フランスの心理学者,精神医学者。哲学者ポール・ジャネのおい。サルペトリエール病院でJ.M.シャルコーに師事し,ヒステリーなどの臨床研究に従事した。正常な総合的精神活動と,過去の精神活動の反復にすぎない心理自動症を区別することによって精神病理学を確立,ついで心理自動症をその病的形態にもとづいて,ヒステリーと精神衰弱症に二大別した。さらに精神諸機能を階層的に8段階に分類し,おのおのの段階に心理学的諸機能を位置づけた。また晩年には,宗教病理現象や統合失調症の研究に力を尽くした。S.フロイトに先がけて同様な思想を講じたが,彼は最後までフロイトを理解しえなかった。著書に《ヒステリーの精神状態》(1893),《強迫観念》(1903),《神経症》(1909)などがある。また門下に,D.ラグーシュやH.エーがいる。
執筆者:武正 建一
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…子宮説に対して脳に問題があるとはじめてみなしたのは,ルポアC.Lepois(1618)であり,情緒因子が一次的だと考えたのはブローディB.C.Brodie(1837)である。しかし,ヒステリーに対してはじめて根拠のある理論を提出したのは,J.M.シャルコー(1887),P.ジャネ(1889),J.ブロイアー(1895),S.フロイト(1895)である。そして彼らのなかで,心理的要因をもっとも重視したのは,ブロイアーとフロイトであり,二人の共著になる《ヒステリー研究》も刊行されている。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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