日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ウィンクラー(Josef Winckler)
うぃんくらー
Josef Winckler
(1881―1966)
ドイツの作家。歯科医として働くかたわら、1912年、文学同人結社「ハウスニューラント職能人同盟」を設立。『鉄のソネット』(1914)などの詩集で世に出たが、本領は故郷ウェストファーレンの風土に深く根ざした小説にある。とくに代表作『気違いボンベルク』(1923)は諧謔(かいぎゃく)味豊かな現代の悪者小説(ピカレスク小説)として好評を博し、50万部を超えるベストセラーとなる。その他ナポレオンの末弟ジェロームを描いた歴史小説『ウェストファーレンの王』(1933)、ベートーベンの生涯の一挿話による『アデライーデ』(1936)など。第二次世界大戦後は郷土の雑誌の編集にも従事。53年ドロステ・ヒュルスホフ賞を受賞した。
[青木順三]