日本大百科全書(ニッポニカ) 「スカルン鉱物」の意味・わかりやすい解説
スカルン鉱物
すかるんこうぶつ
skarn mineral
石灰岩あるいは苦灰岩が接触ないし広域変成作用を受けた際、多量のケイ酸分と反応すると、そこにカルシウムを主成分とする珪酸塩鉱物(けいさんえんこうぶつ)が生成される。これらの鉱物をスカルン鉱物とよび、集合体をスカルンという。もともとスカルンはスウェーデンの鉱山用語として、鉱脈近傍の暗色の珪酸塩鉱物集合体に対して使っていた。スカルンが形成される際、有用な金属の硫化物や酸化物も同時に生成され、鉱床をつくることもまれでない。このような鉱床をスカルン型鉱床とよぶ。おもなスカルン鉱物には、灰礬(かいばん)ざくろ石、灰鉄ざくろ石、透輝石、灰鉄輝石、透閃(とうせん)石、緑閃石、珪灰石、スカポライト(柱石)、珪灰鉄鉱などがある。源岩がマグネシウムに富む場合には以上のほかに、金雲母(きんうんも)、苦土橄欖(かんらん)石、単斜ヒューム石なども生成される。
[松原 聰]