ラピスラズリ(読み)らぴすらずり(英語表記)lapis lazuli

翻訳|lapis lazuli

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ラピスラズリ」の意味・わかりやすい解説

ラピスラズリ
らぴすらずり
lapis lazuli
lazurite

るりあるいはラズライトともいい、群青色をした七宝(しっぽう)の一つとして古来珍重された鉱物。方ソーダ石の仲間で、十二面体の結晶形が明らかなものもまれに産するが、普通、緻密(ちみつ)な塊をなす。接触変成作用を受けた石灰岩中に、黄鉄鉱透輝石などと産する。アフガニスタンのものが昔から有名で、旧ソ連地域、チリ、イタリア、アメリカなどからも産する。日本からの産出はまだ報告されていない。宝飾品として好まれるのは、ラピスラズリに黄鉄鉱が混じるもので、磨くと濃い青地に金色の斑点(はんてん)が輝いて美しい。このため青金石(せいきんせき)の名もある。岩絵の具で昔から使われてきた群青はラピスラズリを粉末にしたものであるが、最近では合成品で代用されている。

 塩酸でゼラチン状になって溶け、硫化水素異臭を放つ。学名のラピスはラテン語の石を意味し、ラズリは青を意味するペルシア語に由来する。

松原 聰]



ラピスラズリ(データノート)
らぴすらずりでーたのーと

ラピスラズリ
 英名    lapis lazuli,lazurite
 化学式   (Na,Ca)8Si6Al6O24[(SO4),S,Cl,(OH)]2
 少量成分  ―
 結晶系   等軸
 硬度    5~5.5
 比重    2.4~2.5
 色     群青,菫青
 光沢    ガラス
 条痕    青
 劈開    不完全
       (「劈開」の項目を参照)

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラピスラズリ」の意味・わかりやすい解説

ラピス・ラズリ
lapis-lazuli

ラズライト,デイオプサイト,カルサイトを主成分とする青,青紫色の鉱石。前 3000年のエジプト時代から宝石として珍重された。東洋では七宝の一つである瑠璃 (るり) のこと。藍青色,不透明で,カルサイトの白い条痕や黄鉄鉱の黄金色の条痕をもつものが多く,夜空の星にたとえられている。硬度 5.5,比重 2.85,屈折率 1.50。アフガニスタン,シベリア,チリ,カナダが主産地。日本では群青 (ぐんじょう) と呼ばれて,粉末にして絵具に使われた。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報