スト破り(読み)すとやぶり

日本大百科全書(ニッポニカ)「スト破り」の解説

スト破り
すとやぶり

ストライキ中の工場や事業場で働く労働者。スキャブscab(病菌、疥癬(かいせん)の意)ともいう。労働組合がストライキに入ると、経営者は企業活動を確保するため、種々の手段を用いてその切り崩しを図ろうとする。スト破りは、〔1〕臨時工、下請工など非組合員、〔2〕第二組合員または管理職、〔3〕争議脱落者または組合脱退者、〔4〕職業的暴力団、などの動員もしくは雇入れのいずれか、またはその併用で通例行われる。いずれの形にせよ、スト破り自体は違法とはいえない。しかし、経営者が組合側と団体交渉をなんらもたず、ストライキの切り崩しだけを目的にスト破りによる操業を行うことは、争議権、団結権に対する侵害とみなされるのが一般的な見解である。なお、スト破りを防止するため、労働組合はピケットを張るのが普通であるが、経営者はこれに対し実力でピケットを破ろうとして暴力的な衝突が起こる例がしばしばである。

[吉田健二]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア「スト破り」の解説

スト破り【ストやぶり】

スキャッブscabともいう。ストライキ中の事業場で,ストライキの効果を弱めるために就労する労働者。外国ではストライキ開始後の新規採用者をいうことが多いが,日本ではスト脱落者や第二組合員をも含めていう。スキャッブの雇用あるいはスキャッブによる操業継続はそれ自体違法ではないが,もっぱら労働者の団結を阻害する目的で行われる場合には適法性を欠くとされる。労働協約にスキャッブ禁止条項をおく例は多い。scabは元来かさぶたの意。
→関連項目暴力団

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

デジタル大辞泉「スト破り」の解説

スト‐やぶり【スト破り】

ストライキの際、使用者側について業務を続けること。特に、使用者がストライキに対抗して雇用者の一部や外部からの雇用者を就業させること。また、その労働者。スキャッブ。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典 第2版「スト破り」の解説

ストやぶり【スト破り】

ストライキ中の工場や事業場であるにもかかわらず,そこで就労する労働者,またはその労働者の行為により,ストライキの効果の減殺をはかること。スキャッブscab(もと米語)ともいわれ,イギリスではstrikebreakerないしblacklegが一般的な言い方である。使用者は生産や営業の続行をもとめて,さらにはストライキの切りくずしを目的として,ストライキ非参加者や雇い入れた失業者を就労させることがある。

出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報

今日のキーワード

国民栄誉賞

内閣総理大臣表彰の一つ。1977年内閣総理大臣の福田赳夫の決裁により設けられた。「広く国民に敬愛され,社会に明るい希望を与えることに顕著な業績のあった者」に贈られる。第1回受賞者はプロ野球選手の王貞治...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android