イザヤ書(読み)イザヤショ(英語表記)Book of Isaiah

デジタル大辞泉 「イザヤ書」の意味・読み・例文・類語

イザヤ‐しょ【イザヤ書】

旧約聖書預言書の一。全66章。イザヤ預言集の形をとるが、40章以降は、複数無名預言者言葉とされる。「主のしもべの歌」は、メシア預言として有名。

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精選版 日本国語大辞典 「イザヤ書」の意味・読み・例文・類語

イザヤしょ【イザヤ書】

  1. 「旧約聖書」の第二三巻で三大預言書の一つ腐敗堕落したユダヤ民族は神エホバの裁きを受けるが、救世主により、再び平和を得ると預言している。

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改訂新版 世界大百科事典 「イザヤ書」の意味・わかりやすい解説

イザヤ書 (イザヤしょ)
Book of Isaiah

旧約聖書の〈預言者〉の冒頭に収められ,預言者イザヤの名を冠した最も大きな預言書。イザヤ以後,前2世紀までの長い期間に繰り返し加筆編集され,また他の預言集と合体されて現在の形態をとる。今日の学者は全66章を,1~39章,40~55章,56~66章に大別し,それぞれ第1,第2,第3イザヤ(書)と呼ぶ。〈第1イザヤ〉は,預言者イザヤの真正な言葉を含む預言集や,成立年代の最も遅い黙示思想,36章以下の民間説話的なイザヤ伝などの多様な文書から成り,35章までは自国民への審判告知(1~12章),諸国民への審判告知(13~23章),救済預言(24~35章)の三部構成を示す。〈第2イザヤ〉は,バビロン捕囚末期に召命を受けた,名が伝えられていない預言者による,神のイスラエル解放に関する預言と弟子による補筆から成り,後代贖罪の死としてのイエスの死理解に影響を与えた〈苦難しもべの歌〉を含む。〈第3イザヤ〉は,弟子たちによる捕囚帰還後の人々への激励と指示の預言である。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イザヤ書」の意味・わかりやすい解説

イザヤ書
イザヤしょ
Yeshaya; Book of Isaiah

イザヤの名によって残される旧約聖書中最大の預言書。その成立は複数の者によるとされており,内容からみて3部に分けられる。第1部1~39章は前8世紀頃おもに預言者イザヤによって書かれたが,それはイザヤの預言を中心もろもろの題材を編集したものであり,いくつかはイザヤ自身で,またいくつか (11~19,21,23~27,32~35の各章) はより後期の弟子たちによって編まれた。さらに 36~39章は『列王紀下』 18~20章からの引用と思われる。 40~66章がほかのだれかによって書かれたのは確実であり,そのうち 40~55章はバビロニア捕囚後期に書かれたといわれる「第2イザヤ書」,56~66章は「第3イザヤ書」と呼ばれる。第1部は前8世紀頃のユダヤの指導者たちに対して政治的術策に頼らずひたすら神を信ぜよとした預言者の警告が中心である。平和の治政を行う Emmanuel (男子名で「神われらとともにまします」) の誕生についての預言中にも神に敵対する者の運命が告げられている。「第2イザヤ書」はたぶん2世紀ほどのちに書かれ,迫害に苦しむ民への慰謝の言葉と解放が宣せられ,救いへの希望が語られている。 56~66章は帰国後の同胞への励ましと教えが中心で,全体としてまとめられたのは前3世紀頃と思われる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「イザヤ書」の意味・わかりやすい解説

イザヤ書
いざやしょ
The Book of Isaiah

『旧約聖書』の三大預言書の一つ。全体は大きく三つの部分に分かれ、第一部は1~39章、第二部は40~55章、第三部は56~66章。それぞれ第一イザヤ、第二イザヤ、第三イザヤとよばれることがある。第一イザヤは、紀元前8世紀の後半エルサレムで活動した預言者イザヤのことばを中心として編集されている。第二イザヤは、前539年ペルシアによって新バビロニア王国が倒され、ユダ王国の捕囚民がバビロンからユダに帰還を許される時期に書かれた。第二イザヤという無名の預言者が帰還の指導にあたって語ったことばが中心となっている。53章の「苦難の僕(しもべ)」の歌は、キリスト教ではメシア預言と解されている。第三イザヤは、第二イザヤの弟子が、帰還後の困難な時期に語った預言を集めたもので、前6世紀末に書かれたと思われる。

[木田献一]

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百科事典マイペディア 「イザヤ書」の意味・わかりやすい解説

イザヤ書【イザヤしょ】

預言者イザヤ名を冠する旧約聖書中最大の預言書。66章よりなり,〈第1イザヤ〉〈第2イザヤ〉〈第3イザヤ〉を区別する。現行の形態は前2世紀までに種々加筆・編集を経たもの。

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世界大百科事典(旧版)内のイザヤ書の言及

【罪】より

…原罪や〈最後の審判〉でさえ,預言者とそれに続く黙示思想家とによって,イスラエルの歴史と運命の問題として自覚されたのであって,けっして初めからあった抽象的な観念ではない。聖書の罪意識はまったく具体的・現実的なので,たとえば《イザヤ書》45章のように神は〈光をつくり,闇を創造する〉といった,ゾロアスター教の二元論すれすれのことがいわれ,《ヨハネによる福音書》のようにグノーシス的二元論をかかえこむことすらある。あるいは,イエスは病気癒(いや)しの奇跡を多く行ったが,これが罪の赦し(贖罪)と一つであって,およそご利益宗教的ではなかったことは,先に述べた罪の全体性からしてのみ理解されよう。…

※「イザヤ書」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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