セリ科(読み)セリか(その他表記)Umbelliferae

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「セリ科」の意味・わかりやすい解説

セリ科
セリか
Umbelliferae

双子葉植物セリ目の1科。花序の形の特徴から散 (傘) 形花科ともいう。北半球温帯を中心に,ほぼ世界全域にわたって約 250属 3000種近くが知られている。大部分は草本で,しばしば茎は太く木質化する。葉は互生し,多くは羽状や掌状に裂けるが,チドメグサ属 Hydrocotyleなどのように全縁の単純葉をもつものもある。花序は散形ないし複散形となり,シシウド属 Angelicaなどでは直径 40cmもの大きさになる (→散形花序 ) 。個々の花は比較的小さく,5数性の放射相称花で,通常は両性の完全花である。花弁は5枚で白色または黄色,おしべも5本,めしべの子房は2室に分れる。大きな花序の外周に並ぶ花はしばしば左右相称になり,花弁がキク科の舌状花のように細長くなる場合がみられる。果実は乾果となり,2室の子房が割れて2つの分果をつくる。地中海周辺地域を中心に古くから香料や,薬用食用に利用されているものが多く,ニンジン (人参)セロリーパースニップコエンドロなどは香料あるいは食用として著名である。中国や日本でもセリ (芹)ミツバ (三葉)トウキなどがやはり香料,薬用に使われてきた。しかし,セリ科にはきわめて毒性の強いものもあって,ドクゼリ (毒芹)ドクニンジン (毒人参)は致死的な毒草とされる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「セリ科」の意味・わかりやすい解説

セリ科
せりか
[学] Apiaceae (Umbelliferae)

双子葉植物、離弁花類。多年草または一年草あるいは越年草。チドメグサ亜科、ウマノミツバ亜科、セリ亜科(ハナウドなど)の3亜科からなる。葉は普通3出羽状複葉であるが、単葉のものもある。花は小形で花弁5枚、雄しべ5本、雌しべ2本、子房は下位。花は散形花序につき、普通はこれらが集合して複散形花序をつくる。果実は双懸果(そうけんか)で、二つの分果に分かれ、稜線(りょうせん)と油管がある。

 世界の温帯と寒帯を中心に275属3000種あり、日本には31属75種が分布する。ニンジンパセリセロリ、トウキなど食用や薬用とするものが多い。

[門田裕一 2021年11月17日]

 APG分類でもセリ科とされる。セリ科に含まれていたチドメグサ亜科はウコギ科に移された。この分類によると世界に約430属3780種あり、日本には約30属80種がある。栽培種や帰化種も多い。

[編集部 2021年11月17日]


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世界大百科事典(旧版)内のセリ科の言及

【セリ(芹)】より

…葉を食用にするセリ科の多年草(イラスト)。日本では全国いたるところの水辺に見られ,また北は中国東北地方から東南アジア一帯,さらにオーストラリア北部まで広く分布している。…

※「セリ科」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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