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ウナギ ウナギAnguilla japonica; Japanese eel

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ウナギ
ウナギ
Anguilla japonica; Japanese eel

ウナギ目ウナギ科の魚。体長最大約 1m。体は細長く円筒状,尾部は側扁する。背部は黒色,腹部は灰白色。鱗は体表下に埋没していて,体表は分泌される粘液でぬるぬるしている。生後5~12年ぐらいになると産卵のため海に下る。

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食の医学館の解説

うなぎ【ウナギ】

《栄養と働き》
 大昔、ウナギは、水神の使いとして神聖視された存在でした。一般的に食べられるようになったのは江戸時代で、平賀源内(ひらがげんない)が「土用の丑(うし)の日」にウナギを食べることを推奨した話が有名です。
 淡泊な食事になりがちな夏に、スタミナをつけ、夏バテ解消を狙った食習慣が、いまも受け継がれています。
レチノールが免疫力を高め、Eが疲労をやわらげる〉
○栄養成分としての働き
 ウナギはたんぱく質が豊富ですが、ほかにもビタミンAをはじめB2、D、E、カルシウムなどがバランスよく含まれている魚です。
 レチノール(ビタミンA)は、免疫力を高め、細菌やウイルスに対抗します。B2は皮膚や消化器官内の粘膜の健康を保つのに役立ちます。動脈硬化症や老化を進行させるといわれる過酸化脂質の分解を助ける働きもあります。つまりビタミンAやE、B2により、生活習慣病を予防し、さらに、皮膚や粘膜(ねんまく)の健康を保ちます。Eは若返りのビタミンと呼ばれ、活性酸素を除去し、末梢(まっしょう)血管を拡張し、老化を予防します。
 ほかに、脳の働きを支えるDHA(ドコサヘキサエン酸)や、血中の悪玉コレステロール値の上昇を抑制し、動脈硬化脳血栓(のうけっせん)に有効なIPA(イコサペンタエン酸)も含まれています。
 さらには、ムコ多糖類という物質も含まれます。
 ムコ多糖類とは、ヌルヌルした動物に含まれる多糖体(たとうるい)の1つで、弱った胃腸の粘膜を保護し、消化吸収を助けるボディーガードのような働きをするものです。
〈肝15gで1日のビタミンAがとれる〉
 ウナギの肝(きも)はビタミンAが豊富で、カボチャのそれと比較すると約7倍、牛サーロインの1400倍にもなります。わずか肝15gで1日の摂取量がとれるほどです。
○注意すべきこと
 ウナギのかば焼き1串(100g)に、コレステロールは230mgもあるので、食べすぎに注意。
《調理のポイント
 日本は世界一のウナギの消費国で、そのほとんどが養殖です。養殖ものは1年中出回りますが、やはり味がよい旬(しゅん)は7月末ごろ。皮膚に光沢があり、身がはっているものが美味です。
 一般的な食べ方はかば焼きですが、蒸(む)して脂(あぶら)を落とす白焼きもおいしくいただけます。栄養的には、かば焼きも白焼きも差はありません。頭はかぶと焼き、骨は揚げて、骨せんべいとして食べます。
ヤツメウナギ
 目のうしろにえら穴が7つあり、あたかも目が8つあるように見えることから名づけられた「ヤツメウナギ」は、薬用として用いられます。100g中に、たんぱく質15.8g、ビタミンA8200μgとひじょうに多く含むため、視覚・聴覚・生殖機能の維持やがんを防ぐ効果があるとされています。

出典|小学館
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ウナギ
うなぎ / 鰻
eel

硬骨魚綱ウナギ目ウナギ科Anguillidaeの魚類の総称。ウナギ類は深海で産卵し、淡水域に入って成長する魚で、南北アメリカの西岸域、南アメリカ中・南部の大西洋域、アフリカ中・南部の大西洋域などを除く世界各地に分布する。分布の中心はセレベス海周辺などの東南アジアである。この海域から長い地質学的年代を経て分布を広げていったものとみられる。種数は、亜種まで含めると世界で18種が認められ、太平洋には12種、インド洋には6種、両海域にまたがるもの2種、大西洋に2種がいる。ウナギAnguilla japonicaは、北海道中部以南に分布し、大陸側では渤海(ぼっかい)湾からベトナム北部のトンキン地方に及ぶ。南西諸島や台湾にも生息し、南限はフィリピン北部、東限は小笠原(おがさわら)諸島である。量的には日本よりはむしろ中国大陸に多い。また、南西諸島や黒潮が直接ぶつかる島嶼(とうしょ)、九州と四国南部から利根(とね)川に至る各地には熱帯性のオオウナギA. marmorataがいる。[多部田修]

形態

全長は、2メートルになるオオウナギは別として、一般に40~50センチメートル、まれには1メートルを超えるものがある。体は円筒形で、細長く、いわゆるウナギ形である。背びれ、尾びれ、臀(しり)びれは連なる。腹びれがないので無足魚ともいう。鱗(うろこ)は小さく、長楕円(ちょうだえん)形で、皮下に埋まっている。体の背部は暗青色、腹部は白い。ウナギ類は背びれの基底の長さによって長鰭(ちょうき)型(13種)と短鰭型(5種)、体の斑紋(はんもん)の有無によって有紋型(7種)と無紋型(11種)に分けられる。日本のウナギは長鰭、無紋型、オオウナギは長鰭、有紋型に属する。短鰭型ウナギは台湾以南に分布する。[多部田修]

生態

春先に河口にたどり着いたシラスウナギは、いったん川に上り始めると、どんな障害があってもそれを乗り越えて前進する。わずかでも湿気があれば野や畑を越え、断崖(だんがい)をも登って上流に達することもある。河川、湖沼、内湾に生息し、夜行性で、昼間は石垣、穴、泥の中などに潜み、夜間水中に出て摂餌(せつじ)する。きわめて貪食(どんしょく)で、天然の餌(えさ)は小魚、昆虫、貝類、エビ、カニ、ミミズ、多毛類などである。春から摂餌量が増加し、夏によく成長する。水温が10℃に下がると餌をとらなくなり、冬季はほとんど泥の中に潜っている。また、秋の水温低下とともに下流の深所や内湾に下り、春にふたたび上流へ移動するものもある。淡水域で5~10年を過ごした親魚は下りウナギになって、9月ごろから産卵のため降海する。[多部田修]
下りウナギ
産卵回遊期の下りウナギは雌のほうが大きく、一般に小形魚(300グラム以下)は雄、大形魚(500グラム以上)は雌、中間には雌雄がある。秋から冬の台風による増水後や、気圧、気温が低下した際に降海する。このとき、体にはさまざまな変化が生じる。まず、産卵回遊に先だって断食するので、消化管や肛門(こうもん)は退化する。筋肉は水分が減り、かわりに大量の脂肪を蓄積して、長い回遊に備える。胸びれは大きくなり、背部とともに黒色に、腹部は銀白色に変化し、婚姻色を示す。皮膚は肥厚し、鱗(うろこ)と側線は明瞭(めいりょう)になり、目は深海魚のように巨大化する。内分泌腺(せん)にも顕著な変化が生じ、降海後の浸透圧調節にあたる。このような下りウナギは9月から翌年1月に東シナ海中央部でみられる。しかし、その卵巣の卵は0.3ミリメートル程度で、まだきわめて小さい。日本産のウナギについては不明であるが、ヨーロッパウナギA. anguillaは、水温、水深、地磁気の差異を感知して、1日に25~50キロメートルの速度で産卵場へ向かうという。[多部田修]
初期生活史
日本産ウナギの産卵場は沖縄南方の、台湾東方にあたる海域と考えられるが、天然の卵や孵化仔魚(ふかしぎょ)はまだ採集されておらず、不明な点が多い。産卵期は冬を中心にかなり長期にわたる。最近のホルモン投与による成熟促進、人工産卵の研究によれば、水温22℃の海水が入った水槽で、雄が雌を追尾しながら、表面近くで、朝方産卵する。1尾の産卵数は100万~300万粒。産み出された卵は分離浮性卵で、卵径は1ミリメートルであるが、すぐ膨れて1.7ミリメートル程度になる。1日半で孵化し、孵化仔魚の大きさは3ミリメートル、2週間で7ミリメートル、17日で10ミリメートルに達した。この期には中層に懸垂している。孵化仔魚は柳葉状の透明なレプトセファルスleptocephalus(葉形幼生)に成長する。この幼生は昼夜の深浅回遊をしながら、60ミリメートルに達するころ沿岸沖で変態し、シラスウナギになる。産卵からシラスウナギまでの期間はヨーロッパウナギでは2.5年を要し、海流中に生ずる電位差などを感知して沖合いから沿岸へたどり着くという。ウナギとアメリカウナギA. rostrataはほぼ1年間でシラスウナギになるとみられる。シラスウナギは昼間は沿岸や河口の底に隠れているが、夜になると遡河(そか)を始める。遡河期は10月上旬から翌年の5月下旬で、最盛期は1~3月である。遡河量は水温、潮汐(ちょうせき)、満潮の時刻、日没に影響され、満潮が日没前後の場合はとくに多い。
 ウナギ類の産卵場としては北大西洋のサルガッソー海が有名で、この付近でヨーロッパウナギとアメリカウナギが産卵する。このほか、東部インド洋のスマトラ島南西沖のメンタワイ海溝ではオオウナギを含む4種の産卵が確認されている。[多部田修]

養殖

日本では1878年(明治11)に始まり、淡水魚の集約的養殖のうちもっとも優れた技術の一つに発展した。従来は静岡県、愛知県、三重県の東海地方で主として行われ、国内生産の90%以上を占めていたが、1965年(昭和40)ごろから温暖で利水条件に恵まれた四国、九州で急速に普及した。飼育方式は、給水状態によって、止水式、流水式、半流水式、換水式、循環濾過(ろか)式に分けられる。これまでの養鰻(ようまん)は露地における止水式が中心であったが、慢性的種苗不足と病害の続発で、効率の悪い従来の自然温度による飼育法が見直され、加温養殖が取り上げられるようになった。これに伴って飼育方式も止水式から現在のように多様化した。適地の条件は用水の温度が高く、水量が豊富なこと、種苗のシラスウナギが大量に得られることである。
 養殖法としてはシラスウナギを養成し、原料として販売する原料養成、その原料から食用ウナギの養成を行うフト養成と、この両者をあわせて行うものがある。ことに最近の室内温水養殖では両者をあわせて行うものが多い。従来の露地養殖ではシラスウナギから成魚までの養成に1年半から2年半を要したが、温水養殖では1年以内に成品になる。
 原料の養成は冬季から温水池で行うので、まずシラスウナギを元池の水温(25~28℃)に馴致(じゅんち)させる必要がある。このとき、疾病を防ぐため薬浴を行う。餌(え)づけには主としてイトミミズを用い、しだいに配合飼料か鮮魚のすり身にかえる。成長に伴って魚体は不ぞろいになるので、選別し、分養を行う。この作業を2日間隔で続けて行う。室内池から露地池へウナギを移すのは、両者の水温が一致する6月ごろである。ウナギは4グラムになると養殖用種苗になるので、成長したものから出荷する。
 原料から食用ウナギまでのフト養成においても加温養殖がなされるが、高温時には露地でも養成する。餌(えさ)は従来イワシなどの生魚を用いていたが、現在では配合飼料が多い。止水式の露地池では植物プランクトンのアオコによって飼育水を良好に保つので、アオコの繁殖を促す水づくりがたいせつである。食用サイズの100グラム前後のものが多くなれば適宜取り上げて出荷する。成品の取り上げには、池の中の一部のウナギを取り上げる網差し、大部分を取り上げる網引き、池の掃除を兼ねてすべてのウナギを取り上げる池替えがある。
 選別した出荷用のウナギは活(いけ)じめを行う。活じめは成品の品質をよくし、長時間の輸送に耐えるようにすることが目的で、ざるなどに入れて2~4日間シャワーから水を流すか水路につける。このようなウナギ10キログラムと氷1キログラムをポリエチレンの袋に入れ、酸素を充填(じゅうてん)すれば24時間の輸送が可能である。ウナギの販売先は問屋が60%で過半数を占め、ついで漁業協同組合が28%、業務消費と小売商が各3%、その他6%で、淡水魚のなかではもっとも流通ルートにのった市場性の高い魚種である。
 日本では1970年ごろから養鰻用種苗のシラスウナギが不足し、毎年外国産種苗が多量に輸入されている。もっとも多いヨーロッパウナギは安価で、冬季にも摂餌して成長するが、逆に高温に弱く夏ばてし、病気にかかりやすく、雄の成長が悪いという欠点がある。なお、これらの外来ウナギを河川への放流用種苗に用いているところもある。
 日本式の集約的養殖は台湾でも行われ、多い年には年間2万トン以上の生産がある。イタリアではベネチアに近いコマキオ湖で粗放的養殖がなされ年間1000トン程度の生産がある。このほか、韓国、中国、ニュージーランド、オーストラリア、フィリピンでも集約的養殖を始めている。[多部田修]

漁獲量・消費量

ウナギの消費量は近年急速に増加し、輸入量を含めると11万6000トンを突破している(2003)。このうち、国内の養殖によるものは2万1742トンで、天然ウナギの漁獲量は589トンにすぎない。輸入ものの活鰻は台湾の養殖ものが大部分を占め2万トンに達し、鰻加工品は中国からのものが大部分を占め7万トンに達する。このほか、韓国、タイ、香港(ホンコン)、アメリカなどからも輸入されている。ヨーロッパにおける漁獲量は年間計2万トン程度で、フランス、デンマーク、イタリア、オランダ、イギリス、ポーランドが多い。消費国はドイツとオランダで、おのおの年間5000トンに達するが、大部分は外国からの輸入に頼っている。フランスはシラスウナギの最大の漁獲国で、ヨーロッパ諸国と日本などへ輸出している。アメリカ、カナダ、ニュージーランド、オーストラリア、トルコなども数百トン以上を漁獲し、おもに輸出している。[多部田修]

釣り

夏から初秋にかけてが釣り期で、穴釣りとブッコミ釣りがある。釣りの仕掛けには地方色があり、餌(えさ)も産地で異なるのが特徴。穴釣りは、1メートルほどの細い竹竿(たけざお)を用意し、これにコアユやミミズ類などをつけた鉤(はり)を竹の先端にひっかける。そして竹竿を添える形で、岸寄りの石垣などの穴に差し込んでやる。竹竿は先に抜き、そのまま待って魚信があったらウナギを引き抜く。カニの多い所では、これが餌をいたずらしてウナギの魚信と間違いやすい。ブッコミ釣りは、スピニング・リールで岸または船から投げる。餌はドバミミズやゴカイなどを用いる。時間的には日没前ごろから夜にかけてがとくによく、日中をねらう場合は、水色が雨で多少濁った日がよい。[松田年雄]

料理

明治33年(1900)版の『東京買物独(ひとり)案内』ではウナギの漢字はの文字のみを用いている。ウナギの食用は有史以前からであるという。また『万葉集』に「石麻呂(いわまろ)に我(われ)物申(ものもお)す夏痩(なつや)せに良しといふものそ鰻(むなぎ)捕り喫(め)せ」という大伴家持(おおとものやかもち)の歌があり、古くから栄養食品としてウナギを用いていたという証拠にしている。平安朝のころには、ウナギを放置して自然発酵させたものを酸味をもつ食品として扱い、宇治川のウナギを用いたものを「宇治丸」と名づけて賞味していた。大分県日田(ひた)市地方では、ウナギを裂いて川水にさらし、刺身にしている異色の郷土料理がある。福岡県のずぼううなぎは、いまでも旧家でまれにつくられている郷土料理で、ウナギを塩にまぶしてかまどの上につるして、煙を当てて乾燥するものである。茨城県古河(こが)市の名物、ウナギのてんぷらは、小さいウナギを用いているが美味な郷土料理である。
 ウナギの蒲(かば)焼きの語源についてはいろいろな説があるが、斎藤彦麿(ひこまろ)(1768―1854)著の『傍廂(かたびさし)』(江戸後期)によると、ウナギを裂かずに口から串(くし)を刺して焼いた形が蒲(がま)の穂に似ているのでこの名がついたとある。ウナギは蒲焼きが最高の調理法である。蒲焼きの始まりは、元禄(げんろく)(1688~1704)初年とみられている。蒲焼きは、つくる過程で、たれをつけて焼くとき発生する煙の一部がウナギについて一種の味覚を加える。この煙の味はウナギ料理には必要なもので、北欧のウナギ料理でも原則として煙を利用する方法をとっているので、料理名にフューメfum(いぶす)の文字がついているものが多い。うなぎ丼(どんぶり)の創案者は江戸後期の事業家大久保今介(いますけ)である。またこれを初めて売り出したのは、日本橋葺屋(ふきや)町の大野屋という蒲焼き屋であるといわれているが、嘉永(かえい)年間(1848~54)版の『江戸買物案内』には、うなぎ丼の元祖として出ている。また土用丑(うし)の日にウナギを食べる風習の元祖は、春木屋善兵衛という蒲焼き屋であるということも明記してある。
 ウナギは外国でもかなり幅広く利用されている。フランス料理では、フライや、赤ワイン、タマネギ、香辛料とともに煮込むマトロート、またソテーなどにして食べる。ドイツでは、スープをはじめ、蒸す、焼く、ゼリー寄せ、フライなどにする。イタリアでは薫製が有名で、これを炒(いた)めたり、煮込んだりする。
 ウナギは栄養価が高く、タンパク質、脂質、ビタミンA、B1、B2に富んでいる。[河野友美・多田鉄之助・大滝 緑]

人間との関係

ウナギはその発生が謎と思われたり、また特殊な形態から善悪いずれの意味づけもなされ、民間信仰のなかでしばしば重要な役割を演じてきた。ヘビと同一視されることも多く、川、湖沼、海の主(ぬし)とされたり、男根のシンボルとなったりするが、そのシンボリズムは多くの部分でヘビと重なり合っている。
 人間の霊魂が宿るものと考えられることもあり、マダガスカルの先住民は、人の魂は身分の違いに従ってワニ、大ヘビ、ウナギの順に宿ると信じ、またフィリピンの山地民イゴロットは、ウナギを祖先の霊であるとして食べずに餌(えさ)を与えるという。ヨーロッパでは、滑ってつかみにくく、自在に形を変えることから「砂袋の中のウナギのように自由自在」というたとえが聖書の箴言(しんげん)にあるが、悪魔的な性質をもつものと考えられることもあり、ウナギを食べたことが死の原因になるような説話もある。[木村秀雄]

民俗

ウナギは「むなぎ」とよばれて、古くから滋養豊富な食物とされてきた。土用の丑の日にウナギを食べるのは、平賀源内と蜀山人(しょくさんじん)の創案ともいわれるが、虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)の使いだとして生涯その信者はウナギを食べないとか、山道に迷った貴人が谷川をさかのぼるウナギに案内されて助かったのは、信心している虚空蔵菩薩の示現であろうと、以後とらえたり食べることを禁止したというような伝承が各地にある。ほかに池の主であるとか、怪物の大ウナギの話、耳の生えているウナギの話、旅僧に化けて毒流しの中止を訴える話、山の芋が変じてウナギとなる話など数多くの伝説があるが、香川県三豊(みとよ)郡の二宮神社では、雨乞(あまご)いの占いで白いウナギが出現すれば大雨、黒いウナギでは雨が降らないとしている。
 ウナギを神の使いとする神社には、岩手県遠野市の宇名(うな)明神や宮城県の運難(うんなん)明神などウナギの名に通じたものが多く、また京都の三島神社などにあるウナギの図柄の絵馬は、夫婦和合や安産の祈願とされている。[矢野憲一]
『松井魁著『鰻学 生物学的研究篇』『鰻学 養成技術篇』(1972・恒星社厚生閣) ▽松井魁著『うなぎの本』(1977・柴田書店) ▽野村稔編『淡水養殖技術』(1982・恒星社厚生閣) ▽小沢貴和・林征一著『ウナギの科学』(1999・恒星社厚生閣) ▽リチャード・シュヴァイド著、梶山あゆみ訳『ウナギのふしぎ――驚き!世界の鰻食文化』(2005・日本経済新聞社) ▽広瀬慶二著、日本水産学会監修『うなぎを増やす』改訂版(2005・成山堂書店)』

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