市民権(読み)しみんけん(英語表記)droits civils フランス語

日本大百科全書(ニッポニカ)「市民権」の解説

市民権
しみんけん
droits civils フランス語

人間の天賦かつ不可譲の権利としての自然権とは区別される、実定法上の市民の権利。1789年のフランスの「人間と市民の権利の宣言」(いわゆる「人権宣言」)は、人間の自然権として、自由、権利の平等(1条)、所有、安全、圧制に対する抵抗(2条)を掲げた。また市民の権利としては、「すべての市民が、その身自ら、またはその代表者を通じて、法律の作成に参画する権利」、すべての市民が、「徳性および才能以外の差別を除いて平等にあらゆる公の位階、地位および職務に就任」しうる権利(6条)、租税の決定に参画する権利(14条)、行政上の公職員に報告を求める権利(15条)を掲げている。市民権という用語は、自然権との区別なしに国民の享受するいっさいの権利をさす場合も、参政権と区別して他の諸自由をさす場合も、労働基本権、生存権などの社会権と区別される場合も、アメリカのように公民権をさす場合もある。

[古賀英三郎]

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精選版 日本国語大辞典「市民権」の解説

しみん‐けん【市民権】

〘名〙
① 市民としての行動・思想・財産の自由が保障され、国政に参加することのできる権利。国民の権利。人権。民権。公権。
※新体詞選(1886)〈山田美妙編〉リツプ、バン、ウンクル〈丸岡九華〉「バンカーヒルの戦に、得たる自由を欲せぬか。市民権をば抛つか」
② 比喩的に、一部だけに行なわれていた物事が世に広く一般化すること。
※社会学入門(1959)〈清水幾太郎〉一「ヴァイマル時代のドイツは、他の国々よりは少し遅れているにしても、社会学が学問上の市民権を獲得し」

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デジタル大辞泉「市民権」の解説

しみん‐けん【市民権】

国籍を有する国民または市民としての権利。人権。民権。公権
国民・市民としての行動・思想・財産の自由が保障され、国政に参加することのできる権利。
一部にしか行われなかったものが、広く認められて一般化すること。「市民権を得つつある言葉」

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