エッセンス(英語表記)essence

翻訳|essence

精選版 日本国語大辞典 「エッセンス」の意味・読み・例文・類語

エッセンス

〘名〙 (essence)
① あるもの、ものごとにとって本質的なもの。不可欠な要素。
※ヱマルソン(1894)〈北村透谷〉六「或論にては彼は『純理』を以て神と同一視せり、或論にては彼は大素(エッセンス)を以て神を表はせり」
② 芳香性植物からとり出した香りの成分をアルコールなどに溶かしたもの。食品の香りづけに用いる。合成エステルによる人工香料もいう。香油。
蓼喰ふ虫(1928‐29)〈谷崎潤一郎〉一四「丁子は近頃はエッセンスを売ってゐるから」
③ あるものごとにとって中心的なものを、集中的に備えているもの。精華。精髄。粋(すい)
※欧米印象記(1910)〈中村春雨〉紐育雑記「我即人類、我が個性は即ち人類のヱッセンスだ」

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デジタル大辞泉 「エッセンス」の意味・読み・例文・類語

エッセンス(essence)

本質的なもの。最も大切な要素。精髄。
植物から抽出した香気の高い精油。アルコールに溶かしたもの。化学合成もされる。食品の香り付けに使用。香油。「バニラエッセンス
[類語]因子要素ファクターエレメントモーメント成分すい精髄精粋神髄第一エキスハイライト

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改訂新版 世界大百科事典 「エッセンス」の意味・わかりやすい解説

エッセンス
essence

本来は芳香をもった油状の植物からの抽出物で,精油と呼ぶこともある。最近は合成品も多く利用されるようになった。代表的な天然エッセンスにはレモンの皮からしぼったレモン油,バニラ豆を破砕してアルコール抽出したバニラ油,バラの花びら水蒸気蒸留したローズ油などがある。成分としてはエステル類,アルデヒド類,テルペン類などである。またエステル類には果実香をもつものがあるので人工的に合成調合し,バナナ,パイナップルグレープメロンイチゴリンゴなどの果実を印象づける香気ベースを作っている。このほかバニリンクマリンなどの合成品も利用されている。天然品,合成品ともに水に不溶なのでエチルアルコールあるいはプロピレングリコールに溶かして利用している。エッセンスは清涼飲料アイスクリームゼリー,菓子類,洋酒などの香り付けに用いられている。
香料 →精油
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「エッセンス」の意味・わかりやすい解説

エッセンス
えっせんす
essence

植物の種々の部位、たとえば、花、果実、種子、葉茎、根茎、樹皮などの香りのもとになる物質を抽出して得られる精油essential oilを、50~60%のエチルアルコール、あるいは他の食用油脂などに溶解したもので、食品の着香の目的にのみ使われる液体香料である。これらの精油の化学的成分は、抽出するもとの植物、部位によって異なり、エーテル、エステル、アルデヒド、テルペン類、ラクトン類などが混在、結合している、たいへん複雑な組成のものが多い。

 エッセンスには、天然の植物体の精油をアルコールに溶かした天然エッセンスと、これら精油の成分を化学的に分析し、人工的に合成したものをアルコールに溶解してつくった合成エッセンスがある。天然の植物体から精油を抽出する方法には、圧搾法、浸出法、蒸留法があり、植物体の特徴にあわせて最適な抽出法が選定されている。たとえば、果物の精油は圧搾法、バニラビーンズなどは浸出法、ミントや香草スパイス類は蒸留法が用いられている。天然のエッセンスには、バニラ、アーモンド、オレンジ、レモン、ストロベリー、メープル、ミント、アニスなどがあり、合成エッセンスには以上のほかバナナ、コーヒー、チョコレート、ピーチ、パイナップル、メロンなど、実に多くの種類がある。

[齋藤 浩]

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百科事典マイペディア 「エッセンス」の意味・わかりやすい解説

エッセンス

洋菓子,洋酒,清涼飲料,化粧品,石鹸などに香味をつけるために用いられる天然または人造の精油状芳香物質の総称。天然品ではレモン,オレンジ,ニッケイ,ハッカ,人造品ではバニリン,クマリンなどが多く使われる。→香料精油

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エッセンス」の意味・わかりやすい解説

エッセンス
essence

香りのもとといった意味。植物や動物の分泌物などから蒸留,温 (冷) 浸などの抽出法により得られる芳香性精油。個々の天然香料名として使用される。食品用の香料では抽出物をアルコールやプロピレングリコールに溶かしてある。バニラ,レモン,アーモンド,アニス,薄荷などのエッセンスは代表的なもので,清涼飲料,果実飲料,菓子,たばこなどに使用される。

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栄養・生化学辞典 「エッセンス」の解説

エッセンス

 食品や植物,スパイスなどを水やアルコールで抽出したもので,一般的には濃縮したもの.他の食品の香料にしたり,香りを楽しむ目的に用いる.

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デジタル大辞泉プラス 「エッセンス」の解説

エッセンス

《essence》アメリカのファッション・ブランド、ナルシソ・ロドリゲスのフレグランス。2009年発表。

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世界大百科事典(旧版)内のエッセンスの言及

【実存主義】より

…人間の本来的なあり方を主体的な実存に求める立場。実存existence(existentia)とは現実存在の意であり,元来は中世のスコラ哲学で本質essence(essentia)の対概念として用いられた表現である。例えば,ペーパーナイフの実存といえば,材質や形状がまちまちである個々の具体的な現実のペーパーナイフの存在を意味するが,その本質といえば,この木片もその金属棒もあの象牙細工もいずれもがペーパーナイフであると言える場合の基準の存在を指すことになる。…

【食品香料】より


[食品香料の種類]
 香味別にはかんきつ系,フルーツ系,ビーンズ系,ミント系,ナッツ系,スパイス系,ミルク系,ミート系,調味料,洋酒系,その他に大別されているが,形状としては使途,付香対象食品の性質に応じ,次のように商品化されている。 (1)エッセンス 天然香料,合成香料を数種から数十種調合し(オイルベース),40~60%のアルコールに溶かしたもので,これを1/500~1/100の範囲で水に溶解,分散させた水溶性食品香料。清涼飲料や冷菓に用いる。…

※「エッセンス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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