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コメディア・デラルテ commedia dell’arte

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世界大百科事典 第2版の解説

コメディア・デラルテ【commedia dell’arte】

イタリアの仮面即興劇。コメディア・デラルテとは〈職業俳優によって演じられる喜劇〉の意。arteは〈芸〉あるいは〈芸術〉とあやまって解釈されることがしばしばあるが,この場合は〈職業〉を意味している。つまり宮廷,貴族の館,教会,僧院などで,俳優を職業としない人たち(文人,貴族,聖職者)によって上演された演劇と区別するためにこの名称は生まれた。コメディア・デラルテの俳優は,主として軽業師や大道芸人の末裔(まつえい)であり,字の読めない者も多かった。

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世界大百科事典内のコメディア・デラルテの言及

【イタリア演劇】より

… ラウダ,宗教劇に加えて,遊行芸人や吟遊詩人たちの民衆的なパフォーマンスもイタリア演劇の起源を形成する重要な要素である。彼らの語り,歌,踊り,マイム,軽業などは16世紀に入って隆盛を見るコメディア・デラルテの母体となったのである。このように中世イタリアの劇的世界の中心にあったのは書かれざる演劇であって,より明確な演劇形式を備えた戯曲の誕生はルネサンスを待たなければならない。…

【演劇】より

…この位相は,実は代行型演戯の場合にも,役あるいは登場人物によって覆い隠されることが多いとはいえ,存在しているのであり,初めに〈何某の演ずるハムレット〉と言い,演戯者と登場人物とを共に見ているのだと述べたが,その演戯者はすでに現実の何某ではないので,現実生活の一市民でもなくまた登場人物でもないこのレベルを,観客は演戯的存在の現象する場として見ているのである。 こう考えれば,たとえばコメディア・デラルテのように,演じられる内容が近代劇のように登場人物のレベルでは分化していず,〈役柄〉という形で〈役者〉そのものと重なっている演戯が,即興を中心とする職業劇団として,ヨーロッパで最も早く成立したことも納得がいく。即興とは当てずっぽうにでたらめをやることではまったくなく,その日の舞台という内容も時・空も限定された場で,劇団内構造の原理に従って,自己の持つ厖大な演戯力(そこには当然おびただしい台詞がある)を,瞬時にかつ的確に引き出して,それを活きた物として見せることであり,それはそのような演戯的知を内蔵しかつ担いうる総合的身体の訓練を前提としたからである。…

【カーニバル】より

…18世紀後半のロマン主義の勃興以降は,カーニバル的精神の母体である共同体的生活よりも,個人や孤独の問題が注目されるようになり,カーニバル的世界観は主観的・観念的な哲学思想に取って代わられ,笑いも諧謔の笑いに狭小化した。カーニバルの精神とその作法は,17世紀に最盛期を迎えたイタリアの即興喜劇コメディア・デラルテに継承されてはいたが,それも衰退し,今日では道化芝居,サーカス,民俗芸能,軽演劇などに部分的に残っているにすぎない。フランスのニース,ブラジルのリオ・デ・ジャネイロ,アメリカ合衆国のニューオーリンズなどで今日催されている観光化したカーニバルには,中世,ルネサンス期ヨーロッパのカーニバルの精神と諸形式はほとんど見られない。…

【喜劇】より

…何編かの手書きの台本が残っているが,すべて作者は不詳),15,16世紀ドイツの職人階級の間に生まれた謝肉祭劇,貧しい悪徳弁護士を主人公にする《ピエール・パトラン先生の笑劇La farce de maître Pierre Pathelin》(作者不詳)を生んだフランスの笑劇や痴呆劇がある。イタリアでも,古代ローマの地方笑劇アテラナ劇の伝統をもつ方言劇が,劇作家ルッツァンテなどに引きつがれ,16,17世紀には,特定の役柄だけあって定められた台本をもたぬ,職業俳優による即興喜劇コメディア・デラルテが盛んになった。この劇は台本をもつ正統喜劇commedia sostenutaと対立するものであるが,ヨーロッパ各地に進出し,正統古典喜劇の成立に大きな影響を与えることになる。…

【道化】より

…foolの語源はラテン語のフォリスfollis(〈ふいご〉の意)で,道化の無内容な言葉を〈風〉にたとえたと思われる。他にも類語は多く,貴族・富豪の饗宴に伴食したバフーンbuffoon(これも〈風〉を意味するイタリア語buffaに由来する),宮廷お抱えのジェスターjester,タロット(のちのトランプ)のジョーカーjoker,神話・伝説や儀礼に登場するいたずら者のトリックスター,そしてコメディア・デラルテからサーカスを経てミュージック・ホールや無声映画にいたる民衆的芸能に欠かせぬクラウンなどがある。 これらを整然と区別し定義するのは不可能だが,後述する〈儀礼の道化〉が典型的に示している,固定的な秩序へのおどけた批判者,思考の枠組みの解体者という役割は,あらゆる分野の道化に共通して見られる。…

【俳優】より

… また,女優について西洋演劇でのその起源を述べるならば,ギリシア時代はいうまでもなく,中世を経てルネサンス期,たとえばW.シェークスピアのイギリス・エリザベス朝期でも,一般に俳優は男性だけであり,男性が女性の役も演じていた。しかし,シェークスピアの活躍期より少し前,16世紀の半ばころに,イタリアでは〈コメディア・デラルテ〉という即興劇団が現れるが,これは恐らく世界最初の職業劇団であるとともに,そこには女優が初めてお目見えしたと記録は伝えている。以後近世・近代を通じて,女優は男優と並びごく普通の存在となっていった。…

【ベルガモ】より

…中世およびベネチア支配時代の都市の構造をそのままに残す〈上の町〉には,ベネチア風の商人,貴族の館もみられ,12世紀に建てられた市庁舎や,サンタ・マリア・マッジョーレ教会,華麗なファサードで有名なコレオーニ礼拝堂などがある。コメディア・デラルテと呼ばれる仮面劇はこの都市で16世紀に生まれ,また作曲家ドニゼッティの故郷でもある。【萩原 愛一】。…

【メーキャップ】より

…中世宗教劇は仮面を使わなかったから,役柄に合わせた扮装が要求され,14世紀以降に盛んになる奇跡劇では,悪魔,天使,聖者,動物など独特のメーキャップをもつものが登場した。その伝統は16世紀に成立したイタリアの職業的な仮面即興劇〈コメディア・デラルテ〉にも流れ込んでいるとみられる。アルレッキーノ,パンタローネ,ドットーレその他の類型人物は,その役柄を示すため,半仮面や顔の扮装を必要とした。…

※「コメディア・デラルテ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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