ガル(読み)がる(英語表記)William Withey Gull

デジタル大辞泉 「ガル」の意味・読み・例文・類語

ガル(gal)

CGS単位系における加速度の単位。1ガルは1センチメートル毎秒毎秒で、1秒間に1センチメートル毎秒(cm/s)の加速度として定義される。主に測地・地球物理学の分野で用いられ、日本の計量法ではミリガル(1000分の1ガル)という単位(mGal)も使われる。ガリレイの名にちなむ。記号Gal。

が・る

[接尾]《動詞五(四)段型活用》形容詞形容動詞の語幹や名詞に付く。
そのように思う、そう感じる、の意を表す。また、そう思う、そう感じることを、態度・表情・動作に表すことにもいう。「寒―・る」「めずらし―・る」「不思議―・る」
そのように振る舞う、そのようなふりをする、の意を表す。「偉―・る」「強―・る」「得意―・る」
[補説]1の一部の語は、語尾が「がり」となって名詞形となり、その傾向が顕著であること、またはそのような人を表す。「暑がり」「怖がり

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精選版 日本国語大辞典 「ガル」の意味・読み・例文・類語

が・る

  1. [ 1 ] 〘 接尾語 〙 ( 五(四)段型活用 ) 名詞や形容詞、形容動詞の語幹に付いて動詞をつくる。
    1. そのように思う、そう感じる、の意を表わす。
      1. [初出の実例]「あやしがりて寄りて見るに、筒の中光りたり」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
      2. 「此は只には非ず、物に狂ふ也けりと転(うたて)がりて穢(きたな)がりけり」(出典:今昔物語集(1120頃か)一二)
    2. そのようにふるまう、そのようなふりをするの意を表わす。ぶる。
      1. [初出の実例]「人のためしにしつべき人がらなり。艷(えん)がりよしめくかたはなし」(出典:紫式部日記(1010頃か)消息文)
      2. 「手を合し・関取二王がる芸子」(出典:雑俳・智慧くらべ(1868))
  2. [ 2 ] 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙 ( [ 一 ]の転じた語 ) 上に来る形容詞、形容動詞の語幹を略して、そのようにふるまう、そのようなふりをするの意にいう。
    1. [初出の実例]「『ふびんがっておくれいなア』『おれは、がる気だが、そっちががられまひ』」(出典:洒落本・恵世物語(1782))

ガル

  1. ( Franz Joseph Gall フランツ=ヨーゼフ━ ) 医学者。ドイツに生まれ、一八一九年フランスに帰化。大脳機能の局在説を唱え、骨相学を創始。(一七五八‐一八二八

ガル

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語・フランス語] gal ガリレイの名にちなむ ) 加速度のCGS単位。cm/sec2 に当たる。重力加速度は九八〇ガルである。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ガル」の意味・わかりやすい解説

ガル(William Withey Gull)
がる
William Withey Gull
(1816―1890)

イギリスの内科医。コルチェスターに生まれる。ロンドン大学に学び、1846年に医師となる。ガイ病院に勤務、同病院で一生診療と教育に従事し、当時の一流臨床医であった。患者には親切、魅力的で評判がよく、同僚や門下には厳しく、機知に富み、弁舌に長じていた。1858年王立協会会員となり、オックスフォードケンブリッジエディンバラの各大学の学位を受け、1871年皇太子診療の功績により准男爵となった。1856年脊髄(せきずい)空洞症、運動失調症が脊髄後索の変性によることを発見。1872年サットンHenry Gawen Sutton(1837―1891)とともに慢性腎炎(じんえん)における動脈毛細線維腫(しゅ)を報告した。また、発作性血色素尿(1866)、粘液水腫(1873)、T・アジソンと共同の黄色板症(1851)の研究など多くの業績があり、それらは彼の死後1894年に業績集にまとめられた。

[古川 明]


ガル(加速度の単位)
がる
gal

CGS単位系の加速度の単位。1ガルは、1センチメートル毎秒毎秒(cm/s2)、つまり1秒間に1センチメートル毎秒(cm/s)を加速させる大きさである。記号はGalで表す。ガリレオgalileoともいう。重力加速度は場所によりミリガル程度の差がある。地理学的測量作業に広く用いられている。1920年ごろドイツで採用されたもので、名称はイタリアの科学者ガリレオ・ガリレイの業績にちなんでいる。

[小泉袈裟勝・今井秀孝 2015年4月17日]

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改訂新版 世界大百科事典 「ガル」の意味・わかりやすい解説

ガル
Franz Joseph Gall
生没年:1758-1828

ドイツの医師。南西ドイツのティーフェンブルンに生まれ,バーデンストラスブールウィーン大学で医学を修め,ウィーンで開業。脳の解剖学と神経の生理学に専心し,脳髄が繊維のシステムであること,錐体路系とその交差の存在,動眼・三叉・外旋神経など各神経の起始点などを正確にとらえ,また脳のはたらきについて独自の説を唱えた。1796年から私的な講義を開き,脳には色,音,言語,名誉,友情,芸術,哲学,盗み,殺人,謙虚,高慢,社交など諸種の精神作用を起こす器官がそれぞれ一定部位に存在すると主張し,脳機能局在説(機能局在)の先駆者となった。さらにガルは,それら各器官の発育の強弱が頭蓋骨の形に影響を及ぼして一定の高まりやへこみを生ずるので,頭蓋骨を外から視診,触診すれば,その人の性格や素質を知ることができると説いた。1802年,この説が唯物論的で宗教にとって危険とみなされウィーンを追放された。ドイツ,オランダ各地で講演をつづけ,ゲーテも05年7月ハレで連続講演を聞き興味を示している。07年パリに移り,解剖学者シュプルツハイムJohann Christian Spurzheim(1776-1832)と連名で主著《神経系,とくに脳の解剖学と生理学》(1810-19)を刊行した。シュプルツハイムは頭蓋の骨相によって人の善悪・賢愚を判定できる〈骨相学Phrenologie〉と銘打って宣伝,一般大衆の注目を浴び,欧米各地に協会が設立された。学界も賛否両論に分かれたが,ガルの死後〈骨相学〉は弟子により愚劣化したため,ガル本人まで汚名を着せられ,脳神経に関する業績も過小評価されるに至った。
執筆者:


ガル
gal

加速度の単位で,記号はGal。測地学や地球物理学において,重力加速度を表すのに使用される。1Gal=1cm/s2=10⁻2m/s2である。国際単位系(SI)には含まれないが,暫定的に併用が認められている。名はイタリアの物理学者G.ガリレイにちなんでつけられた。重力測定には10⁻3Galに当たるミリガル(mGal)が多く用いられる。
執筆者:


ガル
Heinrich Ludwig Lambert Gall
生没年:1791-1863

ドイツにおける最初の社会主義者。〈発明家〉としても知られていた。ナポレオン戦争後ライン地方の手工業者や農民の困窮を目のあたりにして社会問題に目を向ける。彼は多くの著作をあらわすが,それらのなかで貧困の原因を〈貨幣の独裁〉のなかに求め,生産協同組合の構想によってそれを打破しようとする。また農村に〈共産主義的施設〉をつくってその構想を実現しようとしたが,支持者なく失敗した。
執筆者:

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ガル」の意味・わかりやすい解説

ガル
Gall, Franz Joseph

[生]1758.3.9. バーデン,ティーヘンブロン
[没]1828.8.22. パリ
ドイツの解剖学者,生理学者で骨相学の創始者。大脳の各部はそれぞれ特定の機能を果しており,大脳の外表面は頭蓋骨が忠実に表わしているから,頭蓋骨の外形を見れば各人の才能や気質を正確に推定できると唱えた。これが骨相学である。ウィーンでこの学説を講義し,世にもてはやされたが,皇帝フランツ2世によって禁止されたので,ウィーンを去り,パリで開業した。今日,大脳皮質の機能が局在することは次第に証明されてきたが,ガルが主張した骨相学は認められていない。

ガル
gal

測地学および地球物理学において重力加速度の差を表わすのに用いられる単位。記号は Gal。 1Gal=1cm/s2=10-2m/s2 である。ガルは大きすぎるのでミリガル (mGal) がよく使われる。単位名は G.ガリレイの名にちなむ。暫定的に SIと併用することが認められている。

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百科事典マイペディア 「ガル」の意味・わかりやすい解説

ガル

ドイツ生れの解剖学者。初めウィーンで診療しながら,骨相学を創始。その中で精神機能の所在を大脳皮質に求めたが,さらにあらゆる精神作用は大脳皮質の一定部位に局在し,その発達程度に応じて頭骨に隆起や陥没が生じるとした。教会などから非難され1807年パリに移住,医者として暮らした。

ガル

加速度のCGS単位。記号Gal。1ガル=1cm/秒2。ガリレイの名に由来。
→関連項目重力

ガル

ゴール

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単位名がわかる辞典 「ガル」の解説

ガル【gal】

加速度の単位。記号は「Gal」。メートル毎秒毎秒(m/s2)の100分の1に等しい(1Gal=10-2m/s2)。おもに地球物理学で、重力加速度を表すために、1000分の1のミリガルが使われる。◇名称は、イタリアの物理学者・天文学者ガリレイにちなむ。

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367日誕生日大事典 「ガル」の解説

ガル

生年月日:1816年12月31日
イギリスの医師
1890年没

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世界大百科事典(旧版)内のガルの言及

【脳】より


[大脳の機能局在]
 18世紀から19世紀にかけて脳の肉眼的な構造が詳しく調べられ,脳のなかに働きの上での分業があるのではないかとの考えが生まれた。ガルF.Gallは,大脳のなかに理性,情意,本能,気質などの中枢があり,その各部の発達の強弱に従って頭蓋骨に高まりやくぼみができるので,頭の形から人の性質,素質を知ることができると唱えた。しかし,1830年ころフルーランM.J.P.Flourensは,大脳表面のどこかが部分的にこわされてもいつも同じような病状が起こってくることを根拠に,大脳には種々の中枢などはなく,どこでも同一の価値をもつと考えた。…

【占い】より

…そうした傾向は近世に入ってさらに促進され,多くの予言者,占星術師,神秘家が登場するが,なかでも16世紀にシャルル9世の侍医をつとめたノストラダムスは有名である。 近世以降にも,ラーファター,F.J.ガルなどが登場し,人相学,骨相学はさらなる発展を示すわけであるが,それは同時に占いから宗教的側面が失われ,世俗化・遊戯化していくプロセスとも言えよう。だが,ホロスコープやタロットによる占い,筆跡判断などが現在でも周期的に流行を繰り返していることからみても,占いには人間の精神の働きと結びつく何かが隠されているのではないかと思われる。…

【心】より

…心を心臓とほとんど同一視するという点ではヨーロッパでも同様で,英語のheart,ドイツ語のHerz,フランス語のcœurなどがすべて心と心臓の両方を意味するのも,そのなごりと思われる。ただし,医学思想の発展をみた古代ギリシア・ローマ期では,ヒッポクラテスが〈脳によってわれわれは思考し,見聞し,美醜を区別し,善悪を判断し,快不快を覚える〉と記して以来,心の座を脳や脳室に求める考えが支配的になり,この系譜はルネサンス期をへて19世紀初頭のF.J.ガルの骨相学にまで及んでいる。 心の問題を身体的局在説の迷路から解き放ち,思惟を本性とする固有の精神現象として定立したのはフランスのデカルトで,彼がいわゆる松果腺仮説を提出したのも,心身の相関をそれで説明しようとしたものにほかならない。…

【骨相学】より

…頭蓋の外形をみればその人の性格や精神的特性がわかるという学説で,19世紀前半の欧米で大いに流行した。創始者はドイツで生まれウィーンで開業していた医師F.J.ガルで,彼はイタリアの解剖学者モルガーニの影響下に,幼児や成人の正常脳,各種の病気の人の脳,天才人の脳,動物の脳などを比較研究し,脳内にさまざまな〈器官〉を発見し,これにもとづいて独特の〈器官学Organologie〉を打ち立てた。この理論の概略は,(1)脳は精神の器官であり,(2)精神はそれぞれ独立した機能に分かれ,(3)これらの機能は脳の皮質に座をもち,(4)頭蓋骨の形と脳皮質の形との相関はきわめて高く,(5)したがって,頭蓋骨の輪郭と精神機能の特性との間には密接な対応がある,の5項目に尽くされる。…

【人相学】より

…もっとも,I.カントは《実用的見地における人間学》の中で観相学的な性格論を肯定しながらも学問たりえないとし,ポルタやラーファターの説を否定している。 19世紀初めには医師F.J.ガルによる骨相学が現れた。彼は脳に気質や能力に対応する27個の〈器官〉を定め,それらは脳の表面に盛り上がっていて頭蓋骨を隆起させるから,頭をよく観察すれば気質や能力の発達程度がわかると考えた。…

【脳】より


[大脳の機能局在]
 18世紀から19世紀にかけて脳の肉眼的な構造が詳しく調べられ,脳のなかに働きの上での分業があるのではないかとの考えが生まれた。ガルF.Gallは,大脳のなかに理性,情意,本能,気質などの中枢があり,その各部の発達の強弱に従って頭蓋骨に高まりやくぼみができるので,頭の形から人の性質,素質を知ることができると唱えた。しかし,1830年ころフルーランM.J.P.Flourensは,大脳表面のどこかが部分的にこわされてもいつも同じような病状が起こってくることを根拠に,大脳には種々の中枢などはなく,どこでも同一の価値をもつと考えた。…

【ガロン】より

…ヤード・ポンド法の容量の単位。その大きさにイギリスとアメリカの両国で差がある。(1)英ガロン 英ガロンは乾量,液量に共通な容量の基本単位で,その定義は〈水銀柱30インチの大気圧の下で水および空気が62゜Fにあるとき,黄銅分銅に対して空気中で10常用ポンドの質量を示す純粋な水の体積〉である。黄銅分銅の密度の定めはないが,標準機関では8.143g/cm3という値を採用し,1ガロンを277.42立方インチとする。…

【重力】より

…重力の大きさを表すには習慣的に重力によって生ずる自由落下速度を使う。1cm/s2の大きさの加速度を1Gal(ガル)という。単位名はガリレオ・ガリレイにちなむ。…

※「ガル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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