ガーゼ(読み)がーぜ(その他表記)Gaze ドイツ語

デジタル大辞泉 「ガーゼ」の意味・読み・例文・類語

ガーゼ(〈ドイツ〉Gaze)

織り目の粗い平織りの、柔らかい綿布。医療用や肌着ハンカチーフなどに用いる。パレスチナの港町ガザ産の織物が用いられたところからの名という。

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精選版 日本国語大辞典 「ガーゼ」の意味・読み・例文・類語

ガーゼ

  1. 〘 名詞 〙 ( [ドイツ語] Gaze 元来フランス語 ) 目があらく柔らかい綿布。多くは完全消毒して医療用の布、包帯にし、また、ハンカチマスク、寝巻などにも用いる。
    1. [初出の実例]「昼夜の治療看護等の尽力を伝え聞き、カーゼ十反、綿撤糸八ポンドを十日午前神野病院に寄贈し」(出典:風俗画報‐一九九号(1899)汽車の遭難に就て)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ガーゼ」の意味・わかりやすい解説

ガーゼ
がーぜ
Gaze ドイツ語
gauze 英語

経緯(たてよこ)とも甘撚(あまよ)りの糸を用いて粗く織ったきわめて薄手の平織で、漂白したのち、無糊(むのり)のまま使用する。ガーゼとは、西アジア、パレスチナ地方のガザGazaでつくられた織物からきているという。水分をよく吸収するので、包帯などの衛生用材料、または肌着、産着(うぶぎ)、ハンカチーフ、タオル地などに使われる。

[角山幸洋]

 織ったままの粗ガーゼと脱脂した脱脂ガーゼがあり、医療用には、日本薬局方規定により脱脂ガーゼを消毒調整したものが使われる。幅30センチメートルで長さ1メートルのものが家庭用、長さ5メートルのものが出産用、長さ10メートルのものが病院用として包装市販されている。細菌感染のおそれがない場合はそのまま使用するが、創傷の手当てや手術時などに使う場合は滅菌して用いる。医療の場では実に広範囲にわたって使用され、欠くことのできない衛生材料の一つである。わが国でガーゼのなかったころは、晒(さらし)木綿を10~20センチメートルに切り、ほぐして散糸(さんし)とし、平たくして綿散糸(めんざんし)とか「ほっしもめん」とよばれ、傷口などに当てた。

[山根信子]

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改訂新版 世界大百科事典 「ガーゼ」の意味・わかりやすい解説

ガーゼ
Gaze[ドイツ]

地薄で目のあらい織物の総称語源は,アラビア語で〈生糸〉を意味するgazzに由来するとか,シリアのGazaで織りはじめられたからなどの説があるが,いずれも定かではない。綿または絹の単糸で目をあらく織った平織布で,精練,漂白する。薄手で柔らかく吸湿性にすぐれている。肌着,乳児服,ハンカチーフ,化粧用タオルなど衣料用に,また寝具にも用いられる。消毒したものは医療用として用いられ,創部の被覆血液滲出液吸着,外用薬の貼布,圧迫止血などに用いられる。最近では,綿や絹よりも吸湿性の面ですぐれた材料が開発され,それを織ったものが使われる。これらは再利用せずに使用後捨てるので,使い捨てガーゼとよばれる。医療用に市販されているものは,日本薬局方によって規定された大きさに裁断され,消毒済みである。
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ガーゼ
Niels Vilhelm Gade
生没年:1817-90

デンマークの作曲家。ライプチヒ留学により,メンデルスゾーンシューマンのドイツ・ロマン主義音楽の影響を強く受けると同時に,デンマークの民族的スタイルによる作品を残し,19世紀スカンジナビア国民音楽の基礎を築いた。作品には,序曲オシアンの山びこ》(1840),8曲の交響曲のほかに,室内楽曲,歌曲がある。コペンハーゲン音楽協会の指揮者として,また教育家としても活躍し,母国の音楽振興に貢献した。
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百科事典マイペディア 「ガーゼ」の意味・わかりやすい解説

ガーゼ

目があらく薄い平織綿織物。精練漂白して仕上げる。初めパレスティナのガザでつくられたのでこの名がある。柔軟で水分をよく吸収するので,産着,はだ着,ハンカチーフや医療用にされる。医療用ガーゼは日本薬局方の規定により調製,消毒され,幅30cm,長さ1,5,10mなどにして市販されている。

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とっさの日本語便利帳 「ガーゼ」の解説

ガーゼ

ガザ(Gaza)▼パレスチナ南西部の海港で、ネゲブ砂漠の北西端、地中海沿岸に位置する。一九六七年の中東戦争以後、イスラエルの占領地になっている。絹、綿、リンネルなどの透ける薄織物は、このガザが原産地とされているところから、包帯や肌着用の「ガーゼ」の意となった。英語の「ゴーズ」は直接にはフランス語の「ガーズ」から入ったことば。

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