改訂新版 世界大百科事典 「オヒギンス」の意味・わかりやすい解説
オヒギンス
Bernardo O'Higgins
生没年:1778-1842
チリ独立の英雄,軍人,政治家。チリ中部チジャン市の名門の生れ。ペルー,イギリスで学び,ベネズエラのミランダの影響を受けた。1810年国民評議会が結成されてスペインからの独立運動が起こると,これを支持して南部で挙兵した。傑出した軍人として数々の勝利をおさめたが,同じく独立の英雄カレラJosé Miguel Carreraとの間に確執が生じ,このため14年スペイン軍に敗れ,独立軍はアルゼンチンに亡命した。苦節3年,オヒギンスはサン・マルティン将軍の支援を得てチリに戻り,スペイン軍を破って独立を達成し,17年チリの最高指導者となった。20年ペルー遠征を行ってスペイン軍を掃討し,ラテン・アメリカ独立に貢献した。憲法の制定,上院・裁判所の創設,正規軍の整備等を行い,新国家の基礎を築いた。また貴族の称号・長子相続制の廃止等の社会改革を行おうとして貴族階級と衝突し,23年ペルーに亡命した。
執筆者:吉田 秀穂
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報