アミグダリン

化学辞典 第2版 「アミグダリン」の解説

アミグダリン
アミグダリン
amygdalin

(R)-α-[(6-O-β-D-glucopyranosyl-β-D-glucopyranosyl)oxy]benzeneacetonitrile.C20H27NO11(457.42).配糖体一種.β-ゲンチオビオースD-マンデロニトリルとからなる.バラ科アンズモモ,クヘントウなどの実,葉,木質部に含まれる.くへんとう油有効成分無色結晶融点210 ℃.-42.0°(水).β-グルコシダーゼ加水分解され,D-グルコースシアン化水素ベンズアルデヒドを生じる.[CAS 29883-15-6]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アミグダリン」の意味・わかりやすい解説

アミグダリン
あみぐだりん
amygdalin

アルデヒド誘導体の一つで、ベンズアルデヒドシアンヒドリン配糖体として植物界に広く分布している。

 イランシリア原産であり、北アフリカ、南フランス、北米カリフォルニア地方で栽培されているクヘントウジュ(苦扁桃樹)の成熟した果実中にみいだされる。この物質は酵素エムルジンによって加水分解されて、2モルのブドウ糖と1モルの右旋性ベンズアルデヒドシアンヒドリンとなり、後者はさらにベンズアルデヒドとシアン化水素(青酸)とに分解する。ベンズアルデヒドはクヘントウ油、カシア油などの精油の主成分である。

[佐藤菊正]


アミグダリン(データノート)
あみぐだりんでーたのーと

アミグダリン

 分子式  C20H27O11N
 分子量  457.44
 融点   214~216℃(三水和物の場合)
 沸点   -

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

栄養・生化学辞典 「アミグダリン」の解説

アミグダリン

 C20H27NO11 (mw457.43).アミグダロシドともいう.アーモンドやアンズに含まれるグリコシドで,エムルシン(酵素)によって加水分解されてグルコースとシアン化水素とベンズアルデヒドになり有害.以前ビタミンB17といわれたことがある.

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アミグダリン」の意味・わかりやすい解説

アミグダリン
amygdalin

アンズやモモの成熟種子や,苦扁桃 (ビターアーモンドともいう) に含まれる化合物。無色結晶,融点 214~216℃。シアン配糖体の一種で,酵素エムルシンまたは塩酸の作用で加水分解を受け,ベンズアルデヒド,グルコース,シアン化水素 (猛毒) を生じるので危険である。苦みが強い。

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世界大百科事典(旧版)内のアミグダリンの言及

【アンズ(杏)】より

…果実は生食のほか,乾果,シロップ漬,ジャム,果実酒の原料などに利用される。種子は杏仁(きようにん)といい,咳止めや喘息の漢方薬とされるが,青酸配糖体(アミグダリンamygdalin)を含むので専門家の指導によって服用する。杏仁からとった杏仁油は軟膏や毛髪油などに用いられる。…

【ウメ(梅)】より

…それらのうち,小さな実を多数つけることで有名な小梅は早生でシナノウメともよばれ,中部地方に多い。ウメの実は未熟のものにはアミグダリンamygdalinを含み,生食すると有毒であるが,梅干し,煮梅,砂糖漬,梅酒などに多く利用されている。また烏梅(うばい)は,未熟果を煙でいぶしたあと天日で乾燥したもので,漢方薬として利用されるし,梅肉エキスも民間薬とされる。…

※「アミグダリン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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