カルドゥッチ(読み)かるどぅっち(その他表記)Giosuè Carducci

デジタル大辞泉 「カルドゥッチ」の意味・読み・例文・類語

カルドゥッチ(Giosuè Carducci)

[1835~1907]イタリア詩人・古典学者。古典的理想主義確立提唱。荘重・典雅な詩を書いた。1906年、ノーベル文学賞受賞。詩集擬古詩集」など。

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精選版 日本国語大辞典 「カルドゥッチ」の意味・読み・例文・類語

カルドゥッチ

  1. ( Giosuè Carducci ジョズエ━ ) イタリアの詩人。ロマン主義に反対し、古典主義を唱道。一九〇六年ノーベル文学賞受賞。主著「青春の季」「悪魔頌歌(しょうか)」「夷狄(いてき)風小詩」。(一八三五‐一九〇七

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カルドゥッチ」の意味・わかりやすい解説

カルドゥッチ
かるどぅっち
Giosuè Carducci
(1835―1907)

イタリアの詩人、文学者。マッツィーニを支持して故郷を追われた父とともに、トスカナ地方の荒涼たる沼沢地帯を転々としながら幼・少年期を送る。この間、ほとんど独学でギリシアラテンの古典文学に親しむ。師範学校を卒業して教員になると、反ロマン主義文学のサークルを結成し、詩作に打ち込む。だが、まもなく職を奪われ、貧窮のうちに詩作と古典研究に没頭する。反逆の意志と古典的形式美を追求する姿勢の同居するこの時期の作品群は、のちに『詩集』(1871)のなかに「青春の季」と題して収められた。やがてボローニャ大学に迎えられると、ミシュレユゴープラーテンゲーテの影響を受け、民主共和制支持の立場を鮮明にするとともに、国家統一を妨げるカトリック教会を激しく攻撃する『魔王賛歌』(1863)、『短長格と長短格詩編』(1867~79)を書いた。しかしイタリア王国によるローマ併合が成功したころから、激しい論争調はしだいに影を潜め、歴史上のできごとや愛を主題にして、古典的な形式と均整を重んじた『新韻集』(1861~86)や、代表作『擬古詩集』(1893)に収められる作品を完成した。その後、かつての共和制を排して王制を支持したため、激しい非難を浴びた。ほかに、膨大な古典研究論文などがあり、国家版全集30巻に収められている。1906年にはノーベル文学賞を受賞した。

[川名公平]

『河島英昭・川名公平訳『カルドゥッチ』(『ノーベル賞文学全集23』所収・1971・主婦の友社)』

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改訂新版 世界大百科事典 「カルドゥッチ」の意味・わかりやすい解説

カルドゥッチ
Giosuè Carducci
生没年:1835-1907

イタリアの詩人,文学者。マッツィーニ支持派だった父とともに,トスカナ各地を転々とし,荒涼たる沼沢地帯に幼少年期を送った。この間,ほとんど独学でギリシア・ラテンの古典文学に親しむ。師範学校を卒業して教職につくと,反ロマン主義文学のサークルを結成して詩作を進めた。だが,まもなく政治的理由から職を奪われ,貧窮のうちに詩作と古典研究に専念する。反逆の意志と古典的形式美を追求する姿勢の同居するこの時期の作品は,後に《青春の季》(1871)に収められた。やがて,ボローニャ大学教授になると,民主共和制支持の立場を鮮明にするとともに,国家統一を妨げるカトリック教会を激しく攻撃する《魔王賛歌》(1863),《短長格と長短格詩編》(1867-79)に収録される作品を書く。しかしイタリア王国によるローマ併合が成功し,マッツィーニが死んだころから,激しい論争調はしだいに影をひそめ,歴史に題を求めて,古典的な形式と均整に重点を置いた《新韻集》(1861-86),《擬古詩集》(1877-89)に収められる作品を完成した。一方,このころになると,カルドゥッチはかつての共和主義者の立場を捨て,王制支持にまわり,ファシストの先駆者ともいわれるクリスピの政策を弁護して,激しい非難を浴びた。ほかに,膨大な古典研究論文や注釈などがあり,国家版全集30巻に収められている。1906年にはノーベル文学賞を受賞したことでも知られる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カルドゥッチ」の意味・わかりやすい解説

カルドゥッチ
Carducci, Giosuè

[生]1835.7.21. ペルシリア,バルディカステロ
[没]1907.2.16. ボローニャ
イタリアの詩人,古典学者。 1906年ノーベル文学賞受賞。カルボナリ党員で医者の父から幼時より古典文学と自由思想を学んだ。リソルジメント (国家統一運動) の渦中にあって,ダンテ以来の国民文学の伝統を掲げ,新古典主義を唱えた。また,若くしてボローニャ大学修辞学教授となり (1860) ,ギリシア・ローマ文学,イタリア文学,同時代の海外文学などを講じた。主著,詩集『青春の季』 Juvenilia (50~60) ,『軽重詩集』 Levia gravia (61~71) ,『魔王賛歌』A Satana (63) ,『新韻集』 Rime nuove (61~87) ,『擬古詩集』 Odi barbare (77,82,89) 。

カルドゥッチ
Carducci(Carducho), Bartolommeo

[生]1560頃.フィレンツェ
[没]1610. マドリード
スペインの画家,建築家,彫刻家。フィレンツェで B.アンマナーティと F.ツッカロのもとで修業。のちツッカロとともにスペインに渡り,エルエスコリアルの図書館や修道院のフレスコ画などを制作した。

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百科事典マイペディア 「カルドゥッチ」の意味・わかりやすい解説

カルドゥッチ

イタリアの詩人。末期ロマン派の退廃的傾向と,まだ年若い統一国家イタリアの裏切られた理想を前にして,古典古代詩やイタリアの古典作家に学んだ詩の改革を図り,新古典派の流れに連なる詩作を営んだ。ボローニャ大学教授。文学史家・批評家としても重要な業績を残した。1906年ノーベル文学賞。
→関連項目パスコリ

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