主として食卓用に使用されるソースの一種。1850年ごろイギリスのウースターシャー地方でつくり始められた食卓用ソースで、タマネギ、ニンジン、セロリなどの野菜を煮込み、調味料や香辛料を加えて熟成させたもの。日本では1887年(明治20)にヤマサ醤油(しょうゆ)が生産発売した。明治時代後半に西洋料理とともに普及し、ソースといえばウースターソースを意味するほどに広まった。日本では「ウスターソース」と表記され、原型とは違った風味のもので、タマネギ、ニンジン、トマト、セロリなどの野菜の煮出し汁やピューレに各種のスパイス類、糖類、食塩、酢、アミノ酸などの調味料類、着色のためのカラメルなどを混合、1か月くらい熟成させてつくる。粘性から、濃厚、中濃などの濃度を表す名のソースや、トンカツソース、バーベキューソース、焼きそばソース、お好み焼きソースなど、用途別のものもある。欧米ではウースターソースは、食卓用よりも料理やソースの味つけ用、調理用として使用されていることが多い。
[河野友美・山口米子]
19世紀中ごろイギリス,ウースターシャーのウースターで創製,発売された食卓用ソース。タマネギ,ニンジン,セロリ,トマトなどの煮熟液に,コショウ,ニッケイ,タイム,セージその他の香辛料や酢,塩,カラメルなどを加え,6~12ヵ月熟成させる。この系統のソースは,日本では1887年ヤマサ醬油(しようゆ)がアメリカ市場開拓をねらってつくった〈ミカドソース〉がはじめで,国内では〈新味醬油〉の名で発売された。しかし,これは売行き不振でまもなく生産中止,94年大阪で〈三ツ矢ソース〉が発売されたが,これも〈洋式醬油〉,略して〈洋醬〉と呼ばれた。以後,ウースターソースの日本版ともいうべきこの型のソースは,洋風料理の普及にともなって広く愛好されるようになり,単にソースといえばこれを指すまでになった。いまではとんかつソース,バーベキューソースなどの製品も出回っている。
執筆者:平野 雄一郎
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…セバーン川中流東岸に位置し,交通要地であるため周辺農業地帯の中心地をなす。ウースターソースに代表される農産加工のほか,手袋,ウースター磁器の生産で知られ,ホップ市場も開かれる。680年の司教管区の新設以降,宗教の中心地となり,中世からは毛織物業が発達した。…
… ソースは,食卓でまたは調理中に用いる調味料と,料理の一部として作られるものとに大別される。調味料としての市販品のソースはウースターソースに代表される。日本には明治に入って渡来し,日本人好みの味に作られるようになった。…
※「ウースターソース」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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