精選版 日本国語大辞典 「空力加熱」の意味・読み・例文・類語
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空気中を高速度で飛行すると、空気によって機体が加熱される現象。航空機、ロケット、宇宙船などの飛翔(ひしょう)体が、空気中を高速度(極超音速=音の速さの6倍、マッハ6以上の速度)で運動するとき、飛翔体の前端(胴体や翼など)のよどみ点付近における断熱圧縮と、境界層内部における粘性摩擦とによって、飛翔体の構造の温度が上昇する。こうした空力加熱による材料の強度低下で、飛翔体の構造に及ぼす影響は超高速飛行に対する重大な障害となっている。高速飛行に対して、かつては音速突破時の衝撃波による障害(抵抗増大や振動の発生)を「音の障壁」とよんでいたのと同様、極超音速飛行時では空力加熱を「熱の障壁」といっている。
飛翔体前端部の空力加熱による温度上昇は次の式で求めることができる(表面の摩擦による温度上昇は除く)。
ΔT=(T0+273)×0.2M2
ΔTは空力加熱による温度上昇、T0は大気温度、Mはマッハ数である。
この式によると、マッハ2.0でも約180℃となるから、成層圏(地表より1万メートル以上の高空で、気温はマイナス57℃)では先端部での空気温度は100℃を超すことになる。またスペースシャトルが大気圏に再突入するときの速度はマッハ7.0程度になる。スペースシャトルでは、大気圏突入後の温度は、機体の先端部(機首、主翼の前縁部、垂直尾翼の前縁部)で1410~1440℃になる。そのためこの部分は1648℃(3000)に耐えられるタイル材(シリカ材)が貼(は)ってある。ただし、その他の部分は649℃(1200
)および1260℃(2300
)までの耐熱タイルを使い分けている。タイルは機体表面では90%に貼られており、その数は3万4000枚に達する。
[落合一夫]
『飯田誠一著『飛ぶ――そのしくみと流体力学』(1994・オーム社)』▽『久保田浪之介著『超音速の流れ学』(2003・山海堂)』
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…流れの速度が低く亜音速の場合はあまり問題にならないが,超音速でマッハ数が大きくなると非常に大きな温度上昇を起こし,物体が加熱されることがある。この現象を空力加熱という。生ずる温度上昇はマッハ数の2乗に比例して増加し,例えば,成層圏を飛行する場合,マッハ2で約100℃,マッハ3では約300℃になる。…
…単に再突入reentryという場合も多い。再突入過程は,非常に大きな速度で落下していく機体に対して大気層をクッションとして利用し,無事に地表面などに到達,帰還させるものであるが,同時に空力加熱や高減速度といった問題も含んでおり,その対策はつねに重要な課題の一つとなっている。 突入中の経路は,機体の揚力の有無によって揚力軌道と弾道軌道に大別される。…
…実用的な超音速機は,53年のノースアメリカンF100の出現まで,さらに6年を要した。
[熱の壁]
音速を超えた高速飛行にとって,次の問題は,空力加熱による機体の表面の温度上昇である。空力加熱による温度上昇⊿T℃は,大気の温度をT0℃,マッハ数をMとして,⊿T=(T0+273)×0.2M2で表される。…
※「空力加熱」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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