カトリック(英語表記)Catholic

翻訳|Catholic

精選版 日本国語大辞典 「カトリック」の意味・読み・例文・類語

カトリック

  1. 〘 名詞 〙 ( [オランダ語] katholiek [フランス語] catholique 元来[ギリシア語] katholikos 「普遍的」にもとづく。「加特力」「葛多吉」とも書いた ) キリスト教およびその信徒のうち、ローマ‐カトリック教会とギリシア東方正教会教義によるものの総称。歴史的には一〇五四年の、東方正教会の分離に対し、西方教会が普遍・正統派を主張してカトリックと称したことに由来。一五五〇年頃からフランシスコ=ザビエルらによって日本にも布教され、キリシタン南蛮宗などと呼ばれた。ローマンカトリック。現在はプロテスタント新教)に対して用いる。旧教カソリック
    1. [初出の実例]「我うけ伝へし所は、カトーリクスの派也」(出典:西洋紀聞(1725頃)下)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

山川 世界史小辞典 改訂新版 「カトリック」の解説

カトリック
Catholic

ギリシア語のカトリコス(katholikos=普遍的)にもとづく。「カトリック教会」という表現は,1世紀にすでに見出される。ローマ帝国の迫害や異教,異端との論争の試練に耐えて,ローマ教会の地位はしだいに強化され,コンスタンティヌス大帝キリスト教公認後一層発展した。特にテオドシウス1世はカトリック教会を国教とし,ローマ司教は使徒ペテロの後継者として教皇の称号をとるようになり,ローマ・カトリック主義が実現した。ローマ帝国の解体後ゲルマン民族を教化し,カール大帝の戴冠によるキリスト教的ローマ帝国の復興を演出した。他方,コンスタンティノープルを中心とするギリシア正教会とは,教会政治と教義の点で対立し,ついに1054年,ギリシア正教会はまったく分離してしまった。そこで教皇は新たにドイツ皇帝に保護者を見出したが,それはやがて教権の確立への過程で帝権との対立を招き,教皇グレゴリウス7世と皇帝ハインリヒ4世との対決を頂点とする叙任権闘争が展開された。教会は聖職の叙任権を確保するとともに,聖職者の独身制と聖職売買の禁止を宣明した。インノケンティウス3世に至って教皇権は頂点に達した。托鉢(たくはつ)修道会修道院スコラ哲学ゴシック芸術などが生み出された。しかし13世紀半ば,教皇権の凋落は決定的となった。ルネサンス時代には教皇や教会もヒューマニズムや美術の保護者となったが,フッガー家メディチ家などの前期的資本家への経済的依存も加わった。ついにサン・ピエトロ大聖堂改築のための贖宥状(しょくゆうじょう)販売に端を発して,ルターによる宗教改革の烽火(のろし)があげられ,ドイツ,スイス,オランダ,イギリスおよび北欧の大部分は新教(プロテスタント)国となったが,これに対処した反宗教改革と宗教戦争をへて,フランス,イタリア,南ドイツ,ポーランドハンガリー,スペイン,ポルトガルなどは旧教(カトリック)国として存続,さらにイエズス会などの東アジアや中南米への海外宣教活動が推進された。カトリック教会は,今日なお全世界に約8億の信者を持っており,ギリシア正教や新教との教会再一致運動にも熱意を示している。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カトリック」の意味・わかりやすい解説

カトリック
catholic church

語源はギリシア語の katholikosで,普遍的,世界的,全体的の意。アンチオキアのイグナチオスが初めてこの語を『スミュルナ人への手紙』でキリストによる教会の特徴的形容に用い,以来「カトリック教会」は万人万代を包括する普遍的教会,また異端離教に対する真の教会の意に用いられた。この原義は教会の公性 catholicitasとしてニカイア信条でキリスト教の根本性格の一つにあげられ,アウグスチヌスもこれを強調した。公性は同一性と普遍性をその特徴とするが,歴史上その具現は教皇を可見的首長とする統一組織,ローマ・カトリック教会においてなされたとするのがローマ・カトリック教会の主張であり,歴史的にもローマ・カトリック教会に対して「カトリック」が一般的な呼び名となっている。ギリシア正教会,一部のプロテスタント教会も真のカトリック教会を自負している。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「カトリック」の意味・わかりやすい解説

カトリック
catholic

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のカトリックの言及

【カトリシズム】より

…カトリック信仰にもとづく世界観もしくは思想体系。〈カトリシズム〉という言葉は,プロテスタンティズム,およびギリシア正教にたいして,カトリック的キリスト教あるいはローマ・カトリック教会の教えそのものを意味する場合もあるが,ここでは今日のより一般的な慣用に従って,カトリック教会の教え,つまり信仰内容と内面的に結びついてはいるが,それから区別された文化的,思想的営みの意味に解する。…

【キリシタン】より

…ポルトガル語のChristãoの発音がそのまま日本語になり,キリスト教(カトリック)およびその信者を指した。初め幾利紫旦,貴理師端,のち吉利支丹,切支丹,鬼理至端の文字があてられた。…

※「カトリック」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android