イオン結合(読み)イオンケツゴウ(その他表記)ionic bond

翻訳|ionic bond

デジタル大辞泉 「イオン結合」の意味・読み・例文・類語

イオン‐けつごう〔‐ケツガフ〕【イオン結合】

陽イオン陰イオンとの静電気引力クーロン力)による結合異極結合

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精選版 日本国語大辞典 「イオン結合」の意味・読み・例文・類語

イオン‐けつごう‥ケツガフ【イオン結合】

  1. 〘 名詞 〙 正・負の電荷をもつイオン間の静電引力による原子の結合様式。塩化ナトリウム、ホタル石など無機塩類にみられるが、多く共有結合を伴っている。異極結合。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「イオン結合」の意味・わかりやすい解説

イオン結合
いおんけつごう
ionic bond

化学結合の一つ。陽イオンと陰イオンとが集まって生成するイオン結晶中での、陽イオンと陰イオンの間にみられる結合。イオン結晶中では、イオン間にみられる静電引力は方向性がなく、一つずつのイオンはできるだけ多数の反対符号のイオンを周りに、しかもできるだけ近くに引き付けようとする。しかし正負のイオンが接近すると、それぞれのイオンにおける外殻電子による反発力が大きくなり、引力と反発力が平衡に達した一定の位置で安定となる。

 化学結合のなかでも共有結合とともにもっとも基本的な結合であるが、実際にみられる化学結合では、純粋なイオン結合と考えられる場合はそれほど多くなく、普通、イオン結合といわれるものも、多くはいくらかの共有結合的要素が入ってきている。また普通、共有結合といわれるものにも、多くはいくらかのイオン結合的要素が入ってきている。

[中原勝儼]

『藤谷正一・木野邑恭三・石原武司著『絵とき 化学結合の見方・考え方』(1987・オーム社)』『ミシェル・シュアール、ブリジット・プロー、リオネル・プロー著、中原勝儼・一国雅巳訳『物理化学概説』(1988・東京化学同人)』『山内淳・平山鋭・谷口仁・東長雄著『物理化学の基礎』(1989・朝倉書店)』『イアン・S・バトラー、ジョン・F・ハロッド著、荻野博・下井守・飛田博実訳、荻野博監訳『無機化学』上(1992・丸善)』『E・カートメル、G・W・A・ファウルズ著、久保昌二訳『原子価と分子構造』(1993・丸善)』『一國雅巳著『基礎無機化学』改訂版(2008・裳華房)』

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改訂新版 世界大百科事典 「イオン結合」の意味・わかりやすい解説

イオン結合 (イオンけつごう)
ionic bond

負イオン間の静電的引力に基づく化学結合様式をいう。その典型的な例は,食塩(塩化ナトリウム)Na⁺Cl⁻,蛍石フッ化カルシウム)Ca2⁺(F⁻)2など無機化合物の結晶に多くみられる。イオン結合をもつ物質は,一般に固体を形成するとき,正負イオンが規則的に配列しているイオン格子をつくり,明確な〈NaCl分子〉ともいうべき分子は蒸気の状態を除いて存在しない。融点はかなり高く,融解または溶解すれば崩壊してイオンとなり電導性を生じる。光の吸収その他の諸性質は,格子振動によるものを除いてだいたい個々のイオンの和として表される。イオン結合の原子間距離もイオン半径の和として表され,共有結合の場合より相対的に長い。イオン結合のエネルギーは,ばらばらの正負イオンが安定な結晶をつくるときのエネルギー低下の量から計算される。実際には,純粋なイオン結合,共有結合,金属結合とみなされるものはまれで,イオン性をもつ共有結合,共有性をもつイオン結合など,多くはその中間的である。
イオン結晶 →化学結合
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百科事典マイペディア 「イオン結合」の意味・わかりやすい解説

イオン結合【イオンけつごう】

化学結合の一形式で,陽イオンおよび陰イオンの間の静電引力によって形成される結合。一般に金属元素は陽イオン,ハロゲンなどの非金属元素は陰イオンになりやすく,これらが集まってイオン結合によりイオン結晶をつくりやすい。ただし実際のイオン結晶では完全なイオン結合はほとんどなく,一般には多少の共有結合性をもっている。
→関連項目巨大分子

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化学辞典 第2版 「イオン結合」の解説

イオン結合
イオンケツゴウ
ionic bond

正と負のイオンが静電引力によって形成する結合.金属元素と非金属元素からなる化合物に見られる.たとえば,KCl結晶のように,金属原子Kは正イオン K に,非金属原子Clは負イオン Cl になってイオン結晶を形成する.ただし,KCl分子は気体状態でも存在できるが,そのときは,イオン結合性と共有結合性がほぼ50% ずつになっている.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イオン結合」の意味・わかりやすい解説

イオン結合
イオンけつごう
ionic bond

陽イオンと陰イオンが,静電気引力で結びついてできる化学結合。金属と非金属のように電気陰性度の差の大きいものほどイオン結合による化合物をつくりやすい。またこれらの化合物は一般にイオン結晶をつくる。食塩はその典型的な例である。

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栄養・生化学辞典 「イオン結合」の解説

イオン結合

 カチオンとアニオンの間のクーロン引力によってできる化学結合,例えばNaClにおけるNaとClの結合など.

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世界大百科事典(旧版)内のイオン結合の言及

【化学結合】より

…もちろん当時はこのような結合形成の機構に対して理論的な裏づけはなかったが,今日では量子力学的に裏づけられ,現在の化学結合概念を築く基礎になっている。
[化学結合の種類]
 化学結合には電荷の偏りぐあい,強弱など種々あるが,多くの化学的な事実から帰納的に大別するとイオン結合,共有結合,金属結合が重要である。そのほかに配位結合,水素結合,電荷移動相互作用など,また電気双極子や分極に基づく相互作用もある。…

【固体】より

…原子が集まって固体をつくるときには,原子間に電子のやりとりが起こる。そのやりとりのしかたによって,固体はイオン結合物質,共有結合物質,金属結合物質に分類される。イオン結合物質の典型的な例としては,食塩の主成分である塩化ナトリウムNaClをあげることができる。…

※「イオン結合」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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