アレイクサンドレ(英語表記)Vicente Aleixandre

デジタル大辞泉 「アレイクサンドレ」の意味・読み・例文・類語

アレイクサンドレ(Vicente Aleixandre y Merlo)

[1898~1984]スペイン詩人セビリア生まれ。シュールレアリスムロマンチシズム融合した作風で知られる。ガルシア=ロルカらとともに、1920年代後半から1930年代にかけて活躍した「27年世代」の一人に数えられる。1977年、ノーベル文学賞受賞詩集楽園の影」「心の歴史」など。

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改訂新版 世界大百科事典 「アレイクサンドレ」の意味・わかりやすい解説

アレイクサンドレ
Vicente Aleixandre
生没年:1898-1984

スペインの詩人。自らもその一員である〈27年世代〉のギリェンサリーナスの影響下に詩作を開始。《唇のごとき剣》(1932)や国民文学賞受賞の《破壊もしくは愛》(1935)などでは本来のロマン主義的傾向に加えて,シュルレアリスム技法を独自の形で用い,愛による宇宙との融合を目指すとともに汎神論的世界を創出している。代表作楽園の翳》(1944)もその延長線上にある。《成就の詩》(1968),《認識の対話》(1974)でも愛,人間の本質的孤独,生命と自然に対する情熱など,彼特有のテーマが歌われている。病弱のため内戦後も国内にとどまった彼は,第2次大戦の後世代の師の役割を果たしてきたが,1977年,〈27年世代〉の代表という形でノーベル文学賞を受賞した。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アレイクサンドレ」の意味・わかりやすい解説

アレイクサンドレ
Aleixandre, Vicente

[生]1898.4.26. セビリア
[没]1984.12.14. マドリード
スペインの詩人。「1927年の世代」に属す。 1977年度ノーベル文学賞受賞者。病弱の詩人で,内乱後も自国にとどまり,国内追放の身となった。愛と死,人間と大地などといったテーマの底に静かな哀調を漂わせる作品『破壊,もしくは愛』 La destrucción o el amor (1935) ,『心の歴史』 Historia del corazón (54) や,晩年の死,知,宗教的体験をテーマにした哲学的な作品『成就の詩』 Poemas de la consumación (68) ,『認識の対話』 Diálogos del conocimiento (74) などがある。ロマンティシズムの奔放な文体とシュルレアリスムを結合させ,詩をイマージュと象徴によって顕現する絶対的現実への過程と考える。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「アレイクサンドレ」の意味・わかりやすい解説

アレイクサンドレ
あれいくさんどれ
Vicente Aleixandre
(1898―1984)

スペインの詩人。セビーリャに生まれ、マラガに住む。のちにマドリードに出て法律、商業を学ぶ。病弱のため静居し詩作に専念。ロマンチシズムとシュルレアリスムが彼の大多数の作品の根幹にある。膨大な作品のなかで、愛を通じ人と自然との汎神(はんしん)論的な融合を歌った『破壊すなわち愛』(1935)、スペイン戦後詩の記念碑的作品『楽園の影』(1944)、人との連帯意識を強めた『心の歴史』(1954)、『広大な領域にて』(1962)、自己の存在の現在の意味を見つめた『完結の詩(うた)』(1966)などが代表作としてあげられる。詩語の圧倒的な美しさ、奔放で壮大なイメージ、深い人間性は彼を名実ともにスペインを代表する詩人にしている。1977年ノーベル文学賞受賞。アカデミー会員(1949)。

[有本紀明]

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百科事典マイペディア 「アレイクサンドレ」の意味・わかりやすい解説

アレイクサンドレ

スペインの詩人。ロマンティシズムとシュルレアリスムを踏まえた膨大な作品を残した。前期の代表作《破壊もしくは愛》(1935年),《楽園の影》(1944年)などでは,愛を通じた人間と自然との汎神論的融合が,情熱的で奔放なイメージによって歌われている。《心の歴史》(1954年)以降,題材が日常的なものへと変わり,時の規制のもとに生きる人間の生,孤独な連帯感がテーマとして正面に打ち出されるようになる。1977年ノーベル文学賞を受賞。

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世界大百科事典(旧版)内のアレイクサンドレの言及

【スペイン文学】より

…1927年,〈黄金世紀〉の詩人ゴンゴラの300年忌に合わせてグループを結成した一群の詩人を〈27年世代〉と呼ぶ。これは〈20世紀前半のヨーロッパ抒情詩が生んだ,おそらく最も貴重な宝〉(フーゴ・フリードリヒ)といわれるグループで,《ジプシー歌集》,そして《血の婚礼》をはじめとする三大悲劇により,詩人・劇作家として世界的名声をはせているF.ガルシア・ロルカ,V.アレイクサンドレ,純粋詩のJ.ギリェンらがその中核をなしている。
【戦後文学】
 国内を二分した内戦後のフランコ独裁体制は優れた作家を国外に追いやり,多くの才能を圧迫したため,戦後しばらくは文学的不毛の時が続いたが,小説ではC.J.セラの《パスクアル・ドゥアルテの家族》やラフォレCarmen Laforet(1921‐ )の《無》,詩ではD.アロンソの《怒りの息子》,そして演劇ではA.ブエロ・バリェホの《ある階段の物語》によって戦後文学が曙を迎えた。…

※「アレイクサンドレ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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