ケガニ(英語表記)Erimacrus isenbeckii; horsehair crab

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ケガニ
Erimacrus isenbeckii; horsehair crab

軟甲綱十脚目クリガニ科 Atelecyclidae。食用として重要で,オオクリガニとも呼ぶ。1属 1種。甲は長さ 20cm,幅 15cmほどの丸みのある縦長の四角形で,とがった顆粒と短い剛毛に密に覆われている。甲面はほぼ平らで,顆粒の集まった 9個の小さな隆起をもつ。また甲の前側縁には 5歯がある。産卵は 4~5月と 10~12月に見られるが,大部分は春型。1年間抱卵し,隔年に産卵する。日本海宮城県以北からベーリング海を経てアメリカ合衆国アラスカ州沿岸に分布する。北海道沿岸に多産し,水深 30~60mの砂泥底にかご網をおろして漁護する。北海道では甲長 8cm以上の雄だけの漁獲が許可されている。近年は卵から孵化した幼生を稚ガニまで育てて放流している。クリガニ科には本種に似たクリガニ Telmessus cheiragonus とトゲクリガニ T. acutidens も知られている。全体を覆う剛毛の状態はよく似ているが,甲の両側中央が強く突出しているため,輪部が五角形に近い。両種とも商品価値は低い。モクズガニをケガニと呼ぶ地方もある。(→甲殻類十脚類節足動物軟甲類

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百科事典マイペディアの解説

ケガニ

オオクリガニとも。甲殻類クリガニ科のカニ。甲は長さ最大13cm,幅はやや短く,丸みを帯びた四角形。橙紅色〜橙褐色の体全面は黄褐色の短い羽状毛でおおわれる。前側縁には5歯。甲面には顆粒(かりゅう)が密生した隆起が約9個ある。外骨格は割合に柔らかい。寒海性。アラスカ,ベーリング,さらに日本海各域〜朝鮮半島東岸に分布し,砂泥底にすむ。北海道で多く漁獲される。肉は美味。
→関連項目カニ(蟹)

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栄養・生化学辞典の解説

ケガニ

 [Erimacrus isenbeckii].エビ目エビ亜目カニ下目ケガニ属のカニ.食用に珍重される.

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ケガニ
けがに / 毛蟹
horse-hair crab
[学]Erimacrus isenbeckii

節足動物門甲殻綱十脚(じっきゃく)目クリガニ科の食用ガニ。オオクリガニともよばれる。1属1種で、寒海性。北海道沿岸各地に多産し、分布は太平洋沿岸では宮城県付近、日本海では福井県沖、さらに韓国東岸まで南下している。北は千島列島(クリル諸島)、ベーリング海を経てアラスカ沿岸にまで広く分布している。北洋では漁獲は籠(かご)網により、好漁場は水深30~60メートルの砂泥底である。甲長10センチメートル内外の丸みのある縦長の四角形で、甲らはあまり硬くない。甲、はさみ脚(あし)、歩脚(ほきゃく)はとがった顆粒(かりゅう)と短い羽状毛で密に覆われている。甲面には顆粒の集まった9個の小さな隆起があり、甲の側縁には五つの歯がある。産卵は4~5月と10~12月であるが、大部分が春型。抱卵は1年間で、隔年に産卵する。近年は缶詰より生鮮品の利用が多くなった。別属ではあるが、やはり食用とされるトゲクリガニTelmessus acutidensはケガニによく似ているが、甲の側縁の歯が大きく、全体として六角形に近い。漁獲量もケガニよりは多くない。[武田正倫]

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