アルゴス(英語表記)Argos

翻訳|Argos

デジタル大辞泉 「アルゴス」の意味・読み・例文・類語

アルゴス(Argos)

ギリシャ神話で、多くの目を持った王子の名》データ収集衛星システム。地上を動く物体につけた発信器からの電波人工衛星が受信し、その位置を追跡するもの。海流や動物の行動調査などに使用。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アルゴス」の意味・わかりやすい解説

アルゴス
Argos

ギリシアのペロポネソス半島北東部のアルゴリス地方の中心都市。中期青銅器時代から人が住み,ミケーネ期に隆盛をみた。前 1100~1000年ドーリス人がここを基地に半島へ侵入したと推定される。前8世紀頃からスパルタ抗争,前 669年これを破って半島の度量衡を統一したが,スパルタの力が伸びるにつれて,アテネコリントテーベと次々に結んで対抗した。テーベが衰えるとマケドニアフィリッポス2世の支援を求め,前 229年にはアカイア連盟に加盟。前 146年のローマのコリント破壊で相対的に重要性を増し,アカイア連盟の中核となった。3世紀後半頃一時ゴート人に占拠されたが,ビザンチン時代には繁栄。 1204年フランク人のアカイア王国建設でアルゴスは衰退した。 14~15世紀にトルコ人に侵入され,住民はアルバニア人と入れ替わった。 19世紀のギリシア独立戦争で最初の自由議会がアルゴスに招集された。現在は人口が2万 2256 (1991推計) の都市。

アルゴス
Argos

ギリシア神話の怪力の巨人。身体中に 100の目をもち,その半分が眠っても,残りの 50の目は目ざめていたという。アルカディア地方を荒した雄牛を退治し,その皮をはいで自分の衣服の代りにしたり,女怪エキドナを殺すなど,多くの手柄をあげたが,雌牛に変えられたゼウスの愛人イオの見張りをヘラに命じられたために,ゼウスに派遣されたヘルメスによって殺された。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アルゴス」の意味・わかりやすい解説

アルゴス(都市国家)
あるごす
Argos

古代ギリシアのアルゴリス地方のポリス(都市国家)。神話伝説の世界で重要な位置を占め、ミケーネ時代にアカイア人の手でアクロポリスに城砦(じょうさい)が築かれた。紀元前1100年ごろドーリス人の支配に移り、ポリス成立後、前7世紀の王フェイドンPheidōnのもとで繁栄の頂点に達した。以後はペロポネソス半島の覇権をめぐる争いにおいてスパルタに押されるようになり、ペルシア戦争の際はペルシアに好意的な中立の立場をとり、前5~前4世紀にも何度かスパルタと戦ったが、昔日の勢力を回復することはできず、前146年ローマの属州に組み込まれた。

 今日のアルゴスはアルゴリス県に属し、牧畜とタバコ生産を主産業とする人口2万0702(1981)の地方都市。アゴラ(広場)、劇場、ローマ浴場など古代の遺跡が残る。

[清永昭次]


アルゴス(ギリシア神話)
あるごす
Argos

ギリシア神話に登場する、体に多くの目を備えた巨人。アルカディアを荒らすサティロスや、通行人をひっさらう怪物エキドナを退治し、またフォロネウスの子アピスの殺害者たちも殺した。ゼウスの正妻ヘラの命令で、牝牛(めうし)に変身したイオを見張っていたとき、イオを愛するゼウスの命を受けたヘルメスにより殺された。ヘラはアルゴスを哀れみ、彼のたくさんの目を取り出して孔雀(くじゃく)の羽の飾りにしたと伝えられる。

[小川正広]

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「アルゴス」の解説

アルゴス
Argos

ギリシアのペロポネソス半島東北部に位置する有力ポリス。ここを中心とする地方をアルゴリスと呼ぶ。ミケーネ時代に城砦が築かれ,伝説上も有名。のちドーリア人の半島東部支配の牙城となり,前700年頃全盛期を迎える。前6世紀以降,スパルタと対立しながらしだいに衰退に向かった。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のアルゴスの言及

【アルゴナウタイ伝説】より

…遠征を決意したイアソンのもとにはヘラの導きで50人余の英雄が全ギリシアから参集した。船大工のアルゴスArgosはアテナ女神の加護のもと50人の櫂座をもつ人類最初の大船を造り,アテナみずから,有名なゼウスの神託所ドドナの森のカシ材から人語を発する不思議な木片を造り,へさきに取りつけ,アルゴ船(〈迅速号〉ほどの意)と名づけた。乗組員には隊長のイアソンのほか,ペレウス,テセウス,アドメトスAdmētos,オルフェウス,メレアグロス,ヘラクレスなど,トロイア戦争の英雄の1ないし2世代前の有名な英雄が名を連ねた。…

【クジャク(孔雀)】より

…それゆえに,古代ギリシアでは天空神ゼウスの妻ヘラの聖鳥とされた。また,全身に目をもつ怪物アルゴスは,死んでクジャクに変身したとも,ヘラがその目をクジャクの尾羽にちりばめたとも伝えられる。尾羽が抜け変わるところから,キリスト教社会ではクジャクを復活の象徴ともした。…

【ヘラ】より

…彼女はまたアフロディテ,アテナ両女神と美を競ったものの,トロイア王子パリスの審判で敗れたため,やがて起こったトロイア戦争で終始トロイア方に敵対したばかりか,トロイア陥落後,新しい祖国を求めて旅立ったローマ建国の祖アエネアスをも迫害しつづけたという。 彼女の崇拝地としてはペロポネソス半島のアルゴスとイオニア地方のサモス島が名高く,両所では彼女は町の守護神でもあった。またアルゴス,サモスを含むいくつかの土地では,ゼウスとヘラの結婚を記念する〈聖婚hieros gamos〉の儀式が行われ,ボイオティア地方のプラタイアイのそれは,オークの木で作られ,花嫁に付き添う乙女とともに荷車でキタイロン山に運ばれるヘラの神像の名からダイダラDaidala祭と呼ばれていた。…

【目∥眼】より

…《山海経》には1眼や多眼の怪物・怪獣が枚挙にいとまがないほどあるが,インドでもたぐいない美女ティローッタマーを眺めるためにインドラ神に1000個の目ができたという話がある。けれども一般に多眼も両義性を表すとされ,満天の星のごとく万象を照らしながらも多眼の当人は暗黒に取り残されているのは,ギリシア神話で100眼をもつアルゴスが一瞬の眠りにすべての目を閉じたすきにヘルメスに首を切られた例に象徴されている。 仏教には五眼(ごげん)がある。…

【アルゴリス】より

…ミュケナイやティリュンスの王城址は,それを示す代表的な遺跡である。ミュケナイ時代終焉ののち,この地方にはドリス人の支配する都市国家が多数成立したが,それらのなかでもっとも有力だったのがアルゴスArgosで,このポリスは,以後,南方の強国スパルタと敵対しつつ,ペロポネソス半島の一方の雄たるの地位を占めつづけた。前5世紀には,ミュケナイ,ティリュンス,ナウプリア,アシネなどアルゴス平野の諸市がアルゴスに併合されている。…

※「アルゴス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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