ウラギンシジミ(英語表記)Curetis acuta

改訂新版 世界大百科事典 「ウラギンシジミ」の意味・わかりやすい解説

ウラギンシジミ
Curetis acuta

鱗翅目ウラギンシジミ科の昆虫。翅の裏面銀白色をしているのでこの名がある。表面では雄には赤褐色,雌には灰白色斑紋が広がっている。開張3.5~5cm。中国から台湾朝鮮半島南部を経て日本にかけて分布し,日本では本州の関東地方から四国九州を経て南西諸島に達している。年3~4回の発生を繰り返し,成虫で越冬する。6~8月にかけて羽化するものは夏型で,前翅の先端のとがりは鈍いが,9~10月に羽化する秋型では前翅の先端が鋭くとがる。成虫は花に集まることは少なく,カキ,アケビなどの落果やアブラムシの分泌物などによく集まり,雄は動物の死体や排出物に飛来し,山道湿地で吸水することも多い。また雄は枝先になわばりをつくる習性がある。幼虫マメ科フジ,ジャケツイバラ,クズなどの花や新芽を食べて育ち,刺激されると背部後方の1対の突起から白い毛筆状の長毛を激しく出し入れする習性がある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ウラギンシジミ」の意味・わかりやすい解説

ウラギンシジミ
うらぎんしじみ / 裏銀小灰蝶
[学] Curetis acuta

昆虫綱鱗翅(りんし)目シジミチョウ科に属するチョウ。ウラギンシジミ属Curetisは、シジミチョウ科の1亜科ウラギンシジミ亜科とする説と、シジミチョウ科とは別のウラギンシジミ科に分類する説がある。暖地性の種で、関東地方以南の暖地に分布し、照葉樹林帯に生息する。国外では朝鮮半島、中国、台湾に産する。はねの開張40ミリメートル内外。はねの表面の地色は黒褐色で、雄では橙赤(とうせき)色の、雌ではやや青みを帯びた白色の斑紋(はんもん)がある。裏面は銀白色で無紋、和名はこの色調の特徴に由来する。

 1年に2~3回発生し、夏型は6~9月に、前ばねの先端が極端にとがった秋型は9月ごろから晩秋にかけて現れ、成虫の状態で常緑樹の葉裏にしがみついて越冬する。幼虫の食草はフジ、ヤマフジ、クララ、ハマエンジュ、クロヨナなどのマメ科の植物で、花つぼみ、実、新芽などを食べる。

[白水 隆]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ウラギンシジミ」の意味・わかりやすい解説

ウラギンシジミ
Curetis acuta

鱗翅目シジミチョウ科。ウラギンシジミ科という独立した科に入れられることもある。大型のシジミチョウで,前翅の開張幅 40mm内外。翅の裏面が純白の鱗粉でおおわれ,飛ぶとこれがよく目立つので,この名がある。翅表は雌雄で異なり,黒褐色の地に,雄では橙赤色,雌では青白色の紋をもつ。林のまわりに多く,速く飛ぶ。年2回 (暖地では3回) 発生し,5~11月にみられ,夏型,秋型,その中間型などの型がある。幼虫の食草はマメ科のフジ,クララ,クズなど。本州 (特に関東以西) ,四国,九州,南西諸島,国外では朝鮮半島からヒマラヤまで広く分布する。

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小学館の図鑑NEO[新版]昆虫 「ウラギンシジミ」の解説

ウラギンシジミ
学名:Curetis acuta

種名 / ウラギンシジミ
目名科名 / チョウ目|シジミチョウ科
解説 / 春に見られるのは、越冬した秋型の成虫です。秋型は、はねの先がとがっています。
体の大きさ / (前ばねの長さ)20~22mm
分布 / 本州(福島県以南)、四国、九州、奄美群島、八重山列島
成虫出現期 / 6~10月に発生
幼虫の食べ物 / クズ、フジなど

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百科事典マイペディア 「ウラギンシジミ」の意味・わかりやすい解説

ウラギンシジミ

鱗翅(りんし)目ウラギンシジミチョウ科のチョウの1種。開張4.5cm内外,黒地に雄は赤,雌は紫白色の斑紋があり,裏面は一様に銀白色。幼虫はフジなどマメ科の植物の花や実を食べ,成虫は年2回夏と秋に現れ,成虫で越冬する。関東以西,朝鮮,中国,台湾に分布する。

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