カスガマイシン
カスガマイシン
kasugamycin
C14H25N3O9(379.37).Streptomyces kasugaensisが産生するアミノ配糖体抗生物質.塩酸塩は白色の針状晶.分解点202~204 ℃.
+120°(水).UV吸収はない.水溶性塩基性物質で,メタノール,アセトン,クロロホルムに不溶.細菌のリボソームの30 Sサブユニットに結合して,タンパク質合成の開始反応を阻害する.イネのイモチ病菌Piricularia oryzaeに対する農薬として使われている.LD50 2000 mg/kg(マウス,静注).[CAS 6980-18-3][CAS 19408-46-9:塩酸塩]

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カスガマイシン
Kasugamycin
放線菌の一種 Streptomyces kasugensisの生産する農業用抗生物質。カスミンともいう。分子式 C14H25N3O9 。塩酸塩は白色結晶,202~204℃で分解,水に可溶。いもち病の防除剤として日本で研究開発された。人畜毒性は弱い。
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カスガマイシン【kasugamycin】
(化学式)1965年に奈良の春日大社の境内の土壌から分離された放線菌Streptomyces kasugaensisが生産する農業用抗生物質で,イネの重要病害の一つであるいもち病の防除に用いられる。薬剤はイネ体内に浸透移行して,いもち病菌Piricularia oryzaeの生育を阻止する。キャプタンという殺菌剤と混合するとトマトの葉かび病に有効で,また動物医薬としても用いられる。本剤は,タンパク合成を阻害することで,植物病原菌に殺菌作用を示す。
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世界大百科事典内のカスガマイシンの言及
【抗生物質】より
…しかし,この残留性と慢性毒性が問題となり,また環境汚染などの問題も加わって利用できなくなり,新薬の開発が求められた。これが契機となって,ブラストサイジンS(住木諭介ら,1958),カスガマイシン(梅沢浜夫ら,1965)が開発された。そのほかイネの白葉枯病に対するセロサイジン(住木諭介ら,1958),イネの紋枯病に対するバリダマイシン(武田薬品工業,1971),モモの黒斑病とリンゴの斑点葉枯病などに対するポリオキシン(鈴木三郎ら,1958),うどんこ病に有効なミルディオマイシン(武田薬品工業,1983)などがある。…
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