シオマネキ(英語表記)Uca arcuata

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

シオマネキ
Uca arcuata

軟甲綱十脚目スナガニ科のカニ。甲幅約 4cm。甲は前後に強く湾曲し,後方に強くせばまっている。雄の左右いずれかの脚が著しく大きく,これを体の前で上下させる一定の運動をする。ウェービングと呼ばれるこの動作はに対する求愛行動と考えられている。雄のもう一方の鋏と雌の両方の鋏は小さく,先端がスプーン状で砂泥上の有機物をすくうのに役立つ。有明海以南中国沿岸まで分布し,砂泥質の干潟に穴を掘ってすむ。シオマネキ類は世界で約 95種知られており,日本では鋏が白いハクセンシオマネキ U. lactea東京湾以南から九州地方まで,また橙黄色のヒメシオマネキ U. vocans,紅色のベニシオマネキ U. crassipes,甲面に「小」字状白斑をもつリュウキュウシオマネキ U. coarctata などが鹿児島県奄美大島以南でごく普通に見られる。いずれも雄の片方の鋏が大きく,種ごとにその動作の型が異なる。鋏振り行動の様子からこれらシオマネキ類をまとめて fiddler crab(バイオリン弾きのカニ)という。シオマネキとハクセンシオマネキは絶滅危惧種に指定されている(→レッドデータブック)。(→甲殻類十脚類節足動物軟甲類

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディアの解説

シオマネキ

甲殻類スナガニ科のカニ。甲長1.7cm,甲幅3cmくらい。甲は前方が広く,側縁の前端はとがる。眼柄はきわめて長く,それを収めるような形で眼窩(がんか)が発達する。雌のはさみ脚は小さいが,雄は左右いずれか片方がきわめて大きい。体色は暗青色で甲の中央部に網目模様のあるものが多い。有明海など暖地内湾に多く,泥の干潟に穴を掘って群生する。雄は大きなはさみ脚を雌の前で上下してダンス類似の行動をする。近縁種ヤエヤマシオマネキ,ハクサンシオマネキ,ヒメシオマネキなどがある。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

シオマネキ
しおまねき / 潮招
[学]Uca arcuata

節足動物門甲殻綱十脚(じっきゃく)目スナガニ科に属するカニ。有明(ありあけ)海や九州南部に分布するほか、朝鮮半島、中国北部からも記録がある。甲幅3センチメートルほどで、甲の後方が強く狭まっているため、左右の眼窩(がんか)外歯の間が甲の最大幅となる。雄の片方のはさみ脚(あし)が大きく、これを一定の形に振り上げては下ろす運動をする。この動作が潮が満ちてくるのを招いているようなのでシオマネキの名があるが、雌に対する求愛行動であると考えられる。雄のもう一方と雌の両方のはさみは小さく、先端がスプーン状。巣穴の周辺を縄張り(テリトリー)とし、定住性が高い。
 シオマネキ類は世界で約60種30亜種が知られ、フィドラークラブfiddler crab(バイオリンを弾くカニの意)とよばれる。日本産は7種2亜種で、伊勢(いせ)湾以南にハクセンシオマネキU. lacteaが分布し、沖縄諸島にはオキナワハクセンシオマネキU. l. perplexaのほか、ヒメシオマネキU. vocansやベニシオマネキU. chlorophthalma crassipesが多い。[武田正倫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

余震

初めの大きい地震に引き続いて,その震源周辺に起こる規模の小さい地震の総称。大きい地震ほど余震の回数が多く,余震の起こる地域も広い。余震域の長径の長さは,地震断層の長さにほぼ対応している。マグニチュード...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

シオマネキの関連情報