マイタケ(読み)まいたけ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マイタケ」の意味・わかりやすい解説

マイタケ
まいたけ / 舞茸
[学] Grifola frondosa (Fr.) S. F. Gray

担子菌類、サルノコシカケ目サルノコシカケ科の食用キノコ。100枚を超える扇形の傘が重なり合い、大きな集団となって大木の根元に生える。全体は高さも径も30センチメートルを超え、重さは2~4キロメートルにもなる。茎は共通の根元から繰り返し枝を分け、小枝の先に幅2~5センチメートル、厚さ2~5ミリメートルのへら形ないし扇形の傘を開く。傘の表面は灰色から灰褐色が標準であるが、さらに黒または白色を帯びたものもある。傘の下面には細かい管孔(くだあな)が密に並ぶ。胞子無色、6~7マイクロメートル×4マイクロメートルの卵形ないし楕円(だえん)形。9月の中下旬、やや奥山ミズナラ、クリなどの老大木の根元に発生することが多いが、都市のシイカシなどの根元にも発生する。立ち木の根株心材腐朽菌で、日本全土のほか、北半球の温帯以北に広く分布する。

 マイタケの肉は、歯切れもよく、味もよいため一流の食菌とされる。近年は、人工栽培技術が向上したため、栽培品も市場に出回るようになっている。また、抗腫瘍(しゅよう)性についても研究が進み、健康食品として注目されている。マイタケに似て全体が白いものをシロマイタケG. albicans Imaz.という。シロマイタケはマイタケに比べると発生期がやや早く、歯切れも悪く、食菌としては劣る。

[今関六也]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マイタケ」の意味・わかりやすい解説

マイタケ(舞茸)
マイタケ
Grifola frondosa

担子菌類ヒダナシタケ目サルノコシカケ科。ミズナラ,クリ,ブナなどの切り株や老木の根もとに大型の子実体を生じる。本来はミズナラの心材について,白色腐朽を起す害菌であるが,若いキノコは美味で珍重される。子実体は肉質で,熟後,乾けば強靭になる。多数に分枝する円柱状の茎を有し,各分枝の先端には小さな傘がほかの傘と互いに重なり合いながらつく。子実体全体はときには径 40cm以上の塊となり,その重さも 3kgをこすものがある。個々の傘は半円形,扇形,へら形で,表面は黒褐色かねずみ色で茎の色は白い。傘の裏面には管孔を生じるが孔口は円形または歪円形。胞子は卵形か楕円形で小突起があり,無色。このキノコによく似たものにチョレイマイタケ (猪苓舞茸)トンビマイタケ (鳶舞茸),シロマイタケ G. albicansなどがある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

お手玉

世界各地で古くから行われている遊戯の一つ。日本では,小豆,米,じゅず玉などを小袋に詰め,5~7個の袋を組として,これらを連続して空中に投げ上げ,落さないように両手または片手で取りさばき,投げ玉の数や継...

お手玉の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android