ガイザー(読み)がいざー(その他表記)Gerd Gaiser

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ガイザー」の意味・わかりやすい解説

ガイザー(Gerd Gaiser)
がいざー
Gerd Gaiser
(1908―1977)

ドイツの小説家。ウュルテンベルク地方のオーバーリークシンゲンの牧師の子に生まれ、神学を学んでいたが、中途画家を志して美術学校に移り、スペイン・バロック論で学位を授与される。第二次世界大戦中は戦闘機隊員、戦後は西ドイツロイトリンゲンの高校美術学教授。1949年ごろから多くの小説で注目を浴び、自伝的要素を含む戦争や戦後の現実をモチーフに、帰還兵の問題から奇跡的復興を遂げた社会の問題に至るまでを批判的に、リアリズムとシンボリズム手法を交えながら書いた。長編『ひとつの声もちあがり』(1950)では戦争にまつわる人間の苦悩や人間性回復を、長編『最後の舞踏会』(1958)では30のモノローグのうちに西ドイツ産業都市の経済復興の陰に隠れた仮象的世界を、短編集『ナスコンド峠にて』(1960)では、当時の政治に現れたさまざまな分裂状況を描いている。晩年寓意(ぐうい)的な作品が増えた。

深田 甫]


ガイザー(間欠泉)
がいざー
geyser

間欠泉」を意味する英語で、アイスランド語ゲイシルGeysirが語源

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ガイザー」の意味・わかりやすい解説

ガイザー
Geyser, Joseph

[生]1869.3.16.
[没]1948.4.11.
ドイツの哲学者。ミュンスター大学教授を経て,1924年フライブルク大学教授に就任。歴史主義的相対論と観念論的カント主義に反対して,「永遠の哲学」 Philosophia Perennisに共鳴し,トミズムの批判的実在論立場に立った。主著"Lehrbuch der allgemeinen Psychologie" (1908) ,"Grundlegung der Logik und Erkenntnistheorie" (19) ,"Einige Hauptprobleme der Metaphysik" (23) 。

ガイザー
Gaiser, Gerd

[生]1908.9.15. ウュルテンベルク,オーバーリークシンゲン
[没]1976.6.9. ロイトリンゲン
西ドイツの作家。牧師の子に生れ神学校に学んだが画家を志し,美術史,特にスペイン美術を研究。第2次世界大戦中は戦闘機に乗った。帰還兵の運命を扱った『一つの声あがる』 Eine Stimme hebt an (1950) で文壇に登場,『最後の舞踏会』 Schlussball (58) では,多くの独白をつなぎ合せて社会の腐敗を暴露してゆくという実験的手法を試みた。ほかに,短編集『ナスコンド峠』 Am Pass Nascondo (60) など。

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