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アルカリ岩 アルカリがんalkali rock

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

アルカリ岩
アルカリがん
alkali rock

化学組織上,二酸化ケイ素や酸化アルミニウムに対してアルカリ ( Na2O+K2O ) の割合の多い火成岩の総称。 19世紀末から行われてきた分類法。一般にシリカ鉱物を欠き,アルカリ長石が相対的に多い。塩基性岩の一部を除き斜長石 (石灰ソーダ長石) を含まない。多くの種類があって岩石名も多い。火山岩ではアルカリ橄欖石玄武岩粗面岩アルカリ流紋岩深成岩ではアルカリ花崗岩などがある。大西洋内部,アフリカ東部,地中海沿岸,日本海周辺などに分布するが,カルク・アルカリ岩ソレアイト岩系の火成岩よりも量は少い。成因については橄欖石玄武岩マグマの結晶分化,マグマと石灰岩との混成作用などの諸説がある。

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百科事典マイペディアの解説

アルカリ岩【アルカリがん】

アルカリ分(Na2OとK2O)を多量に含む火成岩。アルカリ長石を多く含み,準長石,アルカリ角セン石,アルカリ輝石を含む。アルカリ岩に属する粗面玄武岩粗面安山岩,流紋岩およびその深成岩相をアルカリ岩系と呼ぶ。

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岩石学辞典の解説

アルカリ岩

(1) イディングスは火成岩をアルカリ(alkali)岩と亜アルカリ(subalkali)岩とに分けることを提案した[Iddings : 1892].ローゼンブッシュは火成岩の鉱物学的および化学的な検討からアルカリ系列とカルク・アルカリ系列を考えた[Rosenbusch : 1907].アルカリ系列ではアルカリ量がアルミナに伴って増加するが,その際にアルカリ・アルミナ珪酸塩を作るために必要なアルカリ量よりもアルミナ量が少ない場合にはアルカリの一部が鉄と結合してエジリン分子を形成する.アルカリ岩にはアルカリ長石,准長石が普通に含まれ,輝石および角閃石はNaに富み斜方輝石は含まれない[Rosenbusch. & Osann : 1923].アルカリ岩は,他の成分に対するアルカリの量によって,鉱物の含有量が制限される.一般にNa輝石またはNa角閃石の存在と,伴われる准長石の有無などが代表的なものである[Tilley : 1957].
(2) ピーコックはこの語を准長石を含む岩石で,アルカリ石灰指数(alkali-lime index)を51以下に限定して用いた[Peacock : 1931].ピーコックの分類は比較的狭い地域で組成変化を示す火成岩のグループの傾向には有効であるが,組成変化の乏しい岩石群や個数の少ない場合に決めることはむずかしい[鈴木 : 1994].ティレルはアルカリ岩(alkali rock)および系列のグループとしている[Tyrrell : 1926].アルカリ質を表す英語にはalkalicとalkalineの表現が使われているが,地質学での使用の仕方はあいまいである.米国地質学協会ではアルカリ岩やアルカリ溶液にはalkalicという語を使用することを推薦している[American Geological Institute : 1962].名詞のalkaliを用いる場合にはアルカリ花崗岩(alkali-granite)というようにハイフンで結ぶことが多いようである.日本語でも形容詞としてのアルカリ(alkali)とアルカリ質(alkalicまたはalkaline)の用法は混乱している[鈴木 : 1994].

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世界大百科事典 第2版の解説

アルカリがん【アルカリ岩 alkaline rock】

地球上の火成岩をその成因にかかわりなく鉱物や化学組成上の特徴にもとづいて,アルカリ岩と非アルカリ岩に分類することが19世紀後半から行われた。ただし分類の定義はあいまいで人により異なる。イディングズJ.P.IddingsはSiO2やAl2O3に対し,比較的Na2O+K2Oが多い岩石をアルカリ岩とした(1892)。シャンドS.J.Shandは準長石鉱物を含む岩石をアルカリ岩とした(1922)。ケネディW.Q.Kennedyはノルムにカンラン石と少量のネフェリンを含む玄武岩質マグマ(カンラン石玄武岩マグマ型)が分化してアルカリ岩を生じ,ソレアイトからは非アルカリ岩を生じると考えた(1933)。

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大辞林 第三版の解説

アルカリがん【アルカリ岩】

二酸化ケイ素に比して、ナトリウム・カリウムの割合が多い火成岩の総称。一九世紀末より、火成岩を、アルカリ岩と非アルカリ岩とに区分することがよく行われてきた。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

アルカリ岩
あるかりがん
alkali rock

他の成分に比べてアルカリ含有量が多い火成岩。通常、石英などのケイ酸鉱物を含まず、特徴的な鉱物としてソーダ輝石、ソーダ角閃(かくせん)石、チタン輝石を含んだりする。火成岩類のアルカリの量はケイ酸SiO2の量と関連して変化しているので、ケイ酸の量を基準としてアルカリNa2O+K2Oの含有量を比較する。アルカリ岩はケイ酸の過不足の程度によって、(1)准長石を含まない系列(アルカリ玄武岩、粗面玄武岩、粗面安山岩、粗面岩、アルカリ流紋岩、アルカリ斑糲(はんれい)岩、モンゾナイト、閃長岩)、(2)長石と准長石を含む系列(ベイサナイト、テフライト、フォノライト、エセックサイト、准長石閃長岩)、(3)准長石を含み長石を含まない系列(霞(かすみ)岩、白榴(はくりゅう)岩、黄長岩、ジャクピランジャイト、メルティジャイト、アイヨライト、ウルタイト)に分けられる。アルカリ岩の構成鉱物は、(1)の系列では、斜長石、カリ長石、アノーソクレース、方沸石(ほうふっせき)、少量のケイ酸鉱物、橄欖(かんらん)石、単斜輝石、アルカリ角閃石、黒雲母(うんも)、鉄鉱石など。(2)の系列では、斜長石、霞石、リューサイト、方沸石、ノゼライト、アウインなどで、苦鉄(くてつ)質鉱物は(1)とほぼ同じである。(3)の系列では、長石は含まれず、霞石、リューサイト、方沸石、ノゼライト、アウイン、ソーダライト、カルシライト、それに(1)とほぼ同じ苦鉄質鉱物と金雲母などである。
 アルカリ岩を形成したマグマは、ソレイアイト質マグマに比較して、マントルのより深い位置で発生するという考え方が有力である。この考え方によれば、太平洋側から日本海側に向かって深度を増す等深発地震面に沿ってマグマが発生し、日本海側、大陸側では深い位置でマグマが発生するため、アルカリに富むものになるとする。このほか、ソレイアイト質マグマからも分化作用、混成作用などの過程によってアルカリ質マグマが形成されるとする考え方もある。東アフリカ地溝帯ではカーボナタイトとよばれる炭酸塩を主体とする噴出物がアルカリ火山活動に伴っている。南アフリカやオーストラリアの、ダイヤモンドを産出するキンバーライトはアルカリ火山岩の一種である。アルカリ岩は地中海周辺にも多い。アジアでは朝鮮から中国にかけての白頭山、蓋馬(かいま)高原、それに鬱陵(うつりょう)島、済州島などでみられる。日本では島根県浜田、秋田県男鹿(おが)、山形県鶴岡(つるおか)市温海(あつみ)、島根県隠岐(おき)、長崎県の壱岐(いき)と五島列島、長野県木曽(きそ)の御嶽(おんたけ)山などがある。主として日本海側に分布し、環日本海アルカリ岩石区をつくっている。[矢島敏彦]

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