翻訳|candy
砂糖菓子を意味する英語で,日本ではふつう洋風のあめ菓子をいうが,正しくは砂糖と水あめを主原料とする菓子の総称。水あめは砂糖が再結晶するのを防ぎ,適度の粘度と光沢を与え,風味をよくする役割を果たす。副材料としては,バター,牛乳,生クリームなどの乳製品やナッツ,果実類,さらにゼラチン,寒天,起泡剤,酸味料,乳化剤,香料なども目的に応じて用いられる。キャンディは,ほとんどが工場生産による製品で,材料と製造法によって各種の名称がつけられ,その製品名は2000種にも及んでいる。
(1)ハードキャンディ 砂糖と水あめを150~165℃に加熱濃縮させたもので,堅くてもろく,歯でかむと細かく割れる。代表的なものはドロップで,酸味料,香料,着色料などを加えて煮詰め,型に流して固める。これを引きあめにしてビロード状の光沢のあるサチネットをつくる。ナッツ類,チョコレート,コーヒーなどを加えたタフィーや,バターを加えたバタースカッチもこのグループに属する。(2)ソフトキャンディ キャラメルやヌガーがこれに属する。キャラメル類は,砂糖,水あめに練乳やデンプンを加えて110~140℃で煮詰め,これに油脂や香料,コーヒー,チョコレートなどで風味をつけ,板状に固めてから1粒ずつに切断する。ヌガーは,煮詰めた砂糖と水あめにゼラチンや卵白を加えて気泡を含ませ,ナッツ類,果物の砂糖漬などを加えて固めたもので歯ざわりが柔らかい。(3)その他 キャンディゼリーは単にゼリーとも呼ばれ,砂糖,水あめを煮詰め,ゼラチン,寒天などを加えたもので,グラニュ糖をまぶしたり,オブラートで包んで市販されている。フォンダンは,煮詰めた糖液を急激に冷まし,白くクリーム状になるまで攪拌(かくはん)して砂糖の結晶化を促進させたもので,そのままケーキのコーティングに用い,また型に流し入れて固める。このキャンディは口に入れると溶けやすく,ほかのキャンディやチョコレートの芯にも使われる。フォンダン同様に,過飽和糖液から結晶を析出させて作る製品にボンボンがある。また,種々のキャンディやチョコレート,ナッツなどを芯にして,回転なべで加熱乾燥しながらその表面に砂糖液や粉糖で何層にも衣をつけて固めるものを掛け物といい,ゼリーを芯にしたゼリービンズ,アーモンドなどのナッツを用いるドラジェ,その他なめているうちに色が多様に変化するチャイナマーブルなどがこれに属する。シュガータブレット(錠菓)は,粉砕した砂糖に,香料,着色料,粘結剤を加えて加熱せずにそのまま圧縮成型したもので,水分が少なく,固くてもろい。ピース,カルミンなどの商標名のものがこれに属する。
→飴(あめ)
執筆者:辻 静雄
スリランカ島中央部にある旧王都名。同名県の県都で人口は10万9343(2001)。1815年にイギリスの直轄植民地となる。中央山地に位置し,標高は約500m。シンハラ語で山のことをカンダというのが,ヨーロッパ人の間で誤り伝えられた地名である。キャンディ市民は,この都市をマハヌワラMahanuwara(大きな都)と呼んでいる。王位継承権の象徴でもあった仏歯を安置するダラダ・マリガーワDalada Maligāwa寺(仏歯寺)と,その仏歯を象の背に乗せて,街路を行進するペラヘラ祭(毎年7月か8月)は有名で,多くの観光客を集めている。全島で最も勢力のあるマルワッタとアスギリヤの二大寺院,ペラデニア大学,熱帯植物園,中央農業研究所などの重要な文化施設がある。プランテーション地帯への物資の集散地として,交通の要路でもある。街の一角をマハベリ川に囲まれ,中心にある人造湖とともに美しい景観をなしている。
→キャンディ王国
執筆者:中村 尚司
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スリランカ中部にあるセントラル州の州都。コロンボの東北東96キロメートル、内陸部の標高500~900メートルの中央山地に位置し、マハベリ川に臨む。人口11万0049(2001)。観光都市として知られる。敵からの防御に好適な立地条件と、熱帯としては気候に恵まれるため、1815年イギリスに支配されるまでシンハラ王朝の首都として栄えた。人工湖のキャンディ湖を中心に、旧市街はほぼ方形に14のブロックからなり、周辺の丘陵地帯には住宅が広がる。湖の北岸にあるダラダ・マリガワ寺(仏歯寺)は釈尊の歯を納めた寺で、毎年8月に10日間にわたって行われるペラヘラ祭は、美しく飾られた象の行列が市内を巡行し、内外の観光客を集める。また市の南方6キロメートルのペラデニヤPeradeniyaには、スリランカ最大の大学ペラデニヤ大学や、60万平方メートルの広さをもつ熱帯植物園がある。付近にはバティック、木彫り、銅銀細工などの小工場が多い。1988年に「聖地キャンディ」として世界遺産の文化遺産に登録されている(世界文化遺産)。
[吉野正敏]
「カンディー」のページをご覧ください。
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