(読み)アカツキ

デジタル大辞泉 「暁」の意味・読み・例文・類語

あか‐つき【暁】

《「あかとき(明時)」の音変化》
太陽の昇る前のほの暗いころ。古くは、夜半から夜の明けるころまでの時刻の推移を「あかつき」「しののめ」「あけぼの」と区分し、「あかつき」は夜深い刻限をさして用いられた。夜明け明け方
待ち望んでいたことが実現する、その際。「当選のには」
[補説]金星探査機は別項。→あかつき
[類語]明け方夜明け未明朝まだき明け黎明朝明け残夜かわたれ時白白明け朝ぼらけ有明東雲しののめ払暁早暁薄明夜明け前鶏鳴あした朝方朝っぱら早朝モーニング

ぎょう【暁〔曉〕】[漢字項目]

常用漢字] [音]ギョウ(ゲウ)(慣) [訓]あかつき さとる さとす
夜明け。あかつき。「暁光暁天今暁昨暁春暁早暁払暁
はっきり悟る。「暁達通暁
[名のり]あき・あきら・あけ・さとし・とき・とし

あかつき[金星探査機]

平成22年(2010)5月、JAXA(宇宙航空研究開発機構)が打ち上げた日本初の金星探査機PLANET-Cプラネットシーの愛称。赤外線紫外線などの各種カメラを搭載し、金星上空の広範囲で吹くスーパーローテーションや、上空から表面近くまでの硫酸の雲で覆われた大気の動きを詳細に観測している。同年12月に金星の周回軌道への投入を試みたが、主エンジンの故障により失敗、太陽周回軌道に入った。平成27年(2015)12月、姿勢制御用の小型エンジンの噴射により、金星周回軌道への投入に成功した。

あか‐とき【暁】

《「明時あかとき」の意で、「あかつき」の古形》夜半から明け方までの時刻。また、夜明け方
「秋の夜は―寒し白たへのいもが衣手着むよしもがも」〈・三九四五〉

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精選版 日本国語大辞典 「暁」の意味・読み・例文・類語

あか‐つき【暁】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「あかとき」の変化した語 )
  2. 夜半過ぎから夜明け近くのまだ暗いころまで。未明。また、夜明けに近い時分。現在では、明け方のやや明るくなった時分をいう。
    1. [初出の実例]「時に二の鹿、傍に臥せり。鶏鳴(アカツキ)に及ばむとして牡鹿(しか)牝鹿(めか)に謂ひて曰く」(出典:日本書紀(720)仁徳三八年七月(前田本訓))
    2. 「あか月深くかへり給ふ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)葵)
  3. あかつきおき(暁起)」の略。
    1. [初出の実例]「たてへだてゐて、うち行ひたるあかつきの額(ぬか)など、いみじうあはれなり」(出典:枕草子(10C終)一一九)
  4. 香木の名。分類は伽羅(きゃら)
  5. ある物事が実現したその時。また、物事の解決、処理。始末。
    1. [初出の実例]「コウ伴頭さん、いいかげんに往生しなせへ。此暁(アカツキ)はどうしてくれるよ」(出典:歌舞伎・与話情浮名横櫛(切られ与三)(1853)五幕)
    2. 「もし主人の様な人間が教師として存在しなくなった暁には」(出典:吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉九)

暁の語誌

( 1 )上代には「あかとき」で、中古以後「あかつき」となって今日に及ぶ。もともとは、夜を三つに分けたうちの「宵」「夜中」に続く部分をいったが、明ける一歩手前の頃をいう「しののめ」、空が薄明るくなる頃をいう「あけぼの」が、中古にできたために、次第にそれらと混同されるようになった。
( 2 )中古では「あかつき」は歌・散文の双方に用いられるが、「あけぼの」は基本的には文章語(中世和歌には多い)、「しののめ」は歌語である。通い婚の習俗では、「あかつき」は男が女と別れて帰る刻限であり、「あかつきの別れ」などの表現もある。一方、男が訪れるのは「よい」であり、「よいあかつき」と熟した例も見られる。


あか‐とき【暁】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「あかつき」の古形 ) =あかつき(暁)
    1. [初出の実例]「妹を思ひ眠(い)の寝らえぬに安可等吉(アカトキ)の朝霧ごもり雁がねそ鳴く」(出典:万葉集(8C後)一五・三六六五)

暁の語誌

中古以降「あかつき」に転じる。「五更露爾(あかときつゆに)」(万葉‐二二一三)、「鶏鳴露爾(あかときつゆに)」(万葉‐一〇五)等の表記がなされるとおり、夜明け前の未だ暗い頃をさすと見られ、上代語の「あさけ」や中古以降の「あけぼの」よりも一段早い時間帯であった。

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普及版 字通 「暁」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 12画

(旧字)曉
人名用漢字 16画

[字音] ギョウ(ゲウ)
[字訓] あかつき・さとる

[説文解字]

[字形] 形声
旧字は曉に作り、堯(尭)(ぎよう)声。〔説文〕七上に「なり」とあり、晨明(しんめい)の義。堯は土器を焼竈に入れて積み重ね焼きあげる意の字で、曉はその赤い火光の意をとる。また冥々より暁(あ)けるものであるから、暁知・暁覚の意となる。〔広雅、釈詁二〕「くなり」とは、人に教え喩す意である。

[訓義]
1. あかつき、あける、あきらか。
2. さとる、さとす、さとい。
3. ぬけだす、ぬぐ、とく。
4. 饒と通じ、おおい

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕曉 安介奴(あけぬ)、、安志太(あした) 〔名義抄〕曉 アカツキ・サトル・サトス・アケヌ・アシタ・トキ・アキラカニ・アキラカナリ・タトヒ・アラハル

[熟語]
・暁靄・暁慰・暁雨・暁烏・暁雲・暁烟・暁霞・暁笳・暁解・暁会・暁・暁角・暁寒・暁勧・暁鬟・暁気・暁起・暁教・暁暁・暁慧・暁・暁月・暁鼓・暁悟・暁寤・暁光・暁江暁告・暁察・暁事・暁示・暁字・暁識・暁日・暁樹・暁習・暁粥・暁鐘・暁妝・暁餉・暁色・暁燭・暁人・暁水・暁霽・暁星・暁夕・暁雪・暁説・暁川・暁・暁然・暁・暁霜・暁達・暁旦・暁知・暁馳・暁眺・暁暢・暁通・暁庭・暁的・暁天・暁渡・暁得・暁暾・暁白・暁魄・暁発・暁髪・暁譬・暁鬢・暁風・暁・暁望・暁夢・暁明・暁暝・暁喩・暁諭・暁来・暁領・暁了・暁露・暁漏・暁惑
[下接語]
暁・慰暁・戒暁・暁・解暁・該暁・掲暁・告暁・今暁・昏暁・催暁・春暁・初暁・昭暁・暁・晴暁・精暁・早暁・達暁・知暁・通暁・天暁・洞暁・破暁・払暁・分暁・明暁

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクション 「暁」の解説

あかつき【暁】

宮崎の米焼酎。酒名は、小さい酒蔵は朝早くから勤勉に働かなければいけないという戒めにより命名。常圧蒸留で昔ながらの個性の強い酒質を守る。原料は米、米麹。アルコール度数20%、25%、35%。蔵元の「アカツキ酒造」は昭和9年(1934)創業。所在地は西臼杵郡高千穂町大字河内。

あかつき【暁】

滋賀の日本酒。蔵元の「暁酒造」は慶長元年(1596)創業。所在地は野洲市小篠原。

出典 講談社[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクションについて 情報

デジタル大辞泉プラス 「暁」の解説

宮崎県、アカツキ酒造合資会社が製造する米焼酎。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【茶事】より

…今日では夏季のもので,早朝の清涼感を演出する。(4)暁 夜込(よごみ)ともいった。午前4時ころから夜明けの曙光を風情とする。…

【田中栄三】より

…東京生れ。国民英学会の夜学で英文学を学んだのち,新派(藤沢浅二郎)の東京俳優学校に入学し,そこで教授をしていた〈新劇の父〉小山内(おさない)薫から近代劇のドラマトゥルギーや演技のリアリズムを学んだが,新劇では生計が立たず,1917年,当時は新派悲劇的作品を粗製していた日活向島撮影所に入り,翌18年,監督第1作《暁》を発表した。次いで,芸術座が舞台にのせて大成功したトルストイの《生ける屍》(1918)を映画化し,まだ〈活動写真〉の域を脱しきれないものではあったが,演出や演技指導には古い新派の型を破ろうとする新鮮な意欲が見られ,カット・バック,移動撮影,逆光線撮影などが効果的に使用されて注目を浴びた。…

※「暁」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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