テクト珪(けい)酸塩鉱物の一種。正方柱状の結晶をなすことが多いが、粒状、塊状でも産する。柱石(ちゅうせき)ともいい、端成分としてナトリウムを含む曹柱石(そうちゅうせき)marialiteと、端成分としてカルシウムを含む灰柱石(かいちゅうせき)meioniteの固溶体系列をさす。また、灰柱石の組成のうち、炭酸基を硫酸基で置換されたものがあり、これはシルビアライトsilvialiteという別種である。これら3種がスカポライトグループに含まれ、スカポライト自体は独立した鉱物種名ではない。長石に似ているが、劈開(へきかい)が直交する点と、塩酸で分解しやすい点で区別できる。両端成分に近いものは世界的にも産出はきわめてまれで、大部分が中間成分のものである。石灰岩接触帯に灰礬(かいばん)ざくろ石、珪灰(けいかい)石、ベスブ石、透輝石、透閃(とうせん)石などと産する。また、高温でできた広域変成岩中、閃緑岩や斑糲(はんれい)岩アプライト中にも産する。英名は、その形態から、柱を意味するギリシア語に由来する。
[松原 聰]
マリアライトmarialite(Ma)Na4Al3Si9O24Clとメイオナイトmeionite(Me)Ca4Al6Si6O24CO3を端成分とする固溶体鉱物の総称。柱石ともいう。Me成分の割合に応じてMex(x=0~100)で表し,Me0~Me20をマリアライト,Me20~Me50をディパイヤdipyre,Me50~Me80をミッゾナイトmizzonite,Me80~Me100をメイオナイトと呼ぶ。主として変成岩,石灰岩の接触変質帯に産出するアルミノテクトケイ酸塩である。複雑な形式のイオン置換を呈し,Me0~Me75ではNa⁺Si4⁺─→Ca2⁺Al3⁺とCl⁻─→CO32⁻が併行して起こり,Me75以上では前者だけが起こる。柱状結晶をなすことが多くしばしば四角柱状に伸びた外形を示し,日本名はそこに由来。無色,灰色,ピンク,淡緑色等を呈し,透明ないし半透明,ガラスまたは樹脂光沢がある。モース硬度は5.5~6,比重は2.50~2.78である。正方晶系に属する。
執筆者:芳賀 信彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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