改訂新版 世界大百科事典 「ゲッキツ」の意味・わかりやすい解説
ゲッキツ
orange jasmine
Murraya paniculata(L.)Jack
芳香を有するミカン科の常緑小高木で,分岐が多く,全体に毛がない。小枝は円柱形。樹皮はうすく,灰白色を呈する。葉は互生し,奇数羽状複葉,長さ8~15cm。小葉は3~7枚,長楕円形ないし卵形,葉の表は深緑色で光沢がある。夏季に腋生(えきせい)および頂生の短い集散花序を出し,少数の花をつける。花は白色で芳香があり,長さ約1.5~2cm。果実は卵形の液果で赤熟し,長さ約1cm,なかに1~2個の種子がある。奄美大島~琉球諸島(石灰岩地に多い),台湾,中国南部,ミャンマー,インド,マレーシアに広く分布する。材はきわめて堅く,ちみつで光沢があり,彫刻,ステッキ,刃物の柄,文鎮,印鑑,版木,くしなどとする。常緑の枝葉がよく茂るので,人家の生垣として広く用いられる。ジャワでは葉をカレー料理の香味料,樹皮の粉末を化粧用とする。
執筆者:初島 住彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報