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エル・シッド El Cid

世界大百科事典 第2版の解説

エル・シッド【El Cid】

1043?‐99
中世イベリア半島のカスティリャ王国の英雄で,本名はロドリゴ・ディアス・デ・ビバルRodrigo Díaz de Vivar。通称シッドはアラビア語の〈主人〉を意味する語に由来する。貴族の家系に生まれたロドリゴは幼い時に宮廷に入り,サンチョ王子の下で成長,1065年に王子がサンチョ2世として即位すると,カスティリャ軍総帥に任命された。だが,サンチョ2世が暗殺されて弟のアルフォンソ6世が王位を継いだ時(1072),ロドリゴの運命は大きく変わった。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

世界大百科事典内のエル・シッドの言及

【スペイン文学】より


【中世――スペイン文学の発生】
 スペイン文学は遍歴歌人(フグラール)が英雄の偉業をたたえて吟誦した武勲詩,つまり叙事詩に始まるが,口承文学という性質ゆえにそのほとんどが散逸してしまい,現在に残る唯一の作品は1140年ころに書かれた《わがシッドの歌》である。〈国土回復戦争〉に活躍した実在の英雄シッド・カンペアドール(エル・シッド)を主人公とする作者不詳のこの武勲詩は,史実に基づくリアリズムがその最大の特徴であり,例えば,フランスの《ローランの歌》と比べてみると,主人公シッドはローランほど理想化されてはおらず,人間性に富んだより現実的な人物として描かれている。13世紀になると〈メステル・デ・クレレシーアmester de clerecía〉と呼ばれる聖職者階級の文芸が盛んになるが,代表的作品は,現在にその名を知られる最初のスペイン詩人G.deベルセオの手になる,聖母マリア伝説を素材とした25編の物語詩集《聖母の奇跡》である。…

【メネンデス・ピダル】より

…また1902年に王立アカデミーの会員になり,のちに長くその会長の座にあった。師メネンデス・イ・ペラヨがスペイン文化の広範な総合に秀でたのに対し,彼はより学問的で厳密な分析的方法を適用し,言語,文学,歴史にまたがる中世文化の研究に大きな成果をあげたが,とりわけ《わがシッドの歌――原文,文法,語彙》(1908‐12)は世界的に高い評価を受け,その後のエル・シッド研究の基盤となった。そのほか,初期スペイン語の音韻変化に関する画期的な著作《スペイン語歴史文法提要》(1904),中世詩に関する論考《吟遊詩と吟遊詩人》(1924),11世紀までのスペイン語の徹底的な研究である《スペイン語起源論》(1926)などがあるが,彼の功績として忘れてはならないものに,現在でもスペイン文献学研究の中心となっている雑誌《スペイン文献学評論(RFE)》の創刊がある。…

【わがシッドの歌】より

…現存するスペイン最古の文学作品。スペイン人イスラム教徒に対する国土回復戦争に活躍した実在の英雄シッド・カンペアドール(エル・シッド)を主人公とする武勲詩で,1140年ごろに書かれたと推定されるが,ヨーロッパのすべての中世叙事詩と同じく作者は不詳である。全部で3730行の韻文からなり,三つの歌に分かれている。…

※「エル・シッド」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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