デジタル大辞泉 「イカロス」の意味・読み・例文・類語
イカロス(Ikaros)
《Interplanetary Kite-craft Accelerated by Radiation Of the Sun》
ギリシア伝説で,名工匠ダイダロスの子。アテナイの王子テセウスがクレタ島の迷宮ラビュリントスにひそむ人身牛頭の怪物ミノタウロス退治にやってきたとき,ダイダロスはテセウスに恋したミノス王の娘アリアドネに,王子が迷宮内で道に迷わぬための糸球の策を授け,テセウスの壮挙を成功に導かせた。これを怒ったミノスはダイダロスとイカロスを迷宮内に幽閉し,彼らの逃亡にそなえて島のあらゆる港の警備を固めたので,ダイダロスは人工の翼を考案し,父子は空から島を脱出した。しかしイカロスは父の命にそむいて高空を飛翔(ひしよう)したため翼を固めた蠟が太陽の熱に溶け,エーゲ海南部,小アジア沿岸付近の海に落ちて死んだ。以後この海はイカリア海と呼ばれるようになったという。この話はラテン詩人オウィディウスの《転身物語》でよく知られ,その記述に想を得た近代の名画にブリューゲルの《イカロスの墜落》がある。
執筆者:水谷 智洋
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ギリシア神話の工匠ダイダロスと、クレタ王ミノスの女奴隷ナウクラテの間に生まれた子。ダイダロスは、アリアドネに、迷宮ラビリントスから英雄テセウスを救い出す方法を教えた。そのためテセウスが怪物ミノタウロスを退治したことを知って怒ったミノス王は、ダイダロスとイカロス父子を迷宮ラビリントスに閉じ込めた。しかし、ダイダロスは翼を考案してそれを自分と息子の肩に蝋(ろう)で固定し、迷宮からの脱出に成功した。ところが息子イカロスは、天高く飛んではならないという父親の忠告を忘れて得意になって高く飛翔(ひしょう)したため、太陽の熱で翼の蝋が溶け、海中に落下して溺(おぼ)れ死んだ。彼の落ちた海はその後イカロス海となった。
[小川正広]
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…容姿に恵まれ,卓抜した技術をもち古典にも新作にも優れた演技を示した。舞踊における屈曲線の開発を試みた《バッコスとアリアドネBacchus et Ariane》(1931),振付を音楽の束縛から解き放つためリズムのみで踊る《イカロスIcare》(1935)など実験的作品を発表した。ほかに《白の組曲》(1943),《ミラージュ》(1944),《フェードル》(1950)など。…
…その後,アテナイの王子テセウスが怪物退治にやってきたときには,テセウスに恋した王女アリアドネに,王子が迷宮内で道に迷わぬための糸球の策を授けた。ミノスは怒ってダイダロスとその子イカロスを迷宮内に幽閉したが,工匠は人工の翼を考案し,父子は空から島を脱出,イカロスは途中で海に墜落して死んだが,ダイダロスは無事シチリア島に逃れたという。彼は鋸,斧,錐,神像,マストなどの発明者とされ,アテナイにはダイダリダイDaidalidai(〈ダイダロスの後裔〉の意)と称する氏族があった。…
※「イカロス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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