コロナ放電(読み)コロナホウデン(英語表記)corona discharge

デジタル大辞泉 「コロナ放電」の意味・読み・例文・類語

コロナ‐ほうでん〔‐ハウデン〕【コロナ放電】

気体放電の一。二つ電極間で局部的に高電圧を生じたため、空気絶縁が破れ、かすかな光を発して放電する現象

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「コロナ放電」の意味・読み・例文・類語

コロナ‐ほうでん‥ハウデン【コロナ放電】

  1. 〘 名詞 〙 気体放電の一形式。二つの電極間に電圧を加えたとき、電位傾きが大きい部分の気体が局部的な電離を起こし、微音微光を発して放電する現象。電子写真などの電荷発生源として利用される。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「コロナ放電」の意味・わかりやすい解説

コロナ放電 (コロナほうでん)
corona discharge

気体中の放電の一形態で金属電極突端などに生ずる局部的な放電。コロナは冠crownと同義語で電極に冠をつけた形,あるいは太陽のコロナとの類似から名付けられた。電極間に電圧を加えていくと,まずコロナ放電が発生し電圧の上昇とともにこれが発達して電極間を結ぶ火花放電に至る場合と,コロナを経由せずに直ちに火花が発生する場合がある。一般に電極近くの電界が強く電極から離れると弱くなる不平等電界の場合にコロナが発生する。逆にコロナを経ずに直接火花が発生する場合を平等電界型の放電という。この場合,電界の大きさは場所により完全に一定とは限らないが,放電ではこのようにコロナ発生の有無により電界の平等性と不平等性を区別している。コロナ放電は広義では気体に限らず電極間を橋絡しない放電すなわち部分放電の同義語として用いられる場合がある。例えば油中コロナ,固体絶縁物内の微小な空隙中のコロナなどである。空気中のコロナ放電は直流の正の電圧が加わった場合を正コロナ,負を負コロナと呼ぶが,正負で性質が著しく異なる。一般に負コロナは電極近くに安定に存在するが,正コロナは電圧の上昇とともに伸びやすい。かなり伸びた状態ブラシコロナ,十分発達して相手側の電極へ達したものをほっす(払子)コロナと呼ぶ。コロナ放電は電気集塵器,電子写真などの電荷発生源として利用される。
コロナ障害
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「コロナ放電」の意味・わかりやすい解説

コロナ放電【コロナほうでん】

気体内で二電極間の電圧を高めたとき,電極間の電場が一様でない場合に火花放電が起こる前に現れる発光放電。電極の先端など電場の強い部分付近の気体が電離し,局部的に電流が流れ発光する。コロナは陽極では低電圧で電極をつつむ膜状(グロー放電),火花電圧に近づくにつれて明滅する樹枝状(ブラシ放電)となる。陰極付近の発光は単純で電圧によりあまり変化しない。〈セント・エルモの火〉は雷雲の電場によって生じたコロナ放電。
→関連項目ゼログラフィー超高圧送電放電

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「コロナ放電」の意味・わかりやすい解説

コロナ放電
ころなほうでん

気体中の放電の一形式。一般に高圧力の気体中で一方の電極の近辺だけに高電界が集中するときにおこる部分放電で、その外観が王冠(コロナ)に似ていることからこの名がつけられている。針状の電極の近辺でとくにおきやすい。多くは電極の温度が低い冷陰極の放電であるため、高気圧中のグロー放電の一種とみなすこともできる。高電圧の送電線ではコロナ放電を生ずることがあり、雑音や電力損失の原因となる。実験用や展示用として、コロナ放電発生装置がつくられている。

 夜中、船が雷雲下を航海すると帆柱の先端にセントエルモの火といわれるものが現れることがある。これもコロナ放電による現象である。

[東 忠利 2024年6月18日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コロナ放電」の意味・わかりやすい解説

コロナ放電
コロナほうでん
corona discharge

電場の強いところで部分的に絶縁が破壊されて生じる発光放電。この放電の外観が,皆既日食のときに観測される太陽周囲の微光 (コロナ ) と似ているのでこの名がある。平板電極に向い合せて針状電極を置き,電圧を上げていくと,初め針状電極の先端にグローコロナが現れ,次いでブラシ状のコロナが現れる。沿面放電もコロナ放電の例である。電流の増加とともにグロー放電に移る。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

化学辞典 第2版 「コロナ放電」の解説

コロナ放電
コロナホウデン
corona discharge

針と平板を電極とし,2極間の電圧を増加していくと,針の先端部がかすかに光りはじめる.この微光をコロナといい,その状態をコロナ放電という.コロナ放電は,絶縁体の局部破壊で火花放電の前駆として起こる場合が多い.高圧送電線などでよく問題となる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のコロナ放電の言及

【コロナ障害】より

…送電線のコロナ放電によって生ずる雑音,騒音,電力損失などをいう。送電線の電圧が高くなり,導体表面や碍子(がいし)の金具などにとがった部分があると電界が強くなってコロナ放電が発生する。…

※「コロナ放電」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

大臣政務官

各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...

大臣政務官の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android