ユニバーサル横メルカトル図法(読み)ゆにばーさるよこめるかとるずほう(英語表記)Universal Transverse Mercator projection

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ユニバーサル横メルカトル図法
ゆにばーさるよこめるかとるずほう
Universal Transverse Mercator projection

地図投影一種。地球をグリニジ経度の180度経線から東回りに6度幅の経度帯に区分した地帯ごとに対する平面直角座標系(UTM座標)に用いる横メルカトル図法。UTM図法ともいう。第二次世界大戦末期、連合軍の戦場測量と戦場地形図用に設計されたもので、のちにそれらの地図が各国で戦後復興用に放出されてから、各国の地形図の標準図法として普及した。日本では1950年代以降の多色刷地形図と、1990年代以降のデジタル標高データモデルに用いられている。

 なお、北緯84度以北および南緯80度以南は、それぞれを極心平射図法による一つの座標系を用いて作図し、これはユニバーサル極心平射図法(UPS図法)といわれる。UTM座標では、経度帯ごとの中央経線赤道とが直交する直線で表され、座標軸となり、中央経線上の縮尺係数を0.9996とし、経度帯ごとの投影のひずみを緩和してある。座標系の座標値は、正負の符号をつけないで、南北方向は北半球では北の方向に0から大きくなる値、南半球では赤道で1万キロメートルになるように、また東西方向は中央経線上で500キロメートルになるように換算してある。この図法による地形図は、一つの経度帯内では理論的に平面上にすきまなく張りつなげられるが、隣接する経度帯の境界にまたがる場合はすきまが生じる。

[金澤 敬]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

ユニバーサル横メルカトル図法
ユニバーサルよこメルカトルずほう
universal transverse Mercator projection

UTM図法ともいう。地球を 180°経線から東回りに6°ごとに経度帯に区分し,経度帯ごとに中央の経線を中央経線として,回転楕円体から直接平面に投影する横メルカトル図法を用いる。中央経線上の縮尺係数を 0.9996とする。座標系の縦座標を北半球ではN (赤道上で0,緯度が高くなると値が大きくなる) ,南半球ではS (赤道上で1万 km,緯度が高くなると値が小さくなる) ,横座標をE (中央経線上で 500km,西から東に行くに従い値が大きくなる) で表わし,計算上は負になる値を調整して,正負の区別を解消した座標値の表わし方をする。第2次世界大戦末期の戦場に用いる測量座標系と地形図のために,アメリカ陸軍地図局が発表した (1943) 軍用座標系であった。戦後,各国の大・中縮尺の地形図の標準的地図投影法となり,国土地理院の5万分の1,2万 5000分の1地形図はこれによっている。

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