オランダの物理学者。位相差顕微鏡の発明者。アムステルダムに生まれる。アムステルダム大学で化学、数学、物理学を学び、1913年フローニンゲン大学の著名な天文学者カプタインの助手、1915年同大学のオルンシュタインLeonard Salomon Ornstein(1880―1941)の後継者として数理物理学講師、1920年同教授となる。統計力学におけるおもな仕事は、多粒子系の相関関数に関するオルンシュタイン‐ゼルニケ理論である。光学の分野では、1930年ごろ大型凹面格子を研究中に「位相差」の現象に気づき、1934年この現象を顕微鏡に応用して、透明物体中で屈折率の異なる部分を識別する位相差法を開発、1941年イエナのツァイス社と協力して最初の位相差顕微鏡を完成し、その後も改良に努めた。第二次世界大戦後、位相差顕微鏡は工業的規模で生産されるようになり、医学、生物学その他に広く用いられている。1953年この業績によりノーベル物理学賞を受賞した。
[常盤野和男]
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