詳しい(読み)クワシイ

デジタル大辞泉 「詳しい」の意味・読み・例文・類語

くわし・い〔くはしい〕【詳しい/委しい/精しい】

[形][文]くは・し[シク]《「くわ(細)し」と同語源》
細かいところまで注意調査などがよく行き渡っている。詳細である。「―・い地図」「事情を―・く説明する」
細部までよく知っている。精通している。「魚には特に―・い人」「事情を―・く知っている男」⇔疎い
[派生]くわしげ[形動]くわしさ[名]
[類語](1細かい詳細詳密精細明細克明つまびらか事細か連用修飾語として)子細につぶさ逐一細大漏らさず/(2明るい造詣ぞうけいが深い精通している通暁している熟知知悉知り尽くす知り抜く通ずる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「詳しい」の意味・読み・例文・類語

くわし・いくはしい【美・細・妙・詳・委・精】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]くは〘 形容詞シク活用 〙
  2. [ 一 ] ( 美・細・妙 ) こまやかで美しい。精妙である。うるわしい。
    1. [初出の実例]「朕昔より来(このかた)、未だ曾(かつ)て是の如く微妙(クハシキ)(のり)を聞くこと得ず」(出典:日本書紀(720)欽明一三年一〇月(寛文版訓))
    2. 「忍坂(おさか)の山は 走り出の よろしき山の 出で立ちの 妙(くはしき)山ぞ」(出典:万葉集(8C後)一三・三三三一)
  3. [ 二 ] ( 詳・委・精 )
    1. 細かい点にまでゆきわたっているさま。詳細である。つまびらかである。つぶさである。
      1. [初出の実例]「神祇を祭祀りたまふと雖も、微細(クハシク)は未だ其の源根(もと)を探(さく)りたまはずして」(出典:日本書紀(720)垂仁二五年一〇月(熱田本訓))
      2. 「いもうとの君の事もくはしく問ひ給ふ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)帚木)
    2. 細部まで十分に知っているさまである。精通しているさまである。
      1. [初出の実例]「しかれども我若年にして人情に精(クハシ)からず」(出典:談義本・風流志道軒伝(1763)一)

詳しいの語誌

( 1 )[ 一 ]用法単独では少なく、「うらぐはし」「まぐはし」「かぐはし」など、複合形容詞として多く用いられる。
( 2 )上代には「詳細」「委細」の意を表わす語として「つばら」「つぶさ」などが行なわれていたが、これらは平安時代以降「つばひらか」(鎌倉時代以降は「つまびらか」になる)などとともに、漢文訓読の世界で用いられるようになり、和文ではもっぱら「くはし」を使うようになった。
( 3 )類義語の「こまか」は、事物の微細な、あるいは濃密なさまを具体的にとらえていう語で、ときに情愛や配慮といった心理に裏打ちされて使うのに対して、「くはし」は理解や判断にあたってくまなく十全な材料を得ている、あるいはそれを提示しているという状態を表わす。

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