用の標準燃料(オクタン価 = 0)に使われる.[CAS 142-82-5]

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヘプタン」の意味・わかりやすい解説

ヘプタン
へぷたん
heptane

アルカンに属する炭素7個の炭化水素の総称。9種の異性体が知られているが、普通、ヘプタンというと直鎖状のn-ヘプタンCH3(CH2)5CH3をさす。n-ヘプタンは石油中に存在する。

 揮発性、可燃性の液体で水に不溶、アルコールに可溶。マウスに対する致死量は1万5900ppm。ガソリンエンジンのノックを調べる標準に用いる。蒸気を吸うと気管を刺激する。高濃度では麻酔性をもつ。

[佐藤武雄]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヘプタン」の意味・わかりやすい解説

ヘプタン
heptane

化学式 C7H16 。炭素原子数7個のメタン系炭化水素で異性体が9種あり,いずれも無色の液体である。 n -ヘプタンは沸点 98℃。石油中に含まれる。工業的にはおもに石油精製により分留され,燃料,化学工業原料,有機溶媒として用いられる。市販石油ベンジンはヘプタン,ヘキサンなどの混合物である。水に不溶,アルコール,エーテルに可溶である。

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