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システム論 システムろん

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大辞林 第三版の解説

システムろん【システム論】

部分や要素に還元されず、逆にそれらを決定する全体性を対象とする分析・研究の方法論。サイバネティックスや構造主義が代表例。

出典|三省堂
(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

システム論
しすてむろん
systems theory

生物学、工学、経営学、社会学などで用いられていた伝統的な分析方法や研究方法では、研究対象の構成要素間の相互依存関係に対する認識が十分でなかったため、構成要素を個々別々に切り離して、それぞれの要素の動きや働きを独立に分析することで、その研究対象全体の理解が可能であると考えていた。しかしながら、構成要素間に相互依存関係があるときには、従来の分析方法である構成要素を個別に切り離して分析し、それを単に積み重ねるだけでは、研究対象全体を正確に把握することは不可能である。このような認識が、生物学、工学をはじめ、さまざまな研究分野でなされ、研究対象の構成要素間の相互依存関係を明示的に分析しようという新しい考え方が生まれた。この考え方がシステム論であって、システム的接近法、システム分析ともよばれる。システム論とは、したがって、さまざまな研究分野で発達した、一つの新しい分析方法論である。「システム」ということばは通常、(1)構成要素が複数から成立しており、(2)その構成要素が、相互に独立した存在ではなく、相互依存の関係にあるとき、に用いられる。
 システム論に対する考え方は、生物学、工学、経営学などの研究分野によって強調点の違いはあるものの、研究対象全体を理解するために、構成要素間にある、ある種の関係をいかに分析するか、という基本的な接近法や考え方は同一である。ここでは、システム論の考え方を、経営学や管理工学の分野から一つの例を用いて説明しよう。
 いま、生産部門、営業部門、経理部門の3部門からできているある企業で、製品のもっともよい在庫政策(製品の種類とその在庫量)はどうあるべきか、を分析しているとしよう。生産部門では、製品当りの生産費用をできるだけ安く生産したいので、少数の種類の製品を、一定の生産量で、大量に生産したいと考えるだろう。したがって在庫政策としては、少数製品で、大量の在庫を望む。営業部門では、売上げ増加を目標とするために、顧客の需要にすぐ応じられるよう、多種類製品の大量在庫を望むことになる。したがって、生産部門と営業部門とでは、製品品種の在庫政策で対立することになる。一方、経理部門では、できるだけ有効な資本運営を行うために、在庫に伴う費用はできるだけ安く抑えたいと考える。経理部門では、少数製品の、少量在庫政策を望む。このように、生産、営業、経理の3部門は、製品の在庫政策で、それぞれ対立した関係になるが、これは、部門間の政策(生産計画、営業政策、経理の方針)の違いが在庫政策に反映したにほかならない。この例からもわかるように、在庫政策を決定するうえで、企業というシステムを構成する3部門は、それぞれ独立した存在ではなく、相互に関連のある存在である。したがって、企業全体のシステムにとって最良の在庫政策を決定するためには、いずれか一つの部門の目的を最優先させるのではなく、各部門の政策の依存関係を明示的に分析して、企業全体の目的を最良にする在庫政策を考える必要がある。
 なお、さまざまな研究分野で発展してきたシステム論を統合化して、その研究方法論自体を研究の対象とする「一般システム論」という研究分野がある。一般システム論では、各種のシステムの構造を比較研究し、システムの形式上の構造の共通性と同型性に注目し、ある分野で得られた研究成果を他の分野に応用しようとする。しかし、これに対しては、システムの形式上の構造の比較だけでは、構造のうえからの形式的な分析は可能であっても、特定の研究分野の内容のある理解や意味のある研究成果は得られにくいという批判がある。川智教]
『C・W・チャーチマン他著、森口繁一監訳『オペレーションズ・リサーチ入門』全2巻(1958・紀伊國屋書店) ▽C・W・チャーチマン著、竹内靖雄訳『理性への挑戦』(1972・竹内書店) ▽L・v・ベルタランフィ著、長野敬・太田邦昌訳『一般システム理論』(1973・みすず書房) ▽村上泰亮他著『経済体制』(1973・岩波書店) ▽K・E・ボールディング著、公文俊平訳『経済学を超えて』改訳版(1975・学習研究社)』

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ) この辞書の凡例を見る
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世界大百科事典内のシステム論の言及

【場】より

…この新しい関心はひとり物理学にとどまらず,生物学,心理学,哲学などにも広がった。20世紀初頭,胚の発生,器官形成などの場面で,さまざまな異なった条件下にも等結果性equifinalityを実現するような〈場〉が生物体として考えられるというグルビッチA.G.GurvichやワイスP.A.Weiss以来の生物学上への〈場〉の応用が見られ,こうした考え方はベルタランフィなど現代のシステム論の原型をなすものとなった。さらにユクスキュルの〈環境世界Umwelt〉のように,生物にとっての環境空間は,決して客観的に等方・等質的なものではない,という考え方にも場の概念は取り込まれている。…

※「システム論」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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