グレート・ベースン(読み)ぐれーとべーすん(その他表記)Great Basin

翻訳|Great Basin

日本大百科全書(ニッポニカ) 「グレート・ベースン」の意味・わかりやすい解説

グレート・ベースン
ぐれーとべーすん
Great Basin

アメリカ合衆国西部に広がる高原状の大盆地。東はワサッチ山脈コロラド高原に、西はカスケード山脈の南部とシエラ・ネバダ山脈に限られ、ネバダ州全域とユタ州西部、オレゴン州南部、カリフォルニア州北東部と南東部にわたる。面積50万平方キロメートル以上。北部250~300ミリメートル、南部100ミリメートル以下と年降水量が少なく、大部分河川は海への流出口がない。代表的な内陸河川としては、ネバダ州北部のハンボルト川がある。多数の山脈と盆地とが交互に並ぶのが特徴で、盆地には、砂漠やステップが広がっている。砂漠としてはグレート・ソルト・レーク砂漠、デス・バリーモハーベ砂漠が有名で、ステップはおもに放牧地となっている。更新世(洪積世)には盆地は湖となっていた。現在のグレート・ソルト・レークはその名残(なごり)である。

[鶴見英策]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「グレート・ベースン」の意味・わかりやすい解説

グレート・ベースン
Great Basin

アメリカ合衆国西部の乾燥した大盆地。東部をウォサッチ山脈とコロラド高原,北部をコロンビア高原,西部をシエラ・ネバダ山脈に囲まれて逆三角形状に広がり,モハーベ砂漠が南端部を占める。ネバダ州の大部分およびユタ,カリフォルニア,アイダホ,オレゴン諸州の一部を含み,面積約50万km2。南北方向に走る複数の断層山地断層盆地との集合体で,グレート・ソルト・レーク砂漠やデス・バレーなどの砂漠や,グレート・ソルト湖やユタ湖などの湖が多い。年間降水量は100~350mmで,激しい蒸発のため谷底部では塩分集積が著しい。こうした条件を反映して植生の発達は限られるが,高所ではマツやトウヒ類がみられる。鉱物資源に恵まれるほか,放牧や灌漑農業も行われる。19世紀中ごろにこの地を通過したジョン・C.フレモントにより命名。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グレート・ベースン」の意味・わかりやすい解説

グレートベースン
Great Basin

アメリカ合衆国西部の大盆地。この地域はしばしば「盆地と山脈の地方」ともいわれる。西はシエラネバダ山脈,東はロッキー山系,とくにワサッチ山脈にはさまれる地域で,北はコロンビア高原に漸移し,南はコロラド高原およびカリフォルニア州のモハーベ砂漠に続く。ネバダ州の全域と隣接する各州の一部を含む。総面積 49万 9510km2。盆地内はほぼ平行した長さ 100~200km,幅5~25kmの,南北方向の山脈群とそれらの間の谷から成る。谷は標高 300~1800mで,山脈中の高峰は 2700m,あるいはそれ以上に達する。山地に囲まれ,特にシエラネバダ山脈が太平洋からの湿気を含んだ空気をさえぎるので,気候は乾燥する。山地からの流水は砂漠内で消滅するか,または海への出口をもたず,グレートソルト湖,ユタ湖,ピラミッド湖などの塩水湖に注ぐが,これらはいずれも,降水量の変動で湖の表面積が変化する。盆地内にはまたグレートソルトレーク砂漠,ブラックロック砂漠,デスバレーなどの砂漠がある。 1824年以降 J.スミスや J.フレモントらが探検している。この地形は,隆起と沈降,傾動を繰返した結果形成された断層地塊群として説明されている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「グレート・ベースン」の意味・わかりやすい解説

グレート・ベースン

米国西部にある三角形の巨大な盆地。シエラ・ネバダ山脈,カスケード山脈,ウォサッチ山脈とコロラド高原に囲まれた範囲で,ネバダ州を中心とし,ユタ,カリフォルニア,オレゴン,アイダホ州の一部に広がる。約50万km2。盆地内にはいくつもの高地や低地があり,地形は複雑である。特にデス・バレーの低地は有名。またグレート・ソルト湖もある。河川の大部分は内陸水系に属する。気候は大部分がステップと砂漠であるが,山地には森林が見られる。おもな産業は牛・羊の放牧と観光。鉱山資源にも恵まれる。
→関連項目アメリカ合衆国ネバダ[州]

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のグレート・ベースンの言及

【アメリカ・インディアン】より

…ポモ族,マイドゥ族,ヨクーツ族,ルイセニョ族などが代表的な部族である。
[グレート・ベースン文化領域]
 カリフォルニア州東部のシエラ・ネバダ山脈とロッキー山脈との間に広がる乾燥地帯をいう。一般に樹木が乏しい草原であるが,山岳にはマツ類の灌木が生育している。…

【アメリカ合衆国】より

…最高峰のエルバート山(4399m)をはじめ4000mを超す山々が連なり,モンタナ,ワイオミング,コロラドの各州では高峰に小規模な山岳氷河がみられる。ロッキー山脈と太平洋岸のカスケード,シエラ・ネバダ両山脈の間には,北からコロンビア高原,グレート・ベースン(大盆地),コロラド高原などの高原・盆地群があり,一般に乾燥した放牧地である。コロンビア高原は主としてステップ気候であるが,グレート・ベースンからメキシコにかけては砂漠とステップが混在し,農業はおもに灌漑によっている。…

※「グレート・ベースン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android