翻訳|kiwi
ダチョウ目キーウィ科Apterygidaeに属する鳥の総称。この科はニュージーランド特産の3種よりなる。3種とも形態は似ていて,タテジマキーウィApteryx australisは南北両島とスチュアート島に,オオマダラキーウィA.haastiiとコマダラキーウィA.oweniiはそれぞれ南島に分布する(コマダラキーウィは半化石が北島から産出)。全長48~84cm,体重1.35~4kg。羽毛は毛状で粗く,羽色は褐色ないし灰色に縦斑か横斑がある。くちばしは細長く,少し下に湾曲し,口角には長い口ひげがある。翼は退化して,飛ぶことはできない。尾羽もない。足はじょうぶで,あしゆびは4本ある。早く走るがバランスが悪くよたよたしている。よく茂った森林にすみ,単独かつがいで生活している。非常に臆病な鳥で,昼間は朽木の下や地下の穴に身を潜め,夜かくれがを出て餌をあさる。眼はいくぶん退化しており,嗅覚,触覚,聴覚はよく発達している。とくに鼻孔はくちばしの先端近くに位置し,口ひげとともに餌をさぐり出すのに役だつといわれている。食物は主として土中にすむ昆虫やその幼虫類とミミズであるが,地上の種子や柔らかい根もよく食べる。採食場には地面にくちばしをさし込んだ穴が無数にあいている。雌雄は同色だが,雌のほうが大きい。夜間雄は鋭い声でキー・ウィーと鳴き,雌はクルッルと鳴く。kiwiはマオリ族の呼んでいた名だが,もともとは鳴声に由来するらしい。巣は根の下や地下につくられた穴の奥に若干の草や葉を敷いてつくられ,1腹1~2個(まれに3個)の卵を産む。卵は光沢のある白色で,タテジマキーウィでは長径13.5cm,重量450gの大きさがある。これは雌の体重の1/7にあたり,親との比較では鳥卵の中でいちばん大きい。産卵期は7~2月。抱卵期間は75~77日,雄だけで抱卵する。生まれた雛は約1週間食物をとらずに巣にとどまり,その後雄に連れられて自分で餌をあさる。成長はかなりおそく,成鳥になるのに5~6年を要するといわれている。キーウィは,乱獲や原生林の農地化や移入されたイタチ,イヌ,ネコ,オポッサムなどの影響で,一時非常に減少したが,今日ではかなり増えている。この鳥はニュージーランドの象徴で,コイン,切手,主要な産物の商標などに登場する。走鳥類の中では非常に特殊な位置を占め,類縁関係ははっきりわかっていない。
執筆者:森岡 弘之
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
鳥綱ダチョウ目キーウィ科に属する鳥の総称。この科Apterygidaeはニュージーランドの特産で、キーウィ属Apteryx1属よりなり、タテジマキーウィA. australis、オオマダラキーウィA. haastii、コマダラキーウィA. oweniiの3種に分類される。全長48~84センチメートル、体重1.35~4キログラム。雌は雄より大きい。全身褐色または灰色の粗い毛状の羽毛で覆われている。翼は退化し、飛ぶことはできない。尾も退化している。嘴(くちばし)は細長くやや下に湾曲し、足は短いがきわめてじょうぶである。暗い森林にすみ、昼間は朽ち木の下や地下の穴の中に身を隠していて、夜間に活動する。夜行性のために、目はいくぶん退化し、嗅覚(きゅうかく)、触覚、聴覚はよく発達している。食物は土中のミミズや昆虫とその幼虫類で、嘴を泥中に深く差し込んで獲物をあさる。また、根や地上の種子や漿果(しょうか)も食べる。巣は倒木の下や地下の穴の奥につくられる。卵は白色で、1腹の卵数は通常1、2個。抱卵は雄だけが行い、卵は約75日で孵化(ふか)する。雛(ひな)は生後1週間ぐらいから自分で餌(えさ)をあさるが、大きくなるまで、雄が外敵から保護する。雄は鋭い声でキーウィと鳴く。英名のkiwiは、先住民マオリの呼び名であるが、もともとは鳴き声に由来する。キーウィはニュージーランドの国鳥で、コイン、切手、主要な産物の商標などに使われている。一時絶滅に近くなったが、今日ではかなり増えているといわれる。
[森岡弘之]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新