イカロス(英語表記)Ikaros

デジタル大辞泉 「イカロス」の意味・読み・例文・類語

イカロス(Ikaros)

ギリシャ神話中の若者。父ダイダロスの考案したろうづけの翼でクレタ島から脱出したが、あまりに高く飛んだため、太陽の熱で蝋が溶け、海中落ちて死ぬ。ラテン語名、イカルス
Interplanetary Kite-craft Accelerated by Radiation Of the SunJAXAジャクサ(宇宙航空研究開発機構)による太陽帆実証機。平成22年(2010)5月、金星探査機あかつきとともに打ち上げられた。一辺14メートルの四角形の薄膜を展開し、太陽光の圧力を受けて推進する。太陽帆による加速減速、および帆の向きの調整による軌道制御のほか、帆の一部に貼り付けられた太陽電池による発電を技術的な目標とする。

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精選版 日本国語大辞典 「イカロス」の意味・読み・例文・類語

イカロス

  1. ( [ギリシア語] Ikaros ) ギリシア神話中の青年。クレタ島の迷宮ラビリントスから、父ダイダロスの考案した蝋(ろう)付けの翼で脱出に成功するが、父の忠告を聞かず天高く飛んだため、太陽の熱で蝋が溶けてしまい海に落ちて溺死する。イカルス。

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改訂新版 世界大百科事典 「イカロス」の意味・わかりやすい解説

イカロス
Ikaros

ギリシア伝説で,名工匠ダイダロスの子。アテナイの王子テセウスがクレタ島の迷宮ラビュリントスにひそむ人身牛頭の怪物ミノタウロス退治にやってきたとき,ダイダロスはテセウスに恋したミノス王の娘アリアドネに,王子が迷宮内で道に迷わぬための糸球の策を授け,テセウスの壮挙を成功に導かせた。これを怒ったミノスはダイダロスとイカロスを迷宮内に幽閉し,彼らの逃亡にそなえて島のあらゆる港の警備を固めたので,ダイダロスは人工の翼を考案し,父子は空から島を脱出した。しかしイカロスは父の命にそむいて高空飛翔(ひしよう)したため翼を固めた蠟が太陽の熱に溶け,エーゲ海南部,小アジア沿岸付近の海に落ちて死んだ。以後この海はイカリア海と呼ばれるようになったという。この話はラテン詩人オウィディウスの《転身物語》でよく知られ,その記述に想を得た近代の名画ブリューゲルの《イカロスの墜落》がある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「イカロス」の意味・わかりやすい解説

イカロス
いかろす
Ikaros

ギリシア神話の工匠ダイダロスと、クレタ王ミノスの女奴隷ナウクラテの間に生まれた子。ダイダロスは、アリアドネに、迷宮ラビリントスから英雄テセウスを救い出す方法を教えた。そのためテセウスが怪物ミノタウロスを退治したことを知って怒ったミノス王は、ダイダロスとイカロス父子を迷宮ラビリントスに閉じ込めた。しかし、ダイダロスは翼を考案してそれを自分と息子の肩に蝋(ろう)で固定し、迷宮からの脱出に成功した。ところが息子イカロスは、天高く飛んではならないという父親の忠告を忘れて得意になって高く飛翔(ひしょう)したため、太陽の熱で翼の蝋が溶け、海中に落下して溺(おぼ)れ死んだ。彼の落ちた海はその後イカロス海となった。

[小川正広]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イカロス」の意味・わかりやすい解説

イカロス
Ikaros

ギリシア神話の人物。クレタ島の迷宮を建設した有名な工人ダイダロスの息子。ミノタウロスがテセウスによって退治されたあと,この殺害にダイダロスが手をかしたことを怒ったミノスによって,父とともに迷宮に閉じ込められた。ダイダロスは人工の翼を発明し,それを自分と息子の肩にろうで貼りつけて空に飛上がり,迷宮から脱出したが,飛んでいく途中でイカロスは,父の注意を忘れ,太陽に近づきすぎたために,熱でろうが溶け,翼が取れて海に落ち,溺れ死んだとされる。

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百科事典マイペディア 「イカロス」の意味・わかりやすい解説

イカロス

ギリシア伝説の名工ダイダロスの子。ミノス王によって父とともに投獄されたが,父が蝋と羽毛で作った人工翼を用いてともに脱獄する。しかしイカロスは飛行中太陽に接近しすぎたため翼が溶けエーゲ海に墜落した。以来その海はイカリア海と呼ばれるようになったという。
→関連項目イカリア[島]

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デジタル大辞泉プラス 「イカロス」の解説

イカロス〔映画〕

2017年のアメリカの長編ドキュメンタリー映画。原題《Icarus》。監督:ブライアン・フォーゲル。スポーツ界のドーピング問題を描く。第90回アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞を受賞。

イカロス〔曲名〕

日本のポピュラー音楽。作詞・作曲と歌はJ-POPグループ、GReeeeN。2013年発売。清涼飲料の「カルピスソーダ」のCMに起用。

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世界大百科事典(旧版)内のイカロスの言及

【リファール】より

…容姿に恵まれ,卓抜した技術をもち古典にも新作にも優れた演技を示した。舞踊における屈曲線の開発を試みた《バッコスとアリアドネBacchus et Ariane》(1931),振付を音楽の束縛から解き放つためリズムのみで踊る《イカロスIcare》(1935)など実験的作品を発表した。ほかに《白の組曲》(1943),《ミラージュ》(1944),《フェードル》(1950)など。…

【ダイダロス】より

…その後,アテナイの王子テセウスが怪物退治にやってきたときには,テセウスに恋した王女アリアドネに,王子が迷宮内で道に迷わぬための糸球の策を授けた。ミノスは怒ってダイダロスとその子イカロスを迷宮内に幽閉したが,工匠は人工の翼を考案し,父子は空から島を脱出,イカロスは途中で海に墜落して死んだが,ダイダロスは無事シチリア島に逃れたという。彼は鋸,斧,錐,神像,マストなどの発明者とされ,アテナイにはダイダリダイDaidalidai(〈ダイダロスの後裔〉の意)と称する氏族があった。…

※「イカロス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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