イタリアの詩人、文学者。マッツィーニを支持して故郷を追われた父とともに、トスカナ地方の荒涼たる沼沢地帯を転々としながら幼・少年期を送る。この間、ほとんど独学でギリシア・ラテンの古典文学に親しむ。師範学校を卒業して教員になると、反ロマン主義文学のサークルを結成し、詩作に打ち込む。だが、まもなく職を奪われ、貧窮のうちに詩作と古典研究に没頭する。反逆の意志と古典的形式美を追求する姿勢の同居するこの時期の作品群は、のちに『詩集』(1871)のなかに「青春の季」と題して収められた。やがてボローニャ大学に迎えられると、ミシュレやユゴー、プラーテンやゲーテの影響を受け、民主共和制支持の立場を鮮明にするとともに、国家統一を妨げるカトリック教会を激しく攻撃する『魔王賛歌』(1863)、『短長格と長短格詩編』(1867~79)を書いた。しかしイタリア王国によるローマ併合が成功したころから、激しい論争調はしだいに影を潜め、歴史上のできごとや愛を主題にして、古典的な形式と均整を重んじた『新韻集』(1861~86)や、代表作『擬古詩集』(1893)に収められる作品を完成した。その後、かつての共和制を排して王制を支持したため、激しい非難を浴びた。ほかに、膨大な古典研究論文などがあり、国家版全集30巻に収められている。1906年にはノーベル文学賞を受賞した。
[川名公平]
『河島英昭・川名公平訳『カルドゥッチ』(『ノーベル賞文学全集23』所収・1971・主婦の友社)』
イタリアの詩人,文学者。マッツィーニ支持派だった父とともに,トスカナ各地を転々とし,荒涼たる沼沢地帯に幼少年期を送った。この間,ほとんど独学でギリシア・ラテンの古典文学に親しむ。師範学校を卒業して教職につくと,反ロマン主義文学のサークルを結成して詩作を進めた。だが,まもなく政治的理由から職を奪われ,貧窮のうちに詩作と古典研究に専念する。反逆の意志と古典的形式美を追求する姿勢の同居するこの時期の作品は,後に《青春の季》(1871)に収められた。やがて,ボローニャ大学教授になると,民主共和制支持の立場を鮮明にするとともに,国家統一を妨げるカトリック教会を激しく攻撃する《魔王賛歌》(1863),《短長格と長短格詩編》(1867-79)に収録される作品を書く。しかしイタリア王国によるローマ併合が成功し,マッツィーニが死んだころから,激しい論争調はしだいに影をひそめ,歴史に題を求めて,古典的な形式と均整に重点を置いた《新韻集》(1861-86),《擬古詩集》(1877-89)に収められる作品を完成した。一方,このころになると,カルドゥッチはかつての共和主義者の立場を捨て,王制支持にまわり,ファシストの先駆者ともいわれるクリスピの政策を弁護して,激しい非難を浴びた。ほかに,膨大な古典研究論文や注釈などがあり,国家版全集30巻に収められている。1906年にはノーベル文学賞を受賞したことでも知られる。
執筆者:川名 公平
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新