日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミカドアゲハ」の意味・わかりやすい解説
ミカドアゲハ
みかどあげは / 帝揚羽
common jay
[学] Graphium doson
昆虫綱鱗翅(りんし)目アゲハチョウ科に属するチョウ。本種は暖地性のもので、本州では三重・和歌山・広島・山口の諸県、四国では徳島・高知・愛媛の諸県、九州では全県下(対馬(つしま)を含む)に産し、また種子島(たねがしま)、屋久島(やくしま)、奄美(あまみ)大島、沖縄本島、八重山(やえやま)諸島などの南西諸島にも分布する。国外では台湾、中国南部から東南アジアにかけて分布が広く、日本はその分布北限となる。高知市の本種は国指定の特別天然記念物になっている。和名は学名に与えられたmikado(現在は使用されない)からきている。はねの開張は70ミリメートル内外。大きさ、はねの形はアオスジアゲハそっくりであるが、はねには淡青色ないし淡黄色の多くの斑点(はんてん)がある。日本本土(南西諸島を除く)では年発生回数は不定、1化のものから3化に至る変異がある。幼虫の食草はモクレン科のオガタマノキ、タイサンボク(北アメリカ原産、庭園に植栽)などで、蛹(さなぎ)の状態で冬を越す。
[白水 隆]