コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

ジャガタラ文 ジャガタラぶみ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ジャガタラ文
ジャガタラぶみ

江戸時代初期,幕府は鎖国政策を強化する過程で,寛永 10 (1633) 年日本人の海外渡航を禁止するとともに (→海外渡航禁止令 ) ,翌年南蛮人および彼らと日本婦人との間の混血児 287人をマカオに,次いで同 16年紅毛系混血児とその日本人母親 32人をジャガタラ (現在のジャカルタ,オランダ領時代のバタビア) に追放したが,その追放された人々が故国に寄せた書簡をいう。近況を伝え,贈り物のリストを添えるのが普通であった。最初文通は厳禁されていたが,明暦1 (55) 年頃から禁令が緩和された。平戸に原本5通が残っており,西川如見の『長崎夜話草』に載せられたジャガタラお春の手紙は潤色されているが,お春自身のものの長文の写しも発見されている。

出典|ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について | 情報

デジタル大辞泉の解説

ジャガタラ‐ぶみ【ジャガタラ文】

江戸初期、幕府の鎖国政策によってジャガタラに追放された在留欧人の日本人妻やその混血児たちが、日本の親類や知人に送ってきた手紙。

出典|小学館デジタル大辞泉について | 情報 凡例

百科事典マイペディアの解説

ジャガタラ文【ジャガタラぶみ】

江戸幕府は鎖国令により外国人と日本人との間に生まれた混血児とその母親を1636年,1639年にマカオジャカルタ(ジャガタラ)に追放したが,彼らが故国にあててつづった書状をジャガタラ文という。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト百科事典マイペディアについて | 情報

世界大百科事典 第2版の解説

ジャガタラぶみ【ジャガタラ文】

江戸初期,鎖国体制を強化するため,幕府は1636年(寛永13)ポルトガル人と日本人との混血児とその母親をマカオへ,39年にはオランダ人との混血児とその母親をジャガタラ(ジャカルタ)に追放した。これらの人々が故国にあてた通信をいう。はじめ外国人がこれらの手紙やそれに添えた品物を預かって届けることは禁止されていたが,しだいに緩和された。平戸観光資料館には,〈ジャガタラ文〉が2,3点残っている。【永積 洋子】

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

大辞林 第三版の解説

ジャガタラぶみ【ジャガタラ文】

江戸初期、鎖国政策によってジャカルタに追放された外国人の日本人妻やその子らが、故郷に書き送った手紙。有名なものにジャガタラお春(1624~1697)の書簡がある。

出典|三省堂大辞林 第三版について | 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ジャガタラ文
じゃがたらぶみ

江戸初期、鎖国政策により帰国を禁ぜられたり追放された日本人、日系混血児らがジャカルタより故国にあてた手紙。日本人の海外進出により南洋各地に移住する日本人が増加したが、江戸幕府は1635年(寛永12)に日本人の海外渡航と帰国を厳禁したので、彼らは中国船やオランダ船に託して故国との交信や取引を行っていたが、これも1640年ごろから禁止された。また、ヨーロッパ人との混血児とその母親も海外に追放された。当時オランダが領有していたジャカルタはバタビアとよばれ、日本ではジャガタラと称したが、同地にもかなりの日本人が居住していた。ジャガタラお春の名は、西川如見(じょけん)が潤色して『長崎夜話草』に載せたためよく知られる。
 その後、鎖国体制が整備し、キリシタン宣教師潜入の途も絶たれるにつれ、幕府は1655年(明暦1)ごろからバタビア居住の日本人の故国との交信を緩和したので、彼らは故国の親戚(しんせき)知人らと音信を交わし、金品を送り所用の物品を注文した。今日、長崎県平戸(ひらど)観光資料館には、日系混血児コルネリヤら同地の日系市民が故国にあてた書簡(しょかん)5通がジャガタラ文として伝えられ、当時のオランダ人社会における日系市民の生活の一斑(いっぱん)を伝えている。[加藤榮一]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について | 情報 凡例

世界大百科事典内のジャガタラ文の言及

【長崎夜話草】より

…江戸中期の対外関係史話。5巻。西川如見(忠英)の著。1720年(享保5)に成る。京都の書店の求めに応じて,外国船の渡来事情,漂流漂着,事件など対外的なトピックスを主に,孝子など長崎の逸話,特産品39種を解説したもの。お春の〈じゃがたら文〉は有名。鎖国前の世代がいなくなったあとの,世人の対外的関心の所在が知られる好資料。岩波文庫,長崎叢書ほか所収。【中村 質】…

※「ジャガタラ文」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

ジャガタラ文の関連キーワード豊沢 義三郎平戸(市)

今日のキーワード

アウフヘーベン

ヘーゲル弁証法の基本概念の一。あるものを否定しつつも、より高次の統一の段階で生かし保存すること。止揚。揚棄。→アン‐ウント‐フュール‐ジッヒ →弁証法...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android